24坪・税別1,389万円。その安さ、本物ですか?|山梨の住宅総額と性能
執筆:デザインハウス甲府株式会社 代表取締役 深澤敏仁
安いのは家か。見積もりから外した費用か。
24坪・税別1,389万円という建物価格に消費税10%を加えると、税込1,527.9万円です。ただし、この金額だけでは、付帯工事、敷地条件で必要になる工事、申請や登記などの諸費用、外構や入居準備まで含まれるかは分かりません。安いかどうかは、同じ性能・工事範囲で、住み始めるまでに必要な総額を確認してから判断する必要があります。
山梨県で注文住宅・平屋・新築・建て替えを検討している方へ。デザインハウス甲府の制作動画「家は、安ければなんでも良いのか・第6話」をもとに、広告価格の読み方と、契約前にそろえる比較資料を解説します。
安い家は歓迎です。しかし、必要な費用を見せていないだけの見積もりを、安い家だと喜んではいけません。見積書に載っていなくても、必要な工事の請求は家計に回ってきます。問い詰めるべきは安さではなく、その安さの説明です。何を合理化し、何が含まれ、どんな性能で建つのか。数字と資料で答えてもらってください。
1.税別1,389万円。税込にそろえると138.9万円の差
最初に、価格を税込でそろえます。税別1,389万円に消費税10%を適用すると、消費税は138.9万円、税込価格は1,527.9万円です。138.9万円は、見落としてよい小さな差ではありません。

図1 税別表示を税込金額へそろえる。税別建物価格1389万円に消費税10%の138.9万円を加えると税込1527.9万円。付帯工事や敷地固有費用などの含有範囲は、この計算とは別に確認する。
国税庁は、事業者が消費者へあらかじめ価格を表示する場合の総額表示について、消費税等を含む税込価格の表示を説明しています[1]。一方、個別の見積書・契約書等と、不特定多数へ示す広告では扱いが異なるため、表示の一部分だけで違法性を断定することはできません[2]。
ここで混同したくないのが、税の「総額表示」と、家づくりの「住める総額」です。前者は税込価格の表示の話。後者は、建物以外に必要な工事や諸費用まで含めた予算の話です。税込と書いてあっても、必要な工事がすべて入っているとは限りません。
「税込ですか?」で終わらせない。「その税込価格に、何が含まれていますか?」まで聞いてください。
2.小さな「別途」が、あなたの予算を壊すことがある
大きな1,389万円だけを見て、小さな「別途」を読み飛ばす。その瞬間、住宅会社とあなたが見ている金額は違うかもしれません。「付帯工事別途」「諸費用別途」「当社指定仕様による」。小さな文字は、小さな請求という意味ではありません。
付帯工事という言葉の範囲は、住宅会社や商品で違います。仮設工事や屋外配管が含まれる会社もあれば、別途となる会社もあります。建物本体が同じ税込価格でも、そのほかの必要費用が違えば、実際の予算は変わります。
また、別途費用には「通常必要だが本体価格から分けているもの」と、「土地の条件で必要かどうかが変わるもの」があります。何でも一括りにして「あとで分かります」で済ませず、現時点で計上できる費用と、調査後に決まる費用を分けてください。
「本体以外に必要な費用を、確定額・仮計上額・別途費用に分けてください。別途項目は、なぜ別途なのかも教えてください」
3.見積もりを4つに割れ。抜けた費用を見つけろ
見積書の項目名が会社によって違うときは、比較するための整理表を作ります。①建物本体、②付帯工事、③敷地固有の費用、④諸費用。この4つに分け、どこにも入っていない費用と、二重に計上している費用がないかを確認します。

図2 建物本体・付帯工事・敷地固有費用・諸費用の4分類。住宅費用を4分類して比較する整理方法。地盤改良や配管工事などの扱いは会社により異なるため、各費用を1か所だけへ計上し、未確定額を0円として扱わない。
| 分類 | 確認する具体例 |
| 建物本体 | 基礎、構造、屋根、内外装、標準設備。含まれる範囲を確認 |
| 付帯工事 | 仮設、屋外配管、外構等。分類よりも実際の対象工事を確認 |
| 敷地固有の費用 | 必要な地盤改良、造成、給排水の引込みや延長、残土等 |
| 諸費用 | 設計、申請、検査、登記、融資、保険等の計上範囲 |
この分類は法定の統一ルールではなく、比較のための整理方法です。例えば屋外配管を付帯工事に入れ、道路からの引込みや延長を敷地固有費用に分けるなら、同じ工事を両方に入れないこと。会社の分類を直すより、工事名、数量、支払額を照合する方が確実です。
土地を買う方は、ここに土地取得費とその関連費用を加えます。建て替えの方は解体、必要な調査、仮住まい、往復の引越し等も加えます。「建築費の合計」と「家づくり全体の合計」を混ぜないようにしましょう。
4.税込1,527.9万円で安心? まだ入口の数字です
計算方法を理解するため、仮に建物本体が税込1,527.9万円、未計上の付帯工事が280万円、敷地固有費用が120万円、諸費用が70万円だったとします。この場合、比較用の合計は1,997.9万円。建物本体の税込価格に対して470万円を加える計算です。
| 項目 | 仮定の支払額 |
| 建物本体(税込) | 1,527.9万円 |
| 未計上の付帯工事(外構等を含む仮定) | 280万円 |
| 未計上の敷地固有費用 | 120万円 |
| 未計上の諸費用 | 70万円 |
| 比較用の合計 | 1,997.9万円 |
これは計算例です。1,389万円という価格の住宅が実際にこの総額になることを示すものでも、山梨県の工事相場でもありません。実際の対象範囲や見積書を確認せず、追加額を推定することはできません。各金額は、税込・非課税の区分等を整理した後の支払額として仮定しています。
この例には土地取得、建て替えの解体・仮住まい、家具家電などは含めていません。自分の計画では何が必要かを整理し、補助金を差し引く前の合計も確認します。未確定の補助金を前提に、先に予算を使い切らないでください。
5.「同じ24坪だから安い」は、比較が雑すぎる
24坪は約79.3㎡です。ただし、まず確かめるのは、その24坪が延床面積なのか、施工面積など別の面積なのかという点です。面積の定義が違えば、坪単価も同じ条件では比べられません。
さらに同じ延床面積でも、建物の形、階数、窓の数や大きさ、間取り、設備、収納、屋根形状などで費用は変わります。24坪の平屋と24坪の2階建てを、面積だけで同じ商品だと考えるのも適切ではありません。

図3 同じ24坪でも比較したい4つの仕様。面積が同じでも、間取り・設備、断熱・窓、気密・換気、耐震の仕様と確認方法は異なる。計画住宅の資料と、価格に含まれる範囲を照合する。
「どちらも3LDK」「どちらも24坪」。それだけで安い方を選ぶなら、住宅比較ではなく数字当てです。収納も動線も設備も性能も違うのに、坪数だけで同じ家にはなりません。何人で暮らし、何を置き、どう動くのか。自分の生活を入れたうえで、使える面積の価値を比べてください。
6.安さの理由を語れない会社に、契約を急がされるな
価格が低い理由には、建物形状の単純化、規格化、設備の選択肢の整理、仕入れや施工工程の工夫などが考えられます。それらによって、必要な性能を保ちながら費用を抑えることは可能です。安いという理由だけで、欠陥や性能不足があるとはいえません。
一方、何を標準から外したのかが分からないままでは、比較はできません。キッチンや洗面台だけでなく、窓、断熱、気密施工、換気、耐震の確認方法まで仕様書で確認してください。
断熱は、断熱材の名前だけで判断しません。厚みや施工する場所、窓の仕様、建物全体の計算結果も必要です。国土交通省は、断熱性能について地域区分に応じたUA値や日射熱取得の指標による評価を説明しています[3]。「高断熱」という言葉だけでは、自分の計画住宅の条件は分かりません。
気密は、断熱とは別に確認します。国土技術政策総合研究所は、UA値が計算値である一方、気密性はC値の実測で把握できることを説明しています[4]。会社の代表実績と、自分の家で測る予定の数値を混同しないようにしましょう。
| 確認項目 | 資料で確かめる内容 |
| 断熱・窓 | 地域区分、計画住宅の断熱等級・UA値等、サッシ・ガラスの仕様 |
| 気密 | 全棟測定か、測定時期・条件、目標値と結果報告の方法 |
| 換気 | 換気方式、設計・施工、フィルター等の維持管理と費用 |
| 耐震 | 目標等級、計算方法、評価・証明を含む取得予定資料 |
| 価格 | その仕様が標準に含まれるか、追加額が必要か |
「高性能ですか?」では答えが曖昧です。「私の家の性能資料と、その仕様を含む見積もりを見せてください」と聞いてください。
7.設備を削る前に、家族を守る性能まで削っていないか
私なら、見栄のための設備より、家族の暮らしを優先します。必要以上に複雑な形、使わない部屋、過剰な造作、優先順位の低い設備。削れるものはあります。ところが、見える設備を残すために、見えない部分の性能を下げる。そんな減額なら、立ち止まるべきです。
ただし、価格を下げるために何を変えたのかは、必ず記録してください。設備を変更したのか。収納量を減らしたのか。窓や断熱の仕様を変えたのか。同じ100万円の削減でも、暮らしへの影響は同じではありません。
構造、壁内の断熱・気密、防水など、完成後に確認や改修が難しくなる部分は、見た目の設備とは分けて慎重に判断します。「今は安くして、あとで直せばいい」と考えても、工事に伴う解体や復旧まで必要になることがあります。
100万円下がった。それだけでは成功ではありません。何を失って100万円下がったのか。そこを説明してもらって初めて判断できます。「いくら下がるか」「何が変わるか」「後から変更できるか」の3点を並べ、使い勝手や将来の維持管理まで手放していないか確かめてください。
8.見積もりから消しただけ。支払いまで消えるわけではない
駐車場、玄関までの通路、必要な境界まわり、エアコン、照明、カーテン。これらを建築会社へ依頼するか、自分で手配するかは選べます。しかし、見積書から外しただけでは、暮らしに必要な支出そのものは消えません。
例えばエアコンを別途手配するなら、本体だけでなく設置工事や配管、電源等も確認します。外構なら、全面完成を急がず段階的に整える方法もありますが、入居時に必要な動線や排水、安全性、駐車の使い勝手は先に検討したい点です。
住宅会社の見積書と、自分で発注する費用を別々に管理したままにしないでください。最後は一つの予算表へ集めます。支払先が違うだけで、家計から出るお金であることは同じです。
9.その価格、あなたの土地でも通用しますか
甲府市・甲斐市の土地と、北杜市・富士吉田市などで検討する土地。市町村名だけで費用を決められるわけではありませんが、所在地や標高、給排水、接道、高低差、地盤、周辺条件などで必要な確認は変わります。
「標準仕様ならこの価格です」と言われたら、その標準仕様が建築予定地に合うかを確認してください。土地を購入する方は、建物の検討と敷地の確認を切り離さないこと。安い土地でも、必要な工事費を加えたら予算に合わないことがあります。
50代・60代の建て替えなら、現在の住宅の解体、必要な調査、仮住まい、引越しまで含めます。新築本体の見積もりが予算内でも、退職後に残す資金を削りすぎては意味がありません。建物に使うお金と、暮らしに残すお金を同時に考えてください。
10.「契約後に分かります」で、先にハンコを押すな
「私の土地・この間取り・この性能で、住み始めるまでの総額はいくらですか。確定額、仮計上額、別途費用を分けて書面で示してください」

図4 契約判断の前に確定額・仮計上額・別途費用を確認する。広告価格から、自分の土地・間取り・仕様に基づく費用表へ進む。確定額、調査前の仮計上額、別途費用を整理し、性能資料と合わせて契約を判断する。
・含まれる工事と設備が、仕様書・見積書で一致しているか。
・調査前の項目に見込み額があり、増減する条件と確定時期が分かるか。
・数量・距離・施工条件の上限や、追加費用が発生する条件が分かるか。
・補助金控除前の支払額と、自分で別途発注する費用を集計したか。
・断熱・気密・耐震など、計画住宅の確認資料と費用範囲を照合したか。
現地調査前にすべての費用が確定しないことはあります。しかし、それは予算の空欄を放置してよい理由にはなりません。「まだ分からない」と「考えていない」は別です。何を調べ、いつ決まり、どの条件で増えるのか。そこまで説明しないまま契約だけ急ぐなら、あなたも急いでハンコを押す必要はありません。
11.ローコスト住宅の価格・性能でよくある質問
税別1,389万円は税込でいくらですか?
建物価格に消費税10%を適用すると税込1,527.9万円です。付帯工事や敷地固有費用などが別途必要かどうかは、この計算とは別に確認します。
税込価格なら、住み始めるまで全部込みですか?
税込という表示だけでは、必要費用のすべてを含むとは判断できません。付帯工事、敷地条件、諸費用、外構、別途手配品などの範囲を確認してください。
24坪1,389万円は山梨では安いですか?
価格と面積だけでは判断できません。面積の定義、階数、間取り、性能、敷地条件、工事範囲をそろえた税込総額で比較します。この記事の数字は市場相場の評価ではありません。
付帯工事には何が含まれますか?
会社や商品によって異なります。仮設、屋外配管、外構などの対象工事、数量や距離の上限を仕様書と見積書で確認し、敷地固有費用との重複も確認してください。
安い住宅は断熱や耐震を削っていますか?
価格だけでは断定できません。規格化や工程の工夫で価格を抑える場合もあります。計画住宅の性能資料と標準仕様、必要な追加費用を確認してください。
UA値が分かれば気密も分かりますか?
UA値は断熱に関する計算値で、気密の実測値とは異なります。気密はC値、測定の有無、測定時期や条件、結果の報告方法を別に確認します。
土地が決まる前でも総額を出せますか?
仮の条件による予算は整理できますが、敷地によって必要な工事は変わります。仮計上の前提と、土地が決まった後に調査・確定する項目を分けてください。
建て替えは建物の価格だけで判断できますか?
解体、必要な調査、仮住まい、往復の引越し等も加えて検討します。現地や既存建物の条件に応じた費用と、建て替え後に残す資金まで確認してください。
12.私たちは、性能の悪いローコスト住宅は売りません
デザインハウス甲府が目指すのは、価格と性能を一緒に確かめられる家づくりです。広告の入口だけを安く見せても、最後の予算が合わなければ、お客様のためにはなりません。
建てた後に家族が困る家は売らない。その考えから、必要な性能まで落として予算に合わせる前に、面積、間取り、設備の優先順位、建て方を見直します。条件によっては、ご希望どおりの計画をそのまま進められないとお伝えすることもあります。
安さに飛びついて、最後に予算を失う。そんな家づくりをしてほしくありません。比較すべきなのは、広告に大きく書かれた数字だけでなく、あなたの土地で、あなたが選んだ性能の家に住み始めるまでの総額です。安さの根拠と性能を、契約前に説明できる会社を選んでください。入口の数字だけで、家族の暮らしを預けないことです。
山梨県で新築・平屋・建て替えをご検討中の方は、「総額と性能を確認したい」とお知らせください。LINEでは、①建築予定地、②新築か建て替えか、③希望面積、④土地代を含むかどうかが分かる予算、この4点を添えると相談が進めやすくなります。










