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在宅勤務になったのに、仕事をする場所が食卓しかありません。自分の家で、家族に静かにしてもらうしかないのでしょうか?

家族に一日中静かにしてもらう運用は、長く続ける方法としては無理があります。在宅勤務のために、家族が食事や家事をためらうようになれば、自宅の一部が仕事に使われることで、ほかの人の生活が狭められています。まず、仕事内容に必要な環境と家族の使う場所を整理しましょう。

食卓で十分に働ける人もいます。資料を読む仕事が中心で、利用時間も短ければ、片づけやすい道具で対応できるかもしれません。一方、終日の会議、機密性のある会話、二人同時の在宅勤務には別の条件が必要です。「机が一つ置けるか」だけでは、仕事場所の適否は判断できません。

仕事をする時間と、声を出す時間を分ける

一週間の予定を、静かな作業、会議、電話、書類を広げる作業に分けてみてください。声を出すのは一日一時間なのか、ほぼ終日なのかで対策が変わります。家族が食卓を使う時刻や、掃除、調理の時間も重ねると、実際に衝突する場面が分かります。

朝の一回の会議だけが問題なら、その時間だけ別の場所を使う方法が考えられます。反対に、会議が一日じゅう断続的に入り、そのたび家族が動きを止めるなら、時間調整だけでは負担が大きすぎます。仕事が終わるまで家族が家でくつろげない状態を、協力という言葉で固定しないことです。

二人が同時に働く家庭では、片方だけを基準にしないことも大切です。二人とも会議があると、同じ部屋でイヤホンをしても、自分たちの話す声は残ります。それぞれの仕事内容や利用時間から、家の中に必要な区切りと、自宅以外を使う頻度を考えます。

食卓で働くなら、座り続けられるか試す

食卓は食事のために選んだ家具です。仕事に使う場合は、画面との距離、手を置く位置、椅子の高さや足元などを実際に確認します。ノートパソコン一台が置けることと、長時間の作業に合うことは別です。家具を追加する前に、普段の仕事道具を全部並べてみましょう。

厚生労働省のテレワークの作業環境に関する資料でも、机、椅子、画面、キーボードなどを無理のない姿勢で使えるよう配置することが確認項目になっています。自宅だから姿勢や設備は本人の我慢で済ませればよい、という考え方ではありません。勤務先の支援や貸与品も含めて、環境を整えられるか相談しましょう。(出典:厚生労働省「自宅等においてテレワークを行う際の作業環境を確認するためのチェックリスト」)

仮に幅100cm・奥行60cmの机を置く場合、床を使うのはその長方形だけではありません。椅子を引く範囲と、着席した人の後ろを通る場所も必要です。この寸法は検討用の仮定で、万能な推奨値ではありません。機器の量や体格に合う実寸を確かめてから配置します。

視線、音、情報の扱いを混同しない

背景を映さない機能やパーテーションは、家族の姿や生活用品を見えにくくする工夫です。しかし、会話が周囲に聞こえる問題まで解決するとは限りません。イヤホンも相手の音声を周囲へ流しにくくできますが、自分の発言や家族の生活音がなくなるわけではありません。

勤務先が求める情報管理の条件も確認してください。家族に聞かれてはいけない会議、紙の書類を保管する必要がある仕事、画面を他人に見せられない作業では、居間の一角で成立しない場合があります。家の中だから無条件に許されると思わず、具体的な作業環境を勤務先へ伝えます。

会議中だけ寝室を使う案では、そこが別の家族の休息場所になっていないかも確かめます。仕事の都合で寝具を毎回片づけ、休みたい人を追い出すなら、問題の場所が移るだけです。家族の生活が重なる場面を見て、実際に空いている場所を候補にする必要があります。

小さな仕事場所でも、閉じれば部屋になる

収納の一部を机に変えたり、居間の端を区切ったりする方法はあります。ただし、奥行のある収納に椅子を入れただけでは、足元や照明、夏の暑さが使いにくい場合もあります。造作の写真だけで判断せず、仕事道具を置き、座り、立ち上がる動きまで試します。

建具で閉じる仕事場所なら、閉めた状態で空調や換気がどう働くかを確認しましょう。空気を通すために開口を設ける場合は、音の伝わり方との調整も必要です。工事会社には「音を分けたい」と「閉めて長時間使いたい」を一緒に伝え、両方をどこまで満たせるか説明してもらいます。

見積もりには机や壁だけでなく、必要な照明、コンセント、通信、設備の変更、収納の移設まで含めます。仕事場所を作るために物の置き場がなくなり、居間へ荷物があふれるなら、その対策も工事の一部です。仕事の椅子一脚だけを図面に描いて、全体が解決したことにしないでください。

外の仕事場所は、利用条件と年数で比べる

自宅の改修が難しければ、勤務先のオフィスやサテライトオフィスなども選択肢になります。厚生労働省は、自宅等の作業環境について労使が協力して改善し、必要な場合には自宅以外の場所の活用を検討することも挙げています。仕事環境の問題を、家庭だけで抱え込む必要はありません。(出典:厚生労働省「自宅等でテレワークを行う際の作業環境整備」)

外部の仕事場所は、近いだけで選べません。勤務先が利用を認めているか、通話や機密資料を扱えるか、必要な時間に使えるかを確認します。移動時間も含めて考え、週に数日だけ利用する組合せも比較しましょう。毎日通う前提より、困る場面に絞ったほうが使いやすい場合があります。

仮に外部スペースの費用を月1万5千円とすると、五年間で90万円になります。これは実際の料金相場ではなく比較用の仮定です。同じ期間で、住宅改修の費用、交通費、家族が利用できなくなる場所も比べます。費用が同程度でも、仕事が変わった後の使い道や解約のしやすさは異なります。

仕事が終わった後に、家へ戻れる仕組みを作る

食卓を兼用するなら、仕事の終わりに機器と書類をまとめてしまう場所が必要です。ケーブルを外して箱に入れるのか、台ごと移動するのかを決めると、毎回片づける負担を減らせます。家族が食事を始めるたび、仕事道具に遠慮しなければならない状態は解消したいところです。

これから建てるなら、「在宅勤務対応」という名称ではなく、実際の業務で図面を確認してもらいます。週何日働くか、会議の頻度、同時に在宅する人数、必要な機器を伝えてください。一室を増やす案と、一角を区切る案、それぞれの費用と家族の使える面積を比較すると判断しやすくなります。

小さい家でも、働き方に合えば在宅勤務は可能です。ただし、家族の沈黙を前提にした設計は、働く人にも気兼ねを残します。調整で済む不便と、場所を分けなければ解決しない問題を見極め、勤務先との相談、改修、外部利用を組み合わせて、家族にも日常を返すことが必要です。

 

 

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