耐震等級3なら、地震のあとも必ず住めると思う?
判定 NG
NGです。耐震等級3は強い家を選ぶための大切な基準ですが、あらゆる地震で無傷で済み、そのまま住み続けられる保証ではありません。私は高い耐震性能を確保したうえで、建物の点検、家具や設備の被害、電気や水が止まった後の暮らしも備えます。
強さの評価と被害ゼロの約束を分ける
住宅性能表示制度の構造の評価には、構造躯体の倒壊等防止と、損傷防止という異なる項目があります。住宅性能評価・表示協会も両者を分けて説明しています。「等級3」という数字だけを見て、どんな揺れでも壁紙や設備まで一切壊れないと受け取ることはできません。何についての等級かを、評価書や説明資料で確認してください。
実際の地震の揺れ方や継続時間、繰り返し、敷地や建物の条件は一つではありません。私は、性能の高い家を選ぶ意義を否定するのでなく、評価が示す範囲を正しく使います。無損傷を約束できないから耐震性能は不要、という話にもなりません。建物の備えを強くしながら、なお残る被害や生活上の支障へ対策する考え方です。
建物が残っても暮らしは別に確認する
構造が大きな被害を受けなくても、窓、配管、設備、家具などに不具合が出れば生活に影響します。また、道路や地域の電気、水道が使えない状況は、自宅の等級だけでは防げません。私は「家が倒れなければすべて大丈夫」とは説明しません。家族が戻って眠れること、食事やトイレを使えることまで、別の条件として考えます。
在宅で過ごす備えをする場合も、建物の状態や周辺の危険によっては避難が必要になります。乳幼児や高齢の家族がいる、停電すると困る機器を使っているなど、家庭によって優先事項は異なります。備蓄品を買う前に、何が止まると生活が難しくなるかを家族で書き出してください。私は住宅の設計と、災害後の行動の両方へその情報を使います。
家具と避難する通路を設計に入れる
家の構造を検討すると同時に、背の高い家具や重い家電をどこへ置くかを考えます。転倒などへの対策は、家具の説明書や専門家の助言に沿って、適切な下地や固定方法を選びます。私は、入居後に任意の場所へねじを打てば済むとは考えません。新築時に家具の位置と固定用の下地を相談しておけば、建物側で準備できることがあります。
寝る場所の近くや、玄関へ向かう通路に何を置くかも確かめます。避難しようとしたときに、倒れた収納や割れた物で出入口が使えない場面を想像してください。すべてを空にする必要はありませんが、日常の収納計画と災害時の動きがぶつからない配置を選びます。耐震の打ち合わせを、壁や金物の話だけで終えないことが私の勧めです。
地震の後は等級より現状を見る
大きな揺れの後に建物の傾き、目立つ変形、落下の恐れなどがあれば、自分で無理に中へ入って確かめないでください。周囲の安全と自治体等の情報を確認し、建築の専門家へ相談します。「等級3で建てたから入っても安全」と、建築時の資料だけで現在の状態を判断することは避けます。確認する対象は、揺れを受けた後の建物です。
自治体の被災建築物応急危険度判定は、余震等による倒壊や落下などの二次災害を防ぐためのものです。国立市の案内も、罹災証明のための被害認定調査とは異なると説明しています。実施する地域や手順は自宅の自治体に確認してください。判定の役割を理解し、その後の詳しい調査や修繕の相談と混同しないことが大切です。
点検してもらうための資料を残す
引き渡し時の図面、構造の資料、評価書、施工中の写真は、普段から探せる場所へまとめます。紙だけでなく、家族が確認できる形で写しを保管する方法もあります。私は地震が起きてから担当者の名前を探すより、点検の相談先と連絡方法を先に確認することを勧めます。建てた会社と連絡が取れないときの相談先も、自治体等の案内で把握しておきます。
被害の記録は、まず安全が確保できる範囲で行います。写真を撮るために危険な場所へ入ったり、屋根へ上ったりする必要はありません。いつ、どこで、どのような変化に気付いたかを残せると、調査を依頼する際の説明がしやすくなります。修繕を急ぐ場合も、必要な応急対応と、その後の本格的な調査の進め方を専門家と相談します。
点検の相談をした後も、安全が確認される前に自己判断で生活を再開することは勧めません。連絡や点検の時期がすぐに決まらない場合を考え、家族が待機できる場所や必要な物を準備しておきます。私は、点検を頼めることと、直ちに安全な住まいへ戻れることを分けて備えます。
住み続けたいなら復旧のしやすさも考える
家づくりの段階で、設備の点検や交換のための場所を確保しておくことも、私が確認したい項目です。配管の点検口や設備へのアクセスが分からないと、問題が起きた後の確認に手間がかかります。地震被害だけに特化した話ではなく、普段の維持管理にも関係します。どこを開ければ何を確認できるかを、引き渡し時に教えてもらってください。
加えて、家族が離れている時間の連絡方法、集合場所、必要な物を持ち出す場所を決めます。家へ戻ることを最初から唯一の選択にせず、安全な滞在先を選べるようにします。私は、高い耐震性能を求めることと、避難や復旧の準備をすることは両立すると考えます。家の強さへ期待する範囲を明確にするほど、その外側で何を備えるべきかも見えてきます。
深澤の判断と次の行動
耐震等級3を目指す判断は大切にしながら、「必ずそのまま住める」という約束には置き換えないでください。次の打ち合わせでは、等級の根拠と一緒に、地震後の点検窓口、保管する資料、設備の確認方法を尋ねます。私は、強い家をつくることから、被災後に安全に暮らしを立て直すことまでを続けて考えます。
参考資料 確認日 2026年10月25日
住宅性能評価・表示協会「地震などに対する強さ(構造の安定)」
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