ラジオネーム:甲斐市・かえでさん
ご質問 夫婦そろって食べることが好きで、家具より先に冷蔵庫の置き場所を考えています。ペットやコーヒーなど、好きなものを中心に間取りを考えることもあるのでしょうか?
冷蔵庫から間取りを考えるのは、とても合理的です。毎日の楽しみがはっきりしているなら、それを家づくりの中心に据えてください。
料理を楽しむこと。愛犬と過ごすこと。朝、豆をひいてコーヒーを入れること。家族の満足につながるものは、それぞれ違います。
ところが、間取りの打ち合わせになると、「LDKは何畳」「パントリーは何畳」という広さの話だけで進んでしまうことがあります。
その場所で誰が何をするのかが曖昧なまま、面積だけを決める。これでは、立派な間取り図ができても、暮らしやすさは分かりません。
かえでさんご夫婦なら、最初に考えたいのは「食べることを、どんなふうに楽しみたいか」です。具体的な設計例を挙げながら、お話しします。
「料理が好き」の中身まで聞くと、必要な間取りが見えてくる
同じ料理好きでも、毎日こまめに買い物をするご家庭と、週末にまとめ買いをするご家庭では、必要な収納が違います。
夫婦で並んで料理するのか。片方が調理し、もう片方が盛り付けるのか。パンやお菓子を作るのか。大きな鍋で作り置きをするのか。
ここまで聞いて、ようやく作業台や収納、通路の考え方が具体的になります。
例えば、週末にまとめ買いをするなら、玄関から買い物袋を運び、いったん置き、冷蔵品と常温品に分けてしまうまでを考えます。
買い物袋を床に置き、何度もかがんで取り出し、冷蔵庫と食品棚を往復する。そんな動きになるなら、広いパントリーがあっても負担は残ります。
買ってきた物を置く場所がある。そこから冷蔵庫と食品棚へ無理なくしまえる。ご夫婦が同時に動いても邪魔になりにくい。
「料理が好きです」の、その先まで聞いてくれるか。住宅会社の提案力は、こういうところに表れます。

図解の見方: 買い物袋を置く場所を中心に、冷蔵品と常温品を分けてしまう動きを示しています。配置の考え方を表す図で、実際の寸法や設計条件は個別に確認します。
冷蔵庫は、図面に四角い枠を描けば終わりではない
冷蔵庫の位置を決めるときは、本体の幅と奥行きだけで判断しないでください。
扉を開けたときの寸法、引き出しを引くための場所、放熱に必要な隙間、玄関から設置場所までの搬入経路を確認します。必要な条件は機種ごとに違うため、候補の冷蔵庫の寸法図や取扱説明書で確かめることが大切です。[1]
壁際に置いたときに扉を十分に開けられるか。冷凍室の引き出しを開けた前に人が立てるか。廊下の曲がり角を通って運び込めるか。
さらに、家族の動きも重ねて考えます。
調理中に子どもが飲み物を取りに来る。野菜を切っている人の後ろを、もう一人が通る。冷蔵庫の前で動きが集中するなら、配置を見直す余地があります。
今の冷蔵庫に寸法を合わせすぎることにも注意してください。買い替えるとき、選べる機種を必要以上に限定しないよう、将来の大きさも相談しておきましょう。
毎日何度も使う物の置き場所を、最後の余りで決める。私は、この順番には賛成できません。
パントリーは「何畳あるか」より、中に何をしまうか
パントリーという名前が付くだけで、便利になるわけではありません。
棚が深すぎて奥の食品が見えない。取り出すたびに手前の物を移動する。通路を確保した結果、思ったほど棚が置けない。こうした計画なら、面積の使い方から考え直す必要があります。
まず、しまう予定の物を書き出してください。
お米、飲料、缶詰、乾物、買い置きのお菓子、調理家電。それぞれ大きさも重さも違います。
設計例として、缶詰や調味料には奥行き30センチ程度の棚を検討し、飲料の箱や家電には別の寸法を確保する方法があります。実際には、収納する物を測って決めます。
棚の高さを変えられるか。重い物を無理なく出せるか。在庫が見渡せるか。買ってきた物を手前から入れるだけで、古い食品が奥に残る使い方にならないか。
そこまで考えて、初めて使える食品収納になります。
ご家庭によっては壁面収納で十分ですし、買い置きが多ければ独立した収納室が役立ちます。
「パントリー付き」という言葉に安心する前に、自分たちの買い物が収まるかを確認してください。
コーヒーもペットも、「楽しんだ後」まで設計する
コーヒーを中心に考えるなら、器具を並べる場所だけで終わらせないことです。
水を用意する。豆をひく。お湯を沸かす。カップを出す。抽出した後に粉を捨て、器具を洗う。この流れを一続きで考えます。
例えば、幅120センチほどのカウンターを設ける案でも、マシンやミルを置いたら、作業する場所が残らないかもしれません。
使いたい器具を実寸で並べ、作業場所、コンセント、機器ごとの設置条件、洗う場所まで確認します。早朝に使うなら、寝室との位置関係や音も考えたいところです。
ペットを中心に考える場合も、楽しく過ごす場所に加え、世話と掃除の動きを組み込みます。
犬なら、落ち着いて休める居場所を確保し、玄関側には散歩用品や足拭き用のタオルをしまう場所を考える。
猫なら、くつろぐ場所や上下に移動する場所とともに、トイレを掃除しやすい配置や、玄関からの飛び出しを防ぐ方法も検討する。
用品を取るために家の反対側まで行く、掃除のたびに大きな家具を動かす。それでは、飼い主の負担が増えてしまいます。
好きなことを長く楽しめる家には、準備と後片付けの工夫まで入っています。
家づくりの最初に、大切にしたいことを3つ決める
好きなものを中心に考えることと、希望を全部詰め込むことは別です。専用スペースを増やすほど、広さも費用も膨らみます。
まず、ご夫婦それぞれで「新しい家で大切にしたいこと」を3つ書いてみてください。
かえでさんご夫婦なら、「二人で料理する」「食品を無理なくしまう」「ゆっくり食事を楽しむ」が上位に来るかもしれません。
その優先順位が、限られた予算をどこに使うかを決める手掛かりになります。
相談するときは、今のキッチンの写真、使いたい冷蔵庫や家電の寸法、普段の買い物量が分かるメモをお持ちください。
「おしゃれなキッチンにしたい」という希望が、「この動きができるキッチンにしたい」という具体的な要望に変わります。
デザインハウス甲府へのご相談でも、まずは好きなことと、今の暮らしで不便に感じることをお聞かせください。
家づくりの主役は、ご家族が毎日楽しみにできる時間です。冷蔵庫から始める家づくり、大いに結構だと思います。










