Q.玄関から土間収納を通って室内に入る動線が便利そうです。通路と収納を兼ねれば、省スペースになるのでしょうか。
A. まず結論から
通り抜けに使う床と、物を置く床を分けて確認してください。同じ場所を通路とベビーカー置き場に二重計上すると、使い始めてからどちらかを諦めることになります。
1. 不便が表れる、暮らしの場面
帰宅動線はきれいにつながっていても、ベビーカー、自転車用品、買い物袋を置くと通路が消える。結局、家族も来客用の玄関から上がる。こうなる前に、通常時だけでなく荷物の多い帰宅時を想像しましょう。収納への入口が2つある分、棚を置けない壁も確認が必要です。
通路を備えた収納では、レイアウトと有効な収納部分を分けて考えます[資料17]。通り抜け型でも同じで、「何畳あるか」だけでは判断できません。床の使い方、靴を脱ぐ位置、室内へ上がる位置を重ねると、置ける物が明確になります。
2. 原因を、もう一段掘り下げる
通り抜け型の土間収納は、玄関から家へ入るまでに靴や外用品を戻せる点が魅力です。しかし通路も収納も同じ床を使うため、置く物を具体化しないと面積を二重に数えてしまいます。ベビーカーを置いたまま通れるか、靴を履く人の横を別の人が通れるかという『人と物の同時存在』が判断の中心です。
入口を二つ設けると、歩ける方向は増えますが、棚を付けられる壁は減ることがあります。通るために必要な床を残した結果、収納を別の部屋へ追加するなら、通り抜けの利便性にどれだけ面積と費用を払うかを見直します。家族が結局正面玄関から入る場合でも、動線の使い方を責めるのではなく、日常の手順に合っているかを確認してください。
土足と室内の境界も曖昧にしないことが重要です。どこで靴を脱ぎ、どこへ置き、荷物をどこへ移すかが決まらないと、かばんを持ってまたぐ、濡れた靴の前を通るなどの不便が生まれます。雨天の長靴、買い物帰りのかご、子どもの外遊び道具が増える場面も確認します。通常時だけ通れる図面では、忙しい日の使いやすさは判断できません。
3. 数字・寸法・動作で確かめる
仮に有効幅1,200mmの場所へ、幅600mmのベビーカーを置けば、単純に残る幅は600mmです。ただしハンドルの出幅、棚から出る靴、人が靴を履く姿勢は別に必要です。この数字は通路の推奨寸法ではなく、物を置いた後の空間を計算する例です。実際の家具と使用者で必要幅を設計者へ確認してください。
『一人で帰宅』『子どもと二人で帰宅』『雨具と買い物袋がある帰宅』を想定し、入口から室内まで順に確認します。通り抜け案と行き止まり収納案へ同じ物を置き、移動距離、棚の有効量、玄関全体の面積を比べます。矢印が一本増えることより、家族が実際に使う経路が無理なく残ることを優先します。
4. 採用案と代替案を比較する
家族と来客の出入りを分けたい、外用品を戻してから室内に入りたい家庭には向きます。収納量を優先するなら行き止まり型や壁面収納が適する場合もあります。回遊する理由が明確でなければ、無理に通り抜ける必要はありません。
比較案1|通り抜け型を十分な有効寸法で作る
外用品を戻しながら帰宅する習慣に合う案です。大型品の置き場と歩く床を別に確保し、同時帰宅時の立ち位置を図へ入れます。靴を脱ぐ境界と手を使う動作を合わせて設計してください。
比較案2|行き止まり型で収納量を優先する
通路を一本に絞り、棚や大型品の床を確保する案です。玄関との往復は生じますが、物が置かれていても主要な帰宅動線を塞ぎにくくできます。取り出す物の頻度と入口の位置を比較します。
比較案3|壁面収納と大型品置き場を分ける
靴は浅い収納、大型品は床の専用位置へ分けます。小さな家でも用途に合う構成を作りやすくなりますが、見え方と土足の範囲は確認が必要です。通り抜けという名称より実物が収まることを優先します。
5. 契約前に、ここまで確認する
畳んだ状態と使用時のベビーカー寸法を図面へ入れ、棚から靴を取り、履いて、荷物を持って室内へ移る動作を確認します。子どもが自分で片付ける高さも考えてください。奥に長い物を入れる場合は、取り出す角度と手前の物を動かす必要がないかも見ます。
- 通路と大型品の置き場を、同じ面積で数えていないか。
- 靴を履く人が立っても、別の人が移動できるか。
- 家族全員分の靴と季節用品が実際に収まるか。
- 濡れた物を置いても、上がる場所が汚れにくいか。
- 通り抜けをやめた案と、収納量・総面積を比べたか。
帰宅時の通路だけでなく、出発時に靴を選んで履く人の位置も確認します。朝、家族二人が同時に身支度する場合に、どちらかがいったん外へ出て待つような計画になっていないかを、置く荷物と合わせて確かめましょう。
6. 初期費用・維持費・将来交換まで比べる
出入口を増やす建具、土間面積、棚と照明を含めた総額を比べます。「動線が増える」と「暮らしがラクになる」は同義ではありません。毎日使う経路として成立することを確かめてから採用しましょう。
収納の床面積に加え、二つ目の出入口、建具、棚が減った分の代替収納、照明、土間仕上げを含めて比較します。通路を増やすために玄関全体を広げるなら、その面積の費用も見ます。逆に通路をなくした案で荷物の持ち替えが増えるなら、その使い方へ納得できるかが判断材料です。価格を比較するときは同じ台数の靴と大型品、同じ家族人数を条件にしてください。空の間取り図同士では、収納を減らした安さを見落とします。
7. すでに採用した場合の改善手順
通り抜けが塞がる場合は、最初に通路へ常置している物を特定します。ベビーカーを毎回畳むことでしか通れないなら、その動作を続けたいかを家族で確認してください。低頻度品を別へ移す、棚の奥行きを見直す方法もありますが、入口を塞いで無断で収納へ変える前に換気や動線、避難への影響を施工者に確認します。二つの出入口を使い切ることへ固執せず、収納と帰宅の役割を整理し直すことが改善につながります。
8. 打ち合わせで、そのまま使える質問
「ベビーカーを普段の状態で置き、家族が靴を履いている場面を描いてください。通路と置き場を同じ面積で数えていませんか。行き止まりにした案では棚と床がどれだけ増えますか。雨の日の荷物の仮置き、靴を脱ぐ位置、室内へ上がる動作まで確認したいです」と聞きます。通れるかという質問を、荷物がある日にも通れるかへ具体化してください。
9. 採用してよい場合・見直したい場合
通り抜け動線は毎日使ってこそ価値があります。大型品を置いても通れ、靴を履く場所と重ならず、家族の帰宅を妨げないなら合理的です。動線を作った結果、必要収納が別へ押し出されるなら再検討します。『回遊できるから家事ラク』という説明に合わせる必要はありません。今ある荷物と増える荷物を置いても、帰宅の一連の動作が途切れないことを基準にしてください。
俺流ポイント|通れる図面ではなく、荷物を置いても通れる図面を。
山梨県で家づくりをご検討の方は、現在の収納の写真と残したい物の寸法をお持ちください。デザインハウス甲府へ、片付け方と間取り・総額をまとめてご相談ください。
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参考資料:17










