Q. なぜ注文住宅はオプションが増えるのか?
A. 最初の価格を安く見せるために必要な工事や設備が標準仕様から外されていること、契約前に間取りや仕様を決め切れていないことが主な原因です。
注文住宅では、打ち合わせを進めるほどオプションが増え、最初の見積りより100万~300万円高くなることがあります。
すべてがお客様のぜいたくとは限りません。
生活に必要な設備まで標準仕様に含まれていない、見積書の工事範囲が曖昧、契約後に初めて設備を選ぶという住宅会社側の販売方法にも原因があります。
重要なのは、本体価格ではなく、実際に住み始められる状態までの総額です。
オプションが増える7つの理由
1.最初の価格を安く見せている
住宅広告では、まず安い価格で興味を持ってもらう必要があります。
そのため、本体価格には最低限の内容だけを入れ、次の費用を別にしている場合があります。
- 屋外給排水工事
- 建築確認申請費
- 地盤改良工事
- 照明
- カーテン
- 網戸
- シャッター
- 食器棚
- エアコン
- 外構工事
- 太陽光発電
- 気密測定
- 構造計算
- 長期優良住宅申請
広告価格1,800万円でも、必要な工事や設備を加えた総額が2,300万円なら、1,800万円の家ではありません。
「オプションが増えた」のではなく、最初から必要な費用が表示されていなかっただけという場合もあります。
2.標準仕様の範囲が曖昧
「キッチン標準」「照明一式」「外構一式」と書いてあっても、その中身は住宅会社ごとに違います。
たとえば、キッチン本体は標準でも、次の設備がオプションの場合があります。
- 食器洗い乾燥機
- IHクッキングヒーター
- 浄水器
- カップボード
- タッチレス水栓
- レンジフード変更
- 人造大理石シンク
- キッチンパネル追加
- コンセント増設
標準仕様書に、メーカー、商品名、型番、サイズ、色、数量が記載されていなければ、正確に比較できません。
「標準です」という言葉ではなく、実物と型番で確認します。
3.契約前に仕様を決めていない
建物価格と簡単な間取りだけで契約し、設備や内装を契約後に決めると、追加費用が増えやすくなります。
契約後の打ち合わせでは、営業担当者から次々に提案されます。
- こちらの方が掃除しやすい
- 皆さん採用しています
- 今しか変更できません
- 数千円の追加で済みます
- せっかくの新築です
- 後から工事すると高くなります
一つひとつは少額でも、家全体では大きな金額になります。
契約前に最低でも、次の内容を決めます。
- 間取りと建物面積
- 窓の数・大きさ
- キッチン・浴室・洗面・トイレ
- 床・建具・壁紙
- 照明・コンセント
- 収納
- 太陽光発電
- 外構
- 住宅性能
- 申請・検査・保証
仕様を決めないまま契約することは、最終価格が分からない商品を先に買うことです。
4.SNSで欲しい設備が増える
InstagramやYouTubeでは、造作洗面、間接照明、ハイドア、タイル、アイランドキッチンなどが魅力的に見えます。
しかし、投稿には追加費用やメンテナンス費まで書かれていないことがあります。
| オプション例 | 増額の一例 |
|---|---|
| キッチングレードアップ | 50万円 |
| カップボード | 30万円 |
| 造作洗面 | 25万円 |
| 間接照明 | 15万円 |
| タイル施工 | 15万円 |
| ハイドア変更 | 20万円 |
| 収納追加 | 20万円 |
| 合計 | 175万円 |
金額は商品や施工条件によって変わりますが、「これくらいなら」が重なると100万円を簡単に超えます。
採用前に、使用頻度、掃除、交換費用、代替品を確認します。
5.設備のショールームで上位商品を見てしまう
ショールームでは、標準商品だけでなく、上位グレードの商品も展示されています。
展示品は照明や空間まで美しく設計されているため、標準仕様が物足りなく感じやすくなります。
- 浴槽を変更
- 壁パネルを変更
- 浴室暖房を追加
- キッチン天板を変更
- 食洗機を大型化
- 洗面台を大型化
- トイレを上位機種へ変更
ここで注意したいのは、設備の差額だけではありません。
配管、電気、下地、設置工事、建物寸法の変更が必要になれば、関連工事費も増えます。
ショールームへ行く前に、標準仕様とオプション予算の上限を決めます。
6.間取り変更が関連工事を増やす
契約後に間取りを変更すると、壁を移動するだけでは済みません。
- 構造計算の変更
- 基礎の変更
- 窓の変更
- 配線・配管の変更
- 換気計画の変更
- 照明計画の変更
- 確認申請の修正
- 材料の再発注
たとえば、ランドリールームを広げるために建物を1坪増やせば、その1坪には基礎、構造、断熱材、外壁、屋根、床、内装が必要です。
坪単価75万円なら、1坪の追加で約75万円、2坪なら約150万円です。
「部屋を少し広くするだけ」という変更でも、住宅全体の価格に影響します。
7.追加費用を一件ずつ判断してしまう
オプション費用を一件ずつ見ると、安く感じます。
- コンセント追加:数千円
- 棚の追加:数万円
- 建具変更:数万円
- 照明変更:数万円
- 水栓変更:数万円
しかし、判断すべきなのは一件の金額ではなく、追加費用の累計です。
変更のたびに、次の計算をします。
現在の総額+今回の追加費用=変更後の総額
住宅会社には、追加変更一覧と最新の総額を毎回提示してもらいます。
オプション300万円の本当の負担
オプションを住宅ローンで借りれば、払うのは追加額だけではありません。
金利年1.5%、35年返済、ボーナス払いなしの概算です。
| 追加額 | 毎月返済の増加 | 35年間の返済総額 |
|---|---|---|
| 100万円 | 約3,100円 | 約129万円 |
| 300万円 | 約9,200円 | 約386万円 |
| 500万円 | 約1万5,300円 | 約643万円 |
300万円のオプションは、利息を含めると約386万円を返す計算です。
毎月約9,200円なら、年間約11万円です。
その設備が、本当に35年間の返済に見合うか考えます。
削ってはいけないもの
すべての追加費用を削ればよいわけではありません。
完成後に変更しにくく、命、健康、光熱費に関係するものは優先します。
- 許容応力度計算による耐震等級3
- 制震装置
- 断熱等級6
- UA値0.46以下
- 適切な窓性能
- 全棟気密測定
- C値0.7以下
- 第一種熱交換換気
- 完成保証
- 地盤保証
- 長期優良住宅
予算が不足したときに、構造計算、断熱材、窓、気密測定を削り、キッチンやタイルを残すのは順番が逆です。
設備や内装は将来交換できますが、構造、断熱、気密は簡単に変更できません。
先に見直すもの
予算を調整するなら、次の順番で見直します。
- 使わない床面積
- 建物の凹凸
- 窓の数と大きさ
- 造作家具
- 内装材・タイル
- 設備の上位グレード
- 間接照明などの装飾
- なくても暮らせる追加設備
住宅性能を下げる前に、広さと装飾を見直します。
2坪小さくして150万円抑えられれば、断熱・気密・耐震性能を守れる可能性があります。
契約前に確認する10項目
- 標準仕様書があるか
- メーカー・商品・型番が記載されているか
- 照明・カーテン・網戸は含まれるか
- 食器棚・エアコンは含まれるか
- 屋外給排水工事はいくらか
- 確認申請・構造計算費は含まれるか
- 太陽光発電は含まれるか
- 外構予算はいくら見込んでいるか
- 「別途」「一式」「概算」の内訳は何か
- 住み始めるまでの総額はいくらか
見積書に「別途」と書かれている項目は、0円ではありません。
金額が未確定な支出です。
契約前に確定できない場合は、予備費として資金計画へ入れます。
追加変更の正しい進め方
契約後に追加や変更をする場合は、工事を始める前に次の内容を書面で確認します。
- 変更内容
- 追加・減額費用
- 関連する工事費
- 工期への影響
- 住宅性能への影響
- 変更後の総額
- 支払時期
口頭で「お願いします」と伝えただけでは、認識の違いが起きる可能性があります。
住まいるダイヤルも、追加工事では必要な理由と金額を確認し、合意内容を書面に残すよう案内しています。住宅リフォーム・紛争処理支援センター
変更前の見積書、変更後の見積書、承認書をすべて保管します。
俺流結論
注文住宅のオプションが増える理由は、お客様の希望が多いからだけではありません。
最初の価格を安く見せるために必要なものを外し、仕様が決まらないまま契約させ、契約後に追加する販売方法にも原因があります。
私なら、本体価格では比較しません。
土地、建物、付帯工事、確認申請、構造計算、太陽光、外構、諸費用、消費税を含む総額で比較します。
そのうえで、許容応力度計算による耐震等級3、断熱等級6、UA値0.46以下、全棟気密測定、C値0.7以下は削りません。
オプションを減らす一番の方法は、我慢することではありません。
契約前に必要な仕様を決め、最初から正直な総額を出してもらうことです。
安く契約できたことが成功ではありません。最終的に予算内で完成し、建てた後も無理なく返済できることが成功です。










