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家を建てよう。ラジオ放送の質問から(2025年11月放送分4)

山梨市  明子さん
やはり低コストのお家は魅力的です。
ネットで 1000万円台で建てられるお家も見かけ・・・これならいけるかもと
考えてしまいます。ビジュアル的には魅力的ですし、そこでお聞きしたいのが コスパが高い家は、どんなところでそのコストを削っているのでしょうか>
生活する上で あきらめないといけない部分  (例えば耐震性 断熱性能) とか、あるのでしょうか?

1000万円台で建てられるローコスト住宅は非常に魅力的ですよね。コストパフォーマンスが高い家が、どんな工夫でコストを削っているのか、また生活で諦めなくてはいけない可能性のある部分について解説します。

結論から言うと、ローコスト住宅は品質を犠牲にしているというより、「効率化と規格化」でコストを削減しているのが主な仕組みです。しかし、その過程で、特に「断熱性・気密性」などの住宅性能や、「間取りの自由度」「設備のグレード」を妥協せざるを得ない場合があるため注意が必要です。

コストを削っている主な仕組み

ローコスト住宅の建築会社は、以下の3つの柱で徹底したコストダウンを図っています。

1. 規格化と効率化

  • 間取り・デザインの規格化: 複雑な間取りや凹凸の多い外観は、材料が多く必要になり、施工にも手間と時間がかかります。ローコスト住宅は、総二階建てや真四角・長方形などシンプルな設計を規格化することで、設計費や現場での施工の手間を大幅に削減しています。

  • 工期の短縮: 規格化された家は施工手順が確立されているため、一般的な注文住宅(6ヶ月程度)より短い工期(4〜5ヶ月程度)で完成させることができ、人件費(現場管理費)を抑えられます。

2. 材料・設備の仕入れ戦略

  • 大量一括仕入れ: 住宅の仕様(建材、キッチン、風呂、トイレなど)を特定メーカーの特定グレードに絞り、大量にまとめて仕入れることで、単価を大幅に下げています。

  • 標準仕様の統一: 選べる材料や設備を標準仕様に限定することで、発注・在庫管理のコストも削減されます。標準仕様は、多くの場合、機能面で問題のない普及品グレードのものが選ばれます。

3. 企業の運営コスト

  • 広告宣伝費の削減: 大規模なテレビCMや、豪華な総合住宅展示場への出展を避けることで、大きな宣伝費を削減しています。口コミやウェブサイト、実際の完成見学会を中心に集客していることが多いです。

  • 人件費・間接経費の削減: 打ち合わせ回数を限定したり、営業担当者が設計を兼任したりすることで、人件費や間接経費を抑えています。

 生活する上で諦めないといけない可能性のある部分

コスト削減の裏側で、生活する上で長期的視点で後悔につながりやすい部分や、建築時に妥協しがちな部分があります。

1. 住宅性能に関する注意点

特に注意が必要なのが、断熱性・気密性です。

  • 断熱性・気密性コストを抑えるために、壁に入れる断熱材のグレードが低かったり、窓の性能が低いものが標準仕様になっていることがあります。

    • 結果: 夏は暑く冬は寒い家になり、快適な室温を保つために冷暖房をフル稼働させる必要があり、月々の光熱費が予想外にかさむリスクがあります。これは長期的なコスト(ランニングコスト)で考えると、かえって割高になる可能性があります。

  • 耐震性: 建築基準法を満たしていれば最低限の耐震性は確保されていますが、より安心できる耐震等級3を標準としているかは、会社によって異なります。

  • 遮音性: 壁や床の構造がシンプルなため、隣室の生活音や外の騒音が気になるなど、遮音性が低い場合があります。

2. デザイン・仕様に関する注意点

  • 間取りの自由度: 規格化されているため、複雑な間取りや、特殊な土地に合わせた設計の自由度が低いです。コンセントの位置や照明の位置など、細かいカスタマイズが制限されることもあります。

  • 設備のグレード: キッチン、浴室、トイレなどの標準設備は、機能的には問題なくても、最新モデルやデザイン性の高いもの、高機能なものは選べないことが多いです。グレードアップすると、一気に費用が跳ね上がり、ローコストのメリットが失われる可能性があります。

  • 内装材・外装材: 使用する床材や壁材、外壁材などが、耐久性やデザイン性よりも価格を優先した普及品となるため、「安っぽい」と感じる場合があります。

3. アフターサービス・保証

  • アフターサービス: 会社によっては、定期点検の回数が少なかったり、保証内容が手薄である可能性があります。これは長期的に安心して住む上で非常に重要な要素です。

コスパを高くする選び方

1000万円台の住宅でも、工夫次第で価格以上の満足度を得ることは十分可能です。

  • 性能のメリハリをつける: 全てを妥協せず、「断熱性・気密性」など、後から変更が難しい基本性能だけはオプションでグレードアップすることを検討しましょう。光熱費を抑えることで長期的なコストメリットが得られます。

  • 極力シンプルな設計を貫く凹凸の少ないシンプルな外観・間取りを積極的に選び、コスト削減のメリットを最大限に享受しましょう。

  • 総額で比較する: 提示された「建物本体価格」だけでなく、付帯工事費(電気、ガス、水道の引き込みなど)や諸費用(税金、ローン手数料)も含めた総額で予算内に収まるかを確認しましょう。

ローコスト住宅=低品質ではありませんが、「安さの理由」をしっかり理解し、あなたが最も重視する性能や設備を明確にした上で、賢く選ぶことが成功の鍵となります。

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