Q. なぜC値を公開しない住宅会社があるのか?
A. 主な理由は、全棟で気密測定をしていない、測定結果にばらつきがある、公開すると数値を約束しなければならないからです。
C値は、住宅全体にどれくらいの隙間があるかを示す数値です。
UA値のように図面と仕様から計算する数値ではありません。実際に建てた住宅を専用の機械で測定しなければ分かりません。
だからこそ、C値を公開できるかどうかは、その住宅会社の施工精度と品質管理に対する姿勢を判断する材料になります。
ただし、C値を掲載していないだけで、直ちに気密性能が悪いとは断定できません。重要なのは、公開しない理由と、契約する住宅で測定するかを確認することです。
C値とは?
C値は「相当隙間面積」と呼ばれ、住宅全体の隙間面積を延床面積で割った数値です。
単位は㎠/㎡で、数値が小さいほど隙間の少ない住宅です。
C値=住宅全体の相当隙間面積÷延床面積
延床面積100㎡の住宅で比較します。
| C値 | 住宅全体の相当隙間面積 |
|---|---|
| 5.0 | 約500㎠ |
| 2.0 | 約200㎠ |
| 1.0 | 約100㎠ |
| 0.7 | 約70㎠ |
| 0.5 | 約50㎠ |
C値0.7なら、住宅全体にある細かな隙間を集めた面積が約70㎠という意味です。
気密性能試験の方法は、JIS A 2201で規定されています。送風機によって建物内外に圧力差をつくり、空気の流量から住宅の気密性能を測定します。日本規格協会「JIS A 2201」
公開しない理由1.気密測定をしていない
最も単純な理由は、C値を測定していないことです。
C値は、断熱材や窓の商品カタログを見ても分かりません。
同じ図面、同じ断熱材、同じサッシで建てても、次の施工によって結果は変わります。
- 窓まわりの処理
- 壁と床の接合部
- 壁と天井の接合部
- 配管・配線の貫通部
- コンセントボックス
- 換気ダクト
- 気密シートの重なり
- 気密テープの施工
測定していない会社は、「当社の住宅は高気密です」と説明できても、その住宅が実際にどの程度の気密性能なのか証明できません。
「高気密仕様」と「高気密の実測値」は別物です。
公開しない理由2.国の基準で測定が義務化されていない
現在の国の省エネ基準では、UA値や一次エネルギー消費量などが重視されていますが、すべての新築住宅にC値測定が義務付けられているわけではありません。
そのため、住宅会社側は気密測定をしなくても、法令上必要な手続きを進められる場合があります。
- 義務ではない
- 測定費がかかる
- 現場の手間が増える
- 結果が悪ければ修正が必要
- 完成時期へ影響する可能性がある
こうした理由から、測定を省く会社があります。
しかし、義務ではないことと、住宅性能として重要ではないことは別です。
断熱材を入れただけで、その性能が設計どおり発揮されるとは限りません。
公開しない理由3.現場ごとの数値にばらつきがある
C値は、商品や工法だけで決まる数値ではありません。
現場の職人、建物形状、窓の数、配管、施工管理などによって変わります。
たとえば、過去に一棟だけC値0.5が出ても、次の住宅が0.5になる保証はありません。
| 住宅 | 測定結果 |
|---|---|
| A棟 | C値0.5 |
| B棟 | C値0.8 |
| C棟 | C値1.3 |
| D棟 | 未測定 |
この状態で「当社のC値は0.5です」と宣伝すれば、お客様は自分の住宅も0.5になると受け取ります。
全棟で安定した数値を出せない会社ほど、明確な基準を公開しにくくなります。
確認すべきなのは最高記録ではありません。
全棟の平均値、直近の実績、合格基準、基準を超えた場合の対応です。
公開しない理由4.数値を約束したくない
ホームページや契約書に「C値0.7以下」と明記すれば、その会社は実際の住宅で0.7以下を実現する責任を負います。
結果が0.9だった場合、隙間を探して補修し、再測定する必要があります。
この作業には、人件費、測定費、工程調整が発生します。
一方、「高気密住宅」「気密性に配慮」とだけ表現すれば、具体的な合格基準はありません。
お客様から見れば分かりにくい表現ですが、住宅会社にとっては数値責任を負わずに済みます。
次の表現には注意が必要です。
- 高気密仕様
- 気密性に優れた工法
- 隙間の少ない家
- 魔法瓶のような住宅
- 2×6だから高気密
- 吹付断熱だから高気密
工法や断熱材だけでは、完成した住宅のC値は証明できません。
公開しない理由5.測定結果が悪いと原因が施工にあると分かる
UA値は、断熱材や窓などの仕様を基に計算できます。
一方、C値は現場の完成度を測る数値です。
結果が悪ければ、次のような施工上の課題が見つかる可能性があります。
- 気密テープの貼り忘れ
- 配管まわりの処理不足
- 窓まわりの隙間
- 気密シートの破損
- 天井と壁の取合い不良
- 床下や小屋裏への空気漏れ
測定を行えば、目視だけでは見つけにくい漏気箇所が明らかになります。
反対にいえば、測定しなければ、問題が数値として表面化しません。
C値を測る目的は、会社の記録を競うことではありません。完成後に隠れてしまう施工不良を発見し、補修することです。
公開しない理由6.気密測定を外注費と考えている
気密測定には費用がかかります。
しかし、住宅総額が数千万円になる家づくりで、性能確認の測定だけを省くべきかは慎重に判断する必要があります。
たとえば、耐震性能なら構造計算を行い、コンクリートなら強度を確認します。
同じように、高気密を強みとして販売するなら、完成した住宅で測定するのが自然です。
測定費を削減して住宅価格を安く見せても、冷暖房効率や換気計画に影響すれば、建築後にお客様が負担することになります。
C値が悪いと何が起こる?
住宅の隙間が多いと、次の問題が起きやすくなります。
- 冷暖房した空気が逃げる
- 外気が想定外の場所から入る
- 部屋ごとの温度差が大きくなる
- 計画換気が機能しにくくなる
- 壁内へ湿気が入りやすくなる
- 結露・カビのリスクが高まる
- 外の音や臭いが入りやすくなる
- 冷暖房費が増える可能性がある
断熱性能と気密性能は別の性能です。
| 性能 | 数値 | 確認方法 |
|---|---|---|
| 断熱性能 | UA値 | 設計時の計算 |
| 気密性能 | C値 | 建物完成後の実測 |
| 省エネ性能 | 一次エネルギー消費量 | 設計時の計算 |
| 耐震性能 | 耐震等級 | 構造計算 |
UA値が0.46でも、C値が悪ければ、計算した断熱性能を十分に生かせない可能性があります。
平均C値と最低保証値は違う
住宅会社が「平均C値0.5」と公開していても、それだけで安心はできません。
平均値には、非常に良い一部の住宅が含まれている可能性があります。
確認するべき内容は次のとおりです。
- 全棟で測定しているか
- 平均値か最低保証値か
- 直近何棟の平均か
- 完成時の測定か施工途中の測定か
- 測定報告書を受け取れるか
- 基準を超えた場合に補修するか
- 補修後に再測定するか
「過去最高C値0.2」より、「全棟C値0.7以下を基準として、超えた場合は補修・再測定」の方が、お客様にとって意味があります。
中間測定と完成測定
気密測定には、主に施工途中の中間測定と、完成後の測定があります。
| 測定時期 | 主な目的 |
|---|---|
| 中間測定 | 壁を閉じる前に漏気箇所を発見・補修する |
| 完成測定 | 完成した住宅の最終的なC値を確認する |
中間測定は、漏気部分を直しやすいことがメリットです。
一方、完成測定では、設備や内装まで完成した最終状態を確認できます。
理想は両方ですが、少なくとも完成した住宅の測定結果を確認する必要があります。
契約前に聞く7つの質問
- 全棟で気密測定を実施しますか
- C値の合格基準はいくつですか
- その基準は見積書や契約書に記載されますか
- 測定は中間時と完成時のどちらですか
- 第三者が測定しますか
- 基準を超えた場合は補修・再測定しますか
- 測定報告書を引渡し時にもらえますか
「測定できます」では不十分です。
標準仕様なのか、有料オプションなのか、希望した人だけなのかも確認します。
俺流結論
C値を公開しない会社のすべてが、気密性能の低い住宅を建てているとは限りません。
しかし、測定しなければ、その家が高気密かどうかは誰にも分かりません。
私なら、「高断熱高気密」という広告の言葉では判断しません。
全棟で気密測定を行い、C値0.7以下を基準として、結果をお客様へ渡し、基準を超えたら補修・再測定するかを確認します。
C値は、カタログに書かれた理論値ではありません。
その住宅を建てた職人と、現場を管理した住宅会社の仕事が、そのまま数字に出ます。
数値を公開しない理由を曖昧にする会社より、良い結果も悪い結果も測定し、改善できる会社を選ぶべきです。










