Q. なぜ気密測定をしない会社があるのか?
A. 測定すると施工結果が数値で出てしまい、基準を下回った場合に手直しが必要になるからです
気密測定をしない理由には、測定費用、工期、測定業者の手配などがあります。
しかし、本質的な理由は別です。
気密測定をすると、その住宅にどのくらいの隙間があるのかがC値として明確に出ます。設計図やカタログではなく、実際に施工した建物の結果が数字で分かってしまうのです。
高気密住宅と宣伝しながら、測定結果が悪ければ説明がつきません。基準を満たさなければ、隙間を探して手直しする必要もあります。
だからこそ、あえて測定しない会社があります。
気密性能は、断熱材の商品名や職人の経験だけでは判断できません。測定しなければ、その家が本当に高気密なのかは分からないのです。
気密測定とは?
気密測定とは、専用の機械を使い、建物全体にどのくらいの隙間があるのかを測定する検査です。
測定結果は、一般的にC値で表示されます。
C値は、住宅全体の隙間面積を延べ床面積で割った数値で、単位は㎠/㎡です。数値が小さいほど、隙間の少ない住宅になります。
例えば、延べ床面積100㎡の住宅でC値1.0なら、建物全体に約100㎠の隙間があるという考え方です。
同じ100㎡の住宅でC値0.5なら、隙間の合計は約50㎠になります。
ただし、C値は設計図から正確に計算することはできません。
現場で専用機器を使って測定しなければ分からない、施工結果の数値です。
UA値だけでは気密性能は分からない
UA値は、住宅の外皮からどのくらい熱が逃げやすいかを示す数値です。
断熱材、窓、玄関ドアなどの性能を基に計算します。
一方、C値は実際の建物にどのくらいの隙間があるかを測定した数値です。
UA値が優秀でも、施工された住宅に多くの隙間があれば、そこから空気が出入りします。
つまり、UA値は主に設計上の断熱性能、C値は現場でつくられた気密性能です。
断熱等級6やUA値0.46以下だからといって、自動的に高気密住宅になるわけではありません。
気密性能は職人の施工で変わる
同じ設計、同じ断熱材、同じサッシを使用しても、気密性能は同じになるとは限りません。
気密性能は、次のような細かな施工に左右されます。
- 床と壁の取り合い
- 壁と天井の取り合い
- 窓や玄関ドアの周囲
- コンセントやスイッチ
- 給排水管の貫通部分
- 換気ダクトの周囲
- エアコン配管の穴
- 構造材や金物の周辺
- 気密シートの重なり部分
- 点検口や床下収納庫
こうした部分を一つずつ丁寧に処理しなければ、隙間の多い家になります。
高気密住宅は、高性能な材料を買えば完成する商品ではありません。
現場で正しく施工し、その結果を測定して初めて確認できる性能です。
測定費用を省きたい
気密測定には、測定機器、測定担当者、報告書の作成などの費用がかかります。
住宅会社によっては、建築費を少しでも安く見せるため、気密測定を省くことがあります。
しかし、住宅総額から見れば、気密測定費は極端に大きな費用ではありません。
数千万円の住宅を購入するのに、実際の施工性能を確認する検査を省くべきかは慎重に考える必要があります。
気密測定をオプションにしている会社もあります。
その場合は、測定費用だけでなく、基準を満たさなかった場合に誰の負担で手直しするのかも確認してください。
測定で悪い数値が出るのが怖い
気密測定をすれば、良い結果だけが出るとは限りません。
施工に問題があれば、会社が想定した基準を満たさないことがあります。
測定結果が悪ければ、隙間の場所を探し、補修し、必要に応じて再測定しなければなりません。
当然、手間も時間も費用もかかります。
測定しなければ、こうした問題は表面化しません。
「当社は高気密住宅です」
「気密には十分配慮しています」
「熟練した職人が施工しています」
このような言葉だけで説明を終えることもできます。
しかし、どれだけ丁寧に施工したと言われても、測定結果がなければ本当のC値は分かりません。
気密施工の基準が統一されていない
会社として気密施工のルールが決まっていなければ、担当する職人によって施工方法が変わります。
ある現場ではC値0.5、別の現場ではC値2.0というように、大きな差が出る可能性があります。
気密性能を安定させるには、次の体制が必要です。
- 気密施工の標準マニュアル
- 職人への教育
- 現場監督による確認
- 工程ごとの写真記録
- 中間段階での気密測定
- 基準未達時の補修
- 完成時の最終確認
会社として体制が整っていない場合、全棟測定を約束することが難しくなります。
「過去に良いC値が出ました」という説明では、これから建てる自分の家の性能は保証されません。
法的な義務ではないから測定しない
住宅の省エネルギー性能では、断熱性能を示すUA値などが重視されています。
一方、一般的な新築住宅で、すべての建物に気密測定を義務付ける仕組みにはなっていません。
そのため、気密測定をしなくても建築確認や引き渡しができる場合があります。
法律上求められていない検査に、費用や手間をかけない会社もあります。
しかし、法律に違反していないことと、高気密住宅であることは別の話です。
高気密を性能として販売するのであれば、実際の住宅で測定するのが最も分かりやすい確認方法です。
一棟だけ測定して広告に使う会社もある
モデルハウスや過去の一棟だけを測定し、その数値を会社全体の実績のように表示している場合があります。
しかし、C値は一棟ごとの施工結果です。
モデルハウスでC値0.3が出ても、あなたの家がC値0.3になるとは限りません。
次の表現には注意が必要です。
- 参考C値
- 実績値
- 過去最高値
- 当社施工例
- C値0.5を記録
- 気密性能に配慮
- 高気密仕様
確認すべきなのは、会社の最高記録ではありません。
自分の家を測定するのか、基準値はいくつか、未達の場合に手直しするのかという3点です。
抜き取り測定では自分の家の結果が分からない
住宅会社によっては、年間に建てる住宅の一部だけを抜き取りで測定しています。
抜き取り測定は、施工品質の傾向を確認する意味では無駄ではありません。
しかし、測定していない住宅のC値は分かりません。
気密性能は、間取り、建物形状、窓の種類、配管の数、施工者などによって変わります。
「同じ仕様だから同じC値になるはず」という説明だけでは、実測したことにはなりません。
本当に自分の家の性能を確認したいなら、全棟測定を行う会社を選ぶ必要があります。
測定する時期も重要
気密測定には、主に中間測定と完成測定があります。
中間測定は、気密層を施工した後、内装で隠れる前に行います。
数値が悪かった場合でも、隙間の場所を探して補修しやすいことが利点です。
完成測定は、住宅が完成した状態で最終的な気密性能を確認します。
ただし、完成後に大きな隙間が見つかっても、壁や天井の内部を簡単に直せない場合があります。
理想は、中間段階で測定して必要な補修を行い、会社の方針に応じて完成時にも最終結果を確認することです。
少なくとも、いつ、どの状態で、どの基準に基づいて測定するのかを契約前に確認してください。
C値だけを見ればよいわけではない
C値は重要ですが、C値だけで住宅の性能がすべて決まるわけではありません。
気密性が高くても、断熱性能が低ければ熱は壁や窓から逃げます。
換気計画が悪ければ、空気が適切に入れ替わらない可能性があります。
防水や構造の施工が不十分なら、住宅の耐久性や耐震性にも問題が生じます。
高性能住宅には、次の要素を総合的に考える必要があります。
- 断熱性能
- 気密性能
- 換気計画
- 日射取得と日射遮蔽
- 冷暖房計画
- 防露対策
- 耐震性能
- 施工品質
C値は家の性能を確認する大切な数字ですが、それだけを競う住宅づくりも危険です。
測定条件を確認する
C値を比較するときは、数値だけでなく測定条件も確認する必要があります。
気密測定では、換気口などの計画された開口部を測定方法に従って処理します。
しかし、本来ふさぐべきでない部分まで過剰にふさいだり、住宅が完成していない状態で都合のよい数値だけを示したりすれば、実際の暮らしに近い性能を判断できません。
確認したいのは次の点です。
- 中間測定か完成測定か
- 測定時の建物の状態
- 誰が測定したのか
- 測定報告書が発行されるか
- C値の社内基準はいくつか
- 基準未達時に再測定するか
- 測定結果を施主へ渡すか
数字の小ささだけでなく、測定方法と報告書の有無まで確認してください。
気密性が低いと何が起きるのか?
気密性が低い住宅では、計画していない隙間から空気が出入りします。
その結果、次のような問題が起きやすくなります。
- 冷暖房した空気が逃げやすい
- 部屋ごとの温度差が大きくなる
- 窓際や足元で寒さを感じる
- 計画換気が機能しにくくなる
- 外の湿気や冷気が壁内へ入りやすくなる
- 冷暖房費が増える
- 外部の音やほこりが入りやすくなる
- エアコンの効きが悪くなる
気密性能は、単なる省エネの数字ではありません。
快適性、換気、結露対策、建物の耐久性にも関係します。
換気するなら隙間が必要という説明は正しいのか?
「家には換気が必要だから、少しくらい隙間があった方がよい」と説明されることがあります。
しかし、計画換気と建物の隙間は別です。
換気設備は、決められた給気口から空気を入れ、決められた排気口から空気を出すことで、住宅全体の空気を計画的に入れ替えます。
建物の隙間が多いと、近くの隙間から空気が出入りし、換気したい場所まで空気が流れない可能性があります。
高気密住宅は換気を止める家ではありません。
余計な隙間を減らし、換気設備によって必要な空気を計画的に入れ替える家です。
住宅会社に聞くべき質問
気密性能については、契約前に次の質問をしてください。
- 気密測定は全棟で行いますか
- 私の家も必ず測定しますか
- 測定費用は見積りに含まれていますか
- 測定する時期はいつですか
- C値の基準はいくつですか
- 基準を超えた場合は手直ししますか
- 手直しと再測定の費用は誰が負担しますか
- 測定報告書を受け取れますか
- 過去の平均C値はいくつですか
- 最も悪かったC値はいくつですか
- 気密施工のマニュアルはありますか
- 換気設備の計画と気密性能をどう連動させていますか
特に重要なのは、最高値ではなく平均値と最低水準です。
一番良かった家のC値だけでは、施工品質が安定しているか判断できません。
気密測定の比較ポイント
| 確認項目 | 安心しやすい回答 | 注意したい回答 |
|---|---|---|
| 測定対象 | 全棟で測定 | 抜き取り、希望者のみ |
| 数値基準 | 契約前に明示 | 測ってから判断 |
| 測定時期 | 補修可能な段階で実施 | 完成後だけ、時期不明 |
| 基準未達 | 補修して再測定 | そのまま引き渡す |
| 測定結果 | 報告書を施主へ提出 | 口頭説明だけ |
| 実績 | 平均値や分布を公開 | 過去最高値だけ |
| 費用 | 見積りに含まれる | 契約後に追加 |
| 施工管理 | 統一した施工基準がある | 職人任せ |
デザインハウス甲府の考え方
デザインハウス甲府では、気密性能は言葉ではなく、実測結果で確認するものだと考えています。
そのため、全棟で気密測定を実施し、C値0.7以下を基準としています。
「高気密住宅です」と宣伝するだけではなく、建てた一棟ごとに測定することが重要です。
標準仕様は、壁厚約160mmの2×6工法、断熱等級6、UA値0.46以下です。気密性能だけでなく、熱回収率92%の第一種熱交換換気を組み合わせ、断熱・気密・換気を一体で考えています。
耐震性能についても、全棟で許容応力度計算による耐震等級3とし、制震装置evoltzを標準採用しています。
24坪平屋3LDKは、付帯工事、建築確認申請費、消費税込みで2,050万円。30坪二階建て3LDKは、同条件で2,200万円です。
気密測定費を後から追加するのではなく、必要な性能と工事を含めた総額で比較していただくことを大切にしています。
住宅性能を下げて価格を安く見せるのではありません。
無駄な面積、複雑な形、過剰な装飾を見直し、構造、断熱、気密、換気など、完成後に簡単には直せない部分は削らない。それがデザインハウス甲府の考え方です。
俺流結論
気密測定をしない最大の問題は、C値が悪いことではありません。
自分たちが建てた住宅の隙間を、最後まで確認しないことです。
測定して悪ければ、補修できます。
測定しなければ、良いのか悪いのかさえ分かりません。
高気密住宅という言葉、断熱等級、UA値、断熱材の商品名だけで安心してはいけません。
「全棟で測定しますか」
「基準を超えたら直しますか」
「報告書をもらえますか」
契約前に、この3つを質問してください。
回答が曖昧なら、高気密を証明できる会社ではなく、高気密という言葉を販売している会社かもしれません。
完成後に寒いと感じても、壁の中の隙間を探して直すのは簡単ではありません。
だから、気密測定は完成した家の成績発表ではなく、見えなくなる施工を確認し、必要なら直すための検査なのです。
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