気密工事と漏気確認の現場レポート
その気密工事、本当に空気を止めていますか? 写真だけでは分からない「隙間」の確認
「テープを貼ってあるから大丈夫」「ウレタンで埋めてあるから安心」。気密工事で怖いのは、そう思い込んでしまうことです。
丁寧に施工されているように見えても、気密測定で室内外に圧力差をつくると、意外な場所から空気が入ってくることがあります。
施工したことと、空気が止まっていること。その間には、確認という工程が必要です。
今回は、建築中の現場で、空気の通り道になりやすい部分の施工状況を確認してきました。
家全体の気密工事は、まだこれからです。今回は、先行して処理している箇所を中心とした確認になります。当社では、一度の確認で終わらせず、工事の進み具合に合わせて何回かに分けて確認しています。

写真:施工途中の室内。家全体の気密工事が完了した状態ではありません。これから各部の処理と確認を進めます。
広い面にシートが張られていると、それだけで隙間のない家になったように見えるかもしれません。しかし、確認したいのは、そのシートがどこまで途切れずにつながっているかです。
端部、木部との接続、配管や配線が通る穴。こうした場所に、空気の通り道が残る可能性があります。今回、特に確認したのも、そうした細かな取り合いです。
見た目は小さな箇所でも、漏気の影響まで小さいとは限りません。

写真:シートと木部の取り合い。テープの有無だけでなく、端部や接着状態も確認していきます。
この写真では、シートと木部の境目に、黒いテープで処理がされています。ここで見るのは、「貼ってあるか」だけではありません。
テープが浮いていないか。接着する面にきちんと密着しているか。重ねた部分で気密のつながりが途切れていないか。表面を覆っていても、その下に空気の通り道が残っていれば、十分に止められないことがあります。
テープは、貼った枚数で性能が決まるものではありません。
必要な場所を、適切な材料と方法で、連続してつなぐ。その施工が大切です。

写真:配管の貫通部。丸い配管と平らなシートをつなぐ周囲が、確認の対象になります。
配管が通る場所では、シートに穴を開ける必要があります。そこで、配管とシートの間を処理します。
丸いものと平らなものをつなぐため、取り合いは立体的になります。正面からはふさがって見えても、裏側やテープの重なり部分まで確認しなければ分からないことがあります。
なお、写真の配管の用途や内部の処理状況まで、写真だけで判断することはできません。ここでお伝えしたいのは、貫通する部材の周囲を、気密の弱点として見落とさないことです。

写真:ダクトがシートを貫通する部分。周囲の処理が途切れていないかを確認します。
こちらは、ダクトの周囲です。大きなダクトでは、周囲を一周する接続部分も長くなります。
曲面に沿ってテープを施工するため、しわや重なりが生まれます。そのしわがすべて漏気につながるわけではありませんが、写真の見た目だけで気密性能を断定することもできません。
ダクトの内部は、本来空気を通す経路です。確認するのは、その周囲にある意図しない隙間です。
空気を通す場所と、止める場所を明確にする。これが気密工事の基本です。

写真:複数の配線などが集まる貫通部。外周に加え、部材同士の間も注意して確認する箇所です。
特に注意したいのが、何本もの配線などがまとまって通る場所です。束の外側を覆っても、一本一本の間には隙間が残る可能性があります。
たとえば、ストローを何本か束ねて、外周だけをテープで巻く場面を想像してみてください。外側を巻いただけでは、ストロー同士の間まで埋まるわけではありません。
配線の貫通部でも、「外から覆われている」という見た目だけで判断しないことが大切です。

写真:別の配線貫通部。似た場所でも、配線の本数や向き、施工条件が異なります。
同じような貫通部でも、条件は一か所ずつ違います。配線の本数、通る方向、周囲の作業スペース。条件が変われば、確認すべき部分も変わります。
一か所を確認したから、ほかも全部大丈夫とは言えません。こうした場所を一つずつ確認する作業は、完成後の写真にはほとんど写りません。それでも、住んでからの快適さにつながる施工だからこそ、手間をかける必要があります。

写真:配線周囲に施されたウレタン処理。表面に材料が見えることだけで、内部の充填状態までは判断できません。
こちらは、配線の周囲にウレタンで処理がされている部分です。「ウレタンが盛ってあるから、隙間はないでしょう」。そう思いたくなるところですが、表面の状態だけでは、奥まで適切に処理されているかは分かりません。
材料が施工されていることを確認し、さらに、実際に空気が通らないかを確かめる。
「使いました」という説明を、「止まっています」という確認につなげていくことが重要です。

写真:床と壁が接する部分と室内の隅。直線部分から角まで、気密のつながりを確認します。
床と壁の境目も、確認する場所です。直線部分は施工しやすくても、角になるとシートやテープが立体的に重なります。
広い面、境目、角、貫通部。それぞれをつないで、家全体の気密をつくっていきます。そして、ここまで目で確認しても、それだけで終わりにはできません。
最後に必要なのが、実際に空気を動かして確かめることです。
気密測定では、送風機を使って室内外に圧力差をつくり、空気の流量などから建物の気密性能を調べます。減圧する方法では、室内の空気を外へ排出し、隙間から外気が入りやすい状態をつくります。その状態を利用すると、普段は分かりにくい漏気を探しやすくなります。
今回お伝えしている「ストレステスト」とは、こうした圧力差を利用した漏気確認のことです。きちんと処理したと思っていた場所でも、確認すると空気の流れを感じる場合があります。
だからこそ、「職人が丁寧に施工しているから、測らなくても大丈夫」とは考えません。丁寧に施工することと、その結果を確かめることは、両方必要です。
なお、今回の写真の箇所で、すでに漏気が確認されたという意味ではありません。現時点では施工途中です。これから全体の気密工事を進め、測定時に実際の状態を確かめていきます。
また、気密測定のC値は、建物全体の隙間の程度を示す指標です。その数字だけで、漏れている場所まで自動的に分かるわけではありません。
数値を測る。気になる場所を調べる。漏気が見つかれば原因を確認して補修し、改善したかを確かめる。測定を、施工の確認と改善に生かすことが大切です。
家づくりを検討している方は、住宅会社に次の3つを聞いてみてください。
「私たちの家も、気密測定をしますか?」
「補修できる段階で、測定しますか?」
「漏気が見つかった場合、どのように対応しますか?」
「高気密・高断熱です」という言葉から、一歩踏み込んだ質問です。断熱材の商品名や厚みと一緒に、現場でどう施工し、どう確認するのかまで聞いてみてください。
デザインハウス甲府では、全棟で気密測定を行っています。今回の現場も、工事の進行に合わせて確認を重ねていきます。
「きれいに施工されているように見える」で終わらせない。
壁や天井で隠れてしまう前に確認し、空気を動かして確かめる。その積み重ねを大切にしています。
山梨県で新築・建て替えをご検討の方は、間取りや総額と一緒に、気密工事と測定についてもご相談ください。デザインハウス甲府では、現場写真を交えながらご説明します。










