古家の基礎を残せば、新築費を節約できる?
結論 :古い基礎を残せば安くなるとは限らない
A 古家の基礎は、その上に建つ新しい建物へ使えるとは限りません。構造、寸法、鉄筋、強度、劣化、地盤、予定建物の荷重等を調べる必要があります。解体で撤去しない分だけ節約できるという計算の前に、設計者へ再利用の実現性を確認します。敷地にある古いコンクリートの全てが、使える建物基礎ではありません。土間や撤去途中の部材を再利用の利点として扱わず、用途と構造から確認する必要があります。
既存基礎を残す理由は、撤去費の節約なのか、構造体として再利用したいのかで違います。残置するだけなら、新築基礎、地盤改良、配管と干渉しないかを検討します。構造体として使うなら、寸法、配筋、コンクリート、劣化、支持地盤等を新しい建物の設計に合わせて評価する必要があります。
古い基礎については、構造体として再利用する案と、新築の構造には使わず地中へ残す案を最初に分けます。撤去しないという説明だけでは、どちらか分かりません。構造に使う場合は、新しい建物を支える根拠が必要です。残すだけの場合も、新しい基礎や改良、配管へ干渉しないかを確認します。既存のコンクリートが丈夫そうに見えることを、使える基礎という評価へ変えないでください。何を目的に残し、その判断を誰が設計として説明するかを住宅会社へ確認します。
図面と現況の情報を集める
基礎伏図、構造図、施工記録、確認関係の書類、補修履歴等を売主へ依頼します。外から形が見えても、地中の寸法や鉄筋まで分かるわけではありません。資料がない場合に何を調べられるか、調査で確定できない部分は何かを専門家へ聞きます。古家の間取り図しかない場合、基礎の詳細が分かるとは限りません。書類の不足と追加調査の方法を整理し、見えない部分を推測だけで安全と判断しないでください。
資料では、設計図と施工写真、基礎の寸法、鉄筋や強度の確認方法、劣化と補修の履歴を照合します。
資料では、基礎の平面と断面、鉄筋、コンクリート、地盤、施工記録、現在の劣化を調べます。古い間取り図だけでは、見えない底部や配筋まで分かりません。追加調査で確認できる内容と、なお不明な部分を設計者へ聞きます。新しい建物の壁や荷重が掛かる位置と古い基礎が合わなければ、形が似ているだけでは使えません。軸組、枠組壁工法等の構造の違いも含め、今回の建物に適するかを確認します。以前の家が長く建っていた実績を、別の構造と荷重の安全確認の代わりにしないようにします。
再利用と新築の手続きを確認する
既存基礎を使う計画でも、希望の建物が現在の条件へ適合するかを確認します。古い家の確認済証があることだけで、新築の構造を認められるわけではありません。既存建物を改修する案と、解体して建て替える案でも手続きが違います。[資料08]古い住宅と新築では構造や求められる性能が違う場合があります。既存基礎へ新しい形を載せる方法が成立するか、設計者がどこまで検討するかを明確にします。
担当者には、新築と改修の計画区分、構造上の検討、必要な申請、行政等へ示す資料を質問してください。
既存物を残す工事でも、新築、増改築、改修のどの計画として扱うかを設計者と審査の関係先へ確認します。工事の呼び方を変えて、必要な法令や申請の確認を省くものではありません。基礎の再利用で耐震や断熱の計画が制限される場合は、希望する性能へ届くかを検討します。床下の高さ、点検、配管、地盤面との関係も見ます。撤去費を減らすために、将来の点検ができない空間や無理な間取りを受け入れる案なら、その制約を価格差と別の判断材料として明示してください。
調査と補強を加えた金額で比べる
残す基礎に調査、補強、補修、配管変更等が必要なら、その費用を加えます。間取りや断熱、床の高さが制約される場合もあります。全部撤去して新設する案と、同じ性能と生活条件を満たす範囲で総額を比べてください。撤去費が不要になっても、調査と補強で総額が上がる場合があります。再利用を前提に設計を進める前に、費用が確定する段階と、断念した場合の変更費を聞きます。
見積もりは、調査と補強、設備と断熱への対応、間取りの制限、撤去して新設する案の費用をそろえて比べます。
費用の比較には、再利用案に共通しない仕事をすべて入れます。仮に再利用は調査20万円、補強70万円、設備変更15万円で105万円、新設案は撤去40万円と新基礎120万円で160万円と置けば、単純差は55万円です。ただし再利用案に新設する部分の基礎等が別途なら加えなければなりません。性能と工事範囲が同じと確認された場合だけの想定比較です。新設基礎の価格や再利用の適否を示す例ではありません。両案の総額と、確認できない部分が残る条件を並べて判断します。
解体範囲と責任の引継ぎを決める
再利用を検討するなら、解体業者へ壊してはいけない部分を明確に伝えます。設計者、施工者、保証や保険等が求める条件も確認します。使えると判断した根拠と、施工中に不具合が分かった場合の対応を、着工前に整理しておきましょう。工事中に鉄筋や劣化等の状態が想定と違った場合は、設計を止めて再検討する手順も必要です。使うと契約したから必ず残すという進め方にしないことが大切です。
契約前には、残す部位の図示、解体手順、再利用を判断する担当、追加補修と保証の条件を整理します。
具体例で分かる購入への影響
仮定例として、撤去費40万円を省く案でも、調査20万円、補強70万円、配管変更15万円なら105万円の支出です。金額は例ですが、古い物を残すことで新しい工事の自由度が下がる仕組みを示しています。図面があるだけで、図面どおりの施工や現在の性能まで確認できたとは扱いません。
再利用できないと分かった場合の支出は、先行した調査費と撤去・新設費を合算します。調査したから使わなければ損という判断で、根拠の足りない再利用を進めません。評価の結果を受けて選び直せることも調査の価値なので、判断段階と追加費を先に決めます。
仲介会社と住宅会社に聞く言葉
「残す基礎は構造として使いますか。新築の荷重と形へ適合する根拠、現物の調査、補強と保証の範囲を示してください。撤去して新設する案との総額と工期も比較できますか」と依頼します。
施工中に想定と違う状態が出た場合は、再利用を止めて再検討する手順を決めます。契約したから何でも残す、途中で壊せばよいと進めず、設計の再確認、見積もり、工程変更を施主へ説明してもらいます。保証や保険等の対象は、既存部分と新設部分で違う場合があるので、誰が何を保証し、どの資料が必要かを確認します。一般的な新築保証の説明を、そのまま再利用する既存基礎全体の保証と受け取らないようにします。責任範囲を言葉だけでなく対象図へ対応させてください。
購入を進める条件と止める条件
再利用に必要な評価と手続きができ、費用・性能・責任に納得できる場合に検討します。新築を扱う会社が責任範囲を説明できない、内部を確認できない、配置を古い基礎に無理に合わせる場合は、節約額だけで判断しないことです。更地渡しなら、基礎を残す合意があるかも売買条件へ戻って確認します。
再利用案を選ぶ場合は、解体する物と保護する物を工事業者へ図示し、損傷を避ける施工方法を確認します。検討の結果使わない場合は、既に掛かった調査費と撤去・新設費を含めた総額を出してもらいます。土地の更地渡しに基礎撤去が含まれていたなら、残す変更を売買条件へも反映します。売主、解体業者、新築の設計者で前提を合わせてください。古い物を残すこと自体を節約と評価せず、必要な性能と暮らしを満たし、責任を説明できる完成総額で判断することが大切です。
関連URL
1 e Gov法令検索 建築基準法
新築や改修等に関係する建築基準法の条文を確認できます。既存基礎を使う計画の手続きと適合は、設計者・審査の関係先へ確認します。
https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201
2 住宅リフォーム 紛争処理支援センター 基礎と地盤の技術資料
地盤と基礎の調査・評価に関する技術資料です。古い基礎の状態と新しい建物を支える条件を、設計者へ説明してもらう参考です。










