結露で後悔する人とは?
窓の水滴より怖いのは、見えない壁の中の結露です
質問
現在の家は、冬になると窓に水滴がつき、カビにも悩んでいます。
新築で高断熱住宅にすれば、結露は完全になくなるのでしょうか?
回答
結論から言うと、高断熱住宅にすれば、必ず結露がなくなるわけではありません。
結露を防ぐには、
- 断熱
- 気密
- 換気
- 窓
- 防湿
- 熱橋対策
- 冷暖房
- 室内湿度
- 施工精度
- 住み方
を一体で考える必要があります。
断熱等級やUA値だけが高くても、施工に隙間があり、換気設備が機能せず、室内湿度が高ければ結露は発生する可能性があります。
結露で後悔する人は、窓の水滴だけを問題にして、
なぜ水滴が発生したのか、壁の中では何が起きているのかを確認しなかった人です。
結露はなぜ発生するのか?
空気は、温度によって含むことのできる水蒸気の量が変わります。
暖かい空気は多くの水蒸気を含めますが、冷やされると含みきれなくなった水蒸気が水滴になります。
例えば、冬の室内で暖かく湿った空気が冷たい窓ガラスへ触れると、空気が冷やされて窓に水滴が発生します。
これが結露です。
結露の発生には、主に次の3つが関係します。
- 室内の温度
- 室内の湿度
- 窓・壁などの表面温度
室内湿度が高く、建物表面の温度が低いほど結露しやすくなります。
国土交通省の住宅省エネルギー資料でも、断熱・気密・換気が不十分な住宅では結露が発生しやすいと説明されています。国土交通省「住宅の省エネルギー 設計と施工」
結露には2種類ある
結露には、大きく分けて「表面結露」と「内部結露」があります。
表面結露
窓ガラス、サッシ、壁、押入れの中など、室内から見える場所に発生する結露です。
水滴やカビとして発見しやすいため、比較的早く対策できます。
内部結露
壁、天井、屋根、床などの内部で発生する結露です。
外から見えないため、気付かないまま進行する可能性があります。
内部結露が長期間続くと、
- 断熱材が湿る
- 断熱性能が低下する
- 柱や土台が腐る
- カビが発生する
- 金物が腐食する
- シロアリ被害につながる
- 構造耐力が低下する
可能性があります。
拭ける結露より、拭けない結露の方が住宅には深刻です。
後悔1|窓を交換すれば結露がなくなると思っていた
窓は住宅の中でも外気の影響を受けやすい部分です。
古い単板ガラスやアルミサッシは表面温度が下がりやすく、結露が発生しやすくなります。
新築時には、
- ガラスの枚数
- Low-Eガラス
- アルゴンガス
- 樹脂サッシ
- アルミ樹脂複合サッシ
- スペーサーの材質
- 窓の大きさ
- 窓の方位
を確認する必要があります。
ただし、高性能な窓へ交換しても、室内湿度が極端に高ければ結露することがあります。
窓性能を高めることは重要ですが、それだけで結露対策が完了するわけではありません。
「複層ガラスだから安心」ではない
複層ガラスでも、サッシ枠やガラス周辺部の温度が下がれば結露する可能性があります。
同じ複層ガラスでも、
- ガラスの種類
- ガス層
- Low-E膜の位置
- サッシ枠
- スペーサー
- 施工状態
によって性能は異なります。
住宅会社から「ペアガラスが標準です」と説明されたら、それだけで判断せず、窓の商品名、熱貫流率、枠の材質まで確認してください。
後悔2|断熱等級だけを見ていた
断熱等級やUA値は、住宅全体の断熱性能を判断する重要な指標です。
しかし、UA値は住宅全体の平均的な性能を示す数値です。
一部分に断熱欠損や熱橋があっても、住宅全体のUA値だけでは、その場所の表面温度まで分からない場合があります。
例えば、
- 柱や梁の周辺
- 窓の取り付け部分
- バルコニーとの接続部
- 基礎と土台
- 壁と天井の取り合い
- 金物周辺
- 配管・配線の貫通部
などは、施工によって熱が逃げやすい部分になる可能性があります。
UA値が良い家と、結露しにくい施工がされた家は、必ずしも同じではありません。
熱橋とは?
熱橋とは、周囲より熱が伝わりやすくなっている部分です。
英語ではヒートブリッジと呼ばれます。
熱橋部分は冬に室内側の表面温度が下がりやすいため、局所的な結露やカビが発生することがあります。
代表的な場所は、
- 柱や梁
- 金属製の部材
- 窓周辺
- 基礎と壁の取り合い
- バルコニー
- 断熱材が途切れた部分
です。
住宅全体の断熱性能だけでなく、断熱材を連続させ、熱橋を減らす設計と施工が必要です。
後悔3|断熱材の種類だけで選んだ
住宅会社から、
「発泡断熱だから結露しません」
「グラスウールだから湿気に弱い」
「この断熱材は水を吸わないので安心です」
と説明されることがあります。
しかし、断熱材の種類だけで結露の有無は決まりません。
重要なのは、
- 断熱材の厚さ
- 施工密度
- 隙間の有無
- 防湿層
- 気密層
- 外側へ湿気を逃がす構成
- 通気層
- 配線・配管周辺の処理
- 地域の気候
- 冷暖房の使い方
です。
性能の高い断熱材でも、隙間だらけに施工されれば本来の性能を発揮できません。
反対に、一般的な断熱材でも、建物に合った設計と丁寧な施工、防湿・気密処理が行われていれば、高い性能を発揮できます。
断熱材の商品名より、壁全体をどう設計し、現場でどう施工するかの方が重要です。
後悔4|気密性能を測定していなかった
気密性能が低い住宅では、室内の暖かく湿った空気が、コンセント、配管、天井、壁の隙間などから構造内部へ入り込む可能性があります。
その空気が壁の中で冷やされると、内部結露につながることがあります。
また、隙間が多い住宅では、給気口から計画的に外気を取り入れるのではなく、予期しない場所から空気が出入りします。
その結果、換気設備を設置していても、計画したとおりに空気が流れない可能性があります。
気密性能を示す代表的な数値がC値です。
C値は図面から計算する数値ではなく、完成した住宅で実測する数値です。
契約前には、
- 全棟で気密測定を行うか
- 目標C値はいくつか
- 測定時期はいつか
- 測定結果を受け取れるか
- 目標を超えた場合に補修するか
を確認してください。
「高気密仕様です」ではなく、測定結果を確認することが重要です。
高気密住宅だから結露する、は誤解
「家の気密を高くすると湿気が逃げず、結露する」と言われることがあります。
しかし、気密を低くして隙間から湿気を逃がす方法では、空気の流れを管理できません。
隙間から入る空気は、
- どこから入るか分からない
- 壁内を通る可能性がある
- 花粉やほこりを含む
- 冷暖房負荷を増やす
- 壁内結露を引き起こす可能性がある
ため、換気とはいえません。
必要なのは、
気密を確保したうえで、換気設備によって必要な空気を計画的に入れ替えることです。
国の基準でも、気密性は隙間風の防止だけでなく、断熱効果の確保と計画換気の実現に必要なものとして位置づけられています。国土交通省「住宅の気密性の確保及び結露防止等の措置」
後悔5|24時間換気を止めていた
換気設備は、設置すれば自動的に結露を防いでくれるものではありません。
次のような状態では、必要な換気量を確保できない可能性があります。
- 電気代を心配して停止する
- 音が気になって弱運転にする
- 給気口を家具やカーテンで塞ぐ
- フィルターが目詰まりしている
- ダクトが正しく施工されていない
- 給排気口の位置が悪い
- 室内ドアを閉めると空気が流れない
- 入居後に換気量を確認していない
24時間換気は、原則として常時運転する前提の設備です。
定期的なフィルター清掃、給排気口の確認、必要に応じた風量測定が重要です。
第一種換気なら絶対安心ではない
第一種換気は、給気と排気の両方を機械で行う方式です。
熱交換型であれば、排気する空気の熱を回収しながら換気できます。
しかし、第一種換気を採用しただけで結露がなくなるわけではありません。
- 設計風量
- ダクト施工
- 給排気口の位置
- フィルター清掃
- 熱交換素子の管理
- 室内湿度
- 気密性能
が適切でなければ、本来の効果を発揮できません。
換気方式の名称ではなく、完成後に必要な風量が確保されているかを確認することが重要です。
後悔6|室内湿度を上げすぎた
冬に乾燥を感じると、加湿器を使用する家庭があります。
しかし、室温や外気温を確認せず加湿しすぎると、窓や壁の表面温度が露点温度を下回り、結露が発生しやすくなります。
室内の水蒸気は、加湿器だけから発生するわけではありません。
- 調理
- 入浴
- 室内干し
- 石油・ガスの開放式暖房器具
- 観葉植物
- 水槽
- 人の呼吸
- 洗濯物
からも水蒸気が発生します。
冬の相対湿度は、一般的に40%から60%程度が一つの目安とされますが、結露しない上限は外気温、窓性能、室温、部位の表面温度によって変わります。
湿度計を複数の場所へ設置し、窓や収納で結露が発生する場合は加湿量と換気を見直してください。
開放式暖房器具にも注意
室内で灯油やガスを燃焼し、排気を屋外へ出さないタイプの暖房器具は、燃焼時に水蒸気を発生させます。
断熱・気密性能の高い住宅で使用すると、室内湿度が上がりやすくなることがあります。
高性能住宅では、
- エアコン
- 密閉式暖房機器
- 適切に排気する設備
を基本に検討し、開放式の石油ストーブやガスファンヒーターの使用については住宅会社へ確認してください。
暖房器具の種類は、温度だけでなく湿度と空気環境にも影響します。
後悔7|室内干しの湿気を考えていなかった
共働きや花粉対策のため、室内干しを前提にする家庭が増えています。
洗濯物から出た水分は、すべて室内の空気へ移ります。
室内干しスペースをつくる場合は、
- 排気口の位置
- 換気量
- 除湿機
- エアコン
- サーキュレーター
- 扉を閉めた場合の空気経路
- 洗濯物の量
まで考える必要があります。
単に物干し金物を取り付けただけでは、乾燥計画になりません。
ランドリールームの窓を開ければ解決するとも限りません。雨天時や梅雨時は外気自体の湿度が高いためです。
後悔8|浴室・洗面の換気が足りなかった
入浴後は、多くの水蒸気が発生します。
浴室の扉を開けたままにすると、湿気が洗面室や廊下へ広がる可能性があります。
入浴後は、
- 浴室の水滴を減らす
- 浴室換気を適切に運転する
- 浴室扉を閉める
- フィルターを清掃する
- 必要に応じて除湿する
ことが重要です。
浴室乾燥機を使用する場合も、電気代、フィルター清掃、排気経路を確認してください。
後悔9|家具の裏や収納にカビが生えた
外壁に面した壁へ家具を密着させると、家具の裏側で空気が動きにくくなります。
その部分の表面温度が低く、湿気がたまると、結露やカビが発生する可能性があります。
注意したい場所は、
- 北側の外壁
- クローゼット
- 押入れ
- ベッドやタンスの裏
- 玄関収納
- 床下収納
- 部屋の隅
- カーテンの裏
です。
家具は壁から少し離し、空気が流れるようにします。
収納も物を詰め込みすぎず、換気口を塞がないことが重要です。
後悔10|新築直後だから湿気が多いだけと言われた
新築住宅では、コンクリートや木材などに含まれる水分の影響で、入居初期に湿度が高くなることがあります。
しかし、毎年同じ場所で大量の結露が発生する場合は、「新築だから」で済ませてはいけません。
次の可能性を確認する必要があります。
- 断熱欠損
- 気密処理の不良
- 窓性能の不足
- 換気不足
- ダクト施工不良
- 雨漏り
- 配管からの漏水
- 床下や小屋裏の湿気
- 室内湿度の上げすぎ
結露の場所、時間、外気温、室温、湿度を記録し、住宅会社へ調査を依頼してください。
壁内結露はどう確認するのか?
壁の中は、完成後に簡単には見られません。
異常を疑う兆候には、
- 壁紙の変色や剥がれ
- カビ臭
- 壁の一部が冷たい
- 巾木周辺の変色
- 木材の腐朽
- 異常な湿度
- 断熱性能の低下
- 小屋裏や床下の水滴
などがあります。
調査には、
- 温湿度測定
- 表面温度測定
- サーモグラフィー
- 含水率測定
- 小屋裏・床下点検
- 内視鏡調査
- 必要に応じた壁の開口
などがあります。
窓の水滴だけを拭き続けるのではなく、発生原因を特定することが重要です。
「結露しない保証」はできるのか?
住宅会社がどれだけ高性能な家を建てても、すべての条件で結露を完全にゼロにする保証は困難です。
例えば、
- 外気温が極端に低い
- 室内湿度を高くしすぎる
- 換気設備を停止する
- カーテンで窓を覆う
- 家具を外壁へ密着させる
- 室内干しを大量にする
といった条件では、高性能住宅でも局所的に結露する可能性があります。
住宅会社が約束すべきなのは、「絶対に結露しません」という言葉ではありません。
- どの断熱・防湿設計を採用するか
- 気密測定をするか
- 換気量を確認するか
- 結露発生時に原因調査をするか
- 施工記録を残すか
という具体的な対策です。
結露対策で削ってはいけないもの
予算調整で削られやすいのが、完成後に見えない部分です。
- 窓性能
- 断熱材の厚さ
- 気密処理
- 防湿層
- 通気層
- 換気設備
- 気密測定
- 換気風量の確認
しかし、キッチンや照明は後から交換できても、完成後に壁を開けて断熱・防湿・気密をやり直すのは大工事になります。
結露によるカビや腐朽が進めば、住宅寿命や耐震性能へ影響する可能性もあります。
見えない部分だから削るのではなく、完成後に直しにくい部分だから優先するべきです。
契約前に確認したい15の質問
- 断熱等級はいくつですか
- UA値はいくつですか
- 窓のサッシとガラスの仕様は何ですか
- 断熱材の種類・厚さ・施工方法は何ですか
- 防湿層はどこへ設けますか
- 壁内の湿気を外へ逃がす構成になっていますか
- 通気層はどのように確保しますか
- 熱橋対策を行いますか
- 全棟で気密測定を行いますか
- 目標C値はいくつですか
- 換気方式と熱交換率はいくつですか
- 完成後に換気風量を確認しますか
- ランドリールームの除湿方法は何ですか
- 結露が発生した場合、原因調査を行いますか
- 断熱・気密・防湿施工の写真を受け取れますか
この質問に、
「高断熱なので大丈夫です」
「発泡断熱だから結露しません」
「24時間換気が付いています」
としか答えない住宅会社には注意が必要です。
デザインハウス甲府の考え方
私たちは、結露対策を断熱材だけの問題とは考えていません。
結露を抑えるためには、
- 断熱等級6
- UA値0.46以下
- 窓性能
- 2×6による壁厚
- 適切な防湿・気密処理
- 全棟気密測定
- C値0.7以下
- 第一種熱交換換気
- 適切な給排気計画
- 施工写真と測定記録
を一体で考える必要があります。
特に重要なのが、全棟での気密測定です。
気密性能はカタログでは確認できません。
同じ設計、同じ断熱材でも、施工する人と現場の納まりによって結果が変わります。
だからこそ、一棟ごとに測定して確認します。
ただし、高性能住宅でも、換気設備を止めたり、過剰に加湿したりすれば結露する可能性があります。
引渡し時には、設備の使い方、フィルター清掃、室内湿度の管理方法まで説明する必要があります。
まとめ
結露で後悔する人は、窓の水滴を拭かなかった人ではありません。
断熱、気密、換気、防湿、窓、湿度管理を別々に考えた人です。
窓の結露は目で見つけられます。
しかし、壁の中の結露は、柱や断熱材が傷んでから発見されることがあります。
後悔しないためには、
- UA値だけで判断しない
- 断熱材の商品名だけで選ばない
- 窓の枠とガラスまで確認する
- 防湿・気密層を確認する
- 全棟で気密測定をする
- 換気設備を止めない
- フィルターを清掃する
- 室内湿度を上げすぎない
- 室内干しと浴室の除湿を計画する
- 施工写真と測定結果を残す
ことが重要です。
結露は、水滴の問題ではありません。
住宅性能、健康、構造材、住宅寿命に関わる問題です。
窓の水滴を毎朝拭く家ではなく、
なぜ水滴が生まれるのかを設計・施工・測定で管理できる家を選んでください。










