自宅売却の特例と新居の住宅ローン控除は、両方使える?
結論 特例の種類と売却年と入居年で扱いが違う
A 自宅売却の特例と新居の住宅ローン控除は、全てを自由に併用できるわけではありません。特に居住用財産の三千万円特別控除と住宅ローン控除には、適用を制限する期間があります。一方、譲渡損失等の制度は扱いが異なる場合があります。売却の特例という一括りで答えず、使いたい正式な制度名と年を確認することが出発点です。
特例の併用は、制度の名称と年の関係で判定します。「売却の3,000万円控除」と「住宅ローン控除」を、それぞれ有利そうだから自由に選べるわけではありません。既に使った制度と今後の予定を、一人ごと・物件ごとに年表へ置きます。
三千万円控除の意味を確認する
三千万円控除は、売却代金から三千万円が還付される制度ではなく、要件を満たす譲渡所得から最高三千万円を控除する特例です。親族への売却等、対象外になる条件もあります。控除で税が出ない場合でも、適用には申告が必要です。売値、取得費、譲渡費用、所有と居住の記録を整理し、そもそも課税される利益が幾らかを確認します。[資料16]
売買契約、取得費、譲渡費用、所有・居住の期間、入居予定年、所得・納税額をそろえます。3,000万円は税額の還付額ではなく、要件を満たす譲渡所得からの控除限度です。売却代金や借入残高と同じ数字として比較しません。
住宅ローン控除との制限期間を読む
国税庁の案内では、新居へ入居した年、その前年、前々年に三千万円控除を受けた場合、住宅ローン控除等を受けられません。また、入居年の翌年から三年目までの一定の売却でこの特例を使う場合も制限されます。単に年を一つずらせば解決とは限りません。新旧の物件と売却、入居、特例の時期を年表にし、今回に適用される条件を確認してください。[資料16]
現行の国税庁案内を用いた仮定で、新居入居が2026年なら、2024〜2026年に3,000万円特別控除を受ける場合と、2027〜2029年の一定の譲渡にも併用制限の確認が必要です。単に売却と入居を一年ずらせば解決するとは限りません。[資料16]
年表を作るときは、売買契約日だけでなく、税務上の譲渡時期、旧居を出た時期、新居へ入居した年、利用済みの控除を記します。例えば2026年に新居へ入居する場合、3,000万円特別控除と住宅ローン控除の関係では、入居年とその前年・前々年、一定の旧居売却については翌年から3年目までの制限を確認します。実際の適用は物件と制度ごとに判断するため、日付をずらせば必ず両方使えるという予定にせず、税理士等へ年表を示してください。
それぞれの実額を比較する
三千万円という控除額と、ローン控除の総額をそのまま比べません。実際の譲渡税の軽減、新居の控除見込、本人の所得税等の条件を試算します。住宅ローン控除は商品上の返済額を減らす制度ではなく、税負担に関係します。将来の所得や返済残高、制度条件で利用額が変わるため、上限を満額受け取る前提にしないことが重要です。
仮定例として、税理士等の試算で売却特例の税軽減が150万円、新居側の控除の実利用見込が合計90万円なら、比較するのはこの実額です。制度の上限額同士を比べません。将来の所得低下等で実利用が減る場合と、住み替え日程による費用差も別に見ます。
控除の比較は、最高額が大きい方を選ぶ計算ではありません。売却益がいくらあり、特別控除を使わなければ税がいくらか、新居の控除を本人の所得税等でどこまで利用できるかを試算します。将来退職して課税所得が減る場合等には、広告にある最大額を全期間使えるとは限りません。夫婦それぞれが所有・借入を持つ場合も一括で判断せず、各人の持分と利用条件を分けます。計算に使った前提と、税務上未確認の点を明記してもらいます。
契約と申告の前に専門家へ相談する
仲介の説明だけで決めず、税理士や税務署等へ資料を示します。先に一方を申告した後で他方も使う計画にしないでください。既に控除を受けた後に売却する場合は、修正等が必要かも確認します。譲渡損失等には別の要件と併用の扱いがあるため、利益が出た場合と同じ説明を当てはめません。税の都合だけで無理な売買日程へ変えないことも大切です。[資料29]
「自分の売却年・入居年・利用済み制度で何が併用できますか。両案の実際の税額と、既申告の修正等が必要かを確認したいです」と税理士や税務署へ相談します。利益が出る場合と譲渡損失の特例は分けて聞きます。
一方、ローンが残る自宅の売却で一定の譲渡損失が生じた場合の特例には、住宅ローン控除と併用できるものもあります。国税庁No.3390の案内ではこの併用が示されていますが、売価が残債より低ければ誰でも使えるわけではありません。売却時期、所有期間、ローン、相手方等の要件を確認します。利益の3,000万円控除と損失の制度を混同せず、既に申告した控除がある場合は修正等の要否も相談します。節税の見込額は、確認していない契約金の原資にしないでください。
税引後の住み替え全体で選ぶ
どちらを使うかは、正式な制度と本人の実額を比較して決めます。税だけ有利でも、新居価格や仮住まい等で負担が増える場合があります。「売却と入居の予定年で、どの控除が利用できるか」を相談してください。制度を組み合わせれば必ず最大の節税になるという期待ではなく、要件、申告、実際の家計を一つの計画にして判断しましょう。
本人の適用要件と実額を確認したうえで、税引後の家計へ有利な方法を選びます。税のために急いで値下げする、仮住まいを長くする等で効果が消える場合もあります。工事・売買契約を先に固定してから節税方法を探す順序を避けてください。
関連URL
1 [資料16] 国税庁 No3302 マイホームを売ったときの特例
3,000万円特別控除の要件と住宅ローン控除等との適用制限を確認できます。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm
2 [資料29] 国税庁 No3390 住宅ローンが残るマイホーム売却の譲渡損失
住宅ローンが残る自宅の譲渡損失に関する要件と住宅ローン控除との関係を確認できます。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3390.htm










