家づくりの予算は、本体価格ではなく、入居までに自分たちが支払う総額で判断します。本体、付帯、諸費用という分け方があっても、家計から出ていくことは同じです。必要な工事を本体の外へ出せば、見かけの本体価格は下がりますが、それだけで建築費が安くなったわけではありません。
ただし、すべての費用を最初から一円単位で確定できるとは限りません。大切なのは、確定した金額、条件付きの見込み、まだ未確認の項目を区別することです。「全部コミコミ」という言葉に安心するより、含まれる範囲と、別途になる条件を一覧で確かめる方が、予算を守りやすくなります。
建物本体と、暮らし始めるための支払いを分けて集める
住宅取得では、工事代金以外にも登記、融資、保険、引越し等の費用が関係します。国土交通省も、購入時の諸費用と、住み続ける間の税・修繕等の費用を分けて説明しています。建物の請負契約書に載る金額だけが、家づくりに必要な資金ではありません。[58]
土地を購入する場合は、土地代とその取得費用も加えます。建て替えなら、解体、仮住まい、引越し、既存設備の撤去なども確認します。ただし、必要かどうかは個別条件によって変わるため、どの家庭にも同じ金額を足せばよいわけではありません。自分の計画にある項目を一つずつ洗い出しましょう。
新居で使う照明やカーテン、エアコン、家具も、工事費に含まれているかを確認します。持ち込む物があれば、新たな購入費と区別します。建築資金から出すのか別の貯蓄から出すのかにかかわらず、入居前後に家計から必要になる金額として、同じ資金計画に載せることが大切です。
外構を後回しにする場合も、将来支払う予定の金額が消えるわけではありません。駐車、雨水への対策、境界や視線への対応など、入居時に必要な範囲と後で行う範囲を分けます。後回しにした分を総額から外して予算内と考えるより、支払う時期を分けた計画として把握する方が実態に合います。
敷地で変わる費用は、調査と見込みをセットにする
給排水の引込み、地盤、造成、残土処分、工事車両の進入などは、図面上の建物価格だけでは判断できない項目です。調査済みか、誰の見積もりか、どの範囲を前提にしているかを聞きます。「通常はこのくらい」という説明は概算として扱い、確認する時期を決めておきましょう。
地盤や解体後の状態など、工事の段階で条件が明らかになるものは、追加の可能性と対応方法を確認します。発生したら当然に全額承認という進め方ではなく、理由、工法の選択肢、見積もり、工期への影響を説明してから協議する手順が必要です。未確定項目は、契約前から扱いを決めておきます。
見込み額を入れた場合は、実際の工事費が少なかったとき、差額をどう扱うかも確認しましょう。概算が確定価格なのか、実費で精算する予算なのかでは意味が違います。上振れへの説明だけでなく、下振れした場合も含めて書面で確認すると、後の認識違いを減らしやすくなります。
本体価格の順位が、総額で逆転することがある
土地をすでに所有し、同じ建物と外構範囲を比較する仮定を置きます。A案は本体2,200万円、付帯400万円、諸費用200万円、入居準備100万円。B案は本体2,400万円、付帯150万円、諸費用200万円、入居準備100万円とします。工事価格は税込、その他は実際の支払額として仮定した例です。
合計すると、A案は2,900万円、B案は2,850万円です。本体だけならA案が200万円安いのに、同じ完成範囲の総額ではB案が50万円安くなります。この数字は相場を示すものではありませんが、どの欄に費用を入れたかより、必要な支払いを足し切ることが重要だと分かります。
比較表を作る際には、両社の項目名を無理に一致させるより、工事内容を揃えます。A社で屋外給排水、B社で設備工事に含まれている場合、名称だけで別途扱いにすると二重計上します。見積もりのどこに含まれるかを確認し、「含む」「別途」「見込み」「不要」を整理してください。
総額と同時に、支払う時期を確認する
総額が予算内でも、着工前、中間時、引き渡し時の支払いと、融資の実行時期が合うかを確認します。土地購入が先にある場合や、工事中に複数回の支払いがある場合は、その時点で使える資金が必要です。住宅会社の支払条件と金融機関の条件を、別々に確認したままで終わらせないようにします。
必要となる融資や立替えの費用があるなら、資金計画へ加えます。金利だけでなく、手数料や、工期が延びた場合の影響も確認します。建物価格が安くても、資金の動かし方によって負担が変わる可能性があるためです。支払い予定表に日付と金額を載せると、必要な手元資金が見えやすくなります。
補助金や税の軽減を見込む場合も、受け取る時期と支払いの時期を同じと考えないことです。申請条件、実施状況、手続きの担当を確認し、確定していない支援額を、すでに使える現金のように扱わないようにします。対象外や遅れが生じた場合にも支払いができるかを確認しておくと安心です。
「これ以上かからない」の例外を契約前に聞く
総額提示を受けたら、追加になり得る項目を聞きます。施主の希望変更、調査後に確定する工事、工事条件が変わった場合などを区別してください。例外があること自体より、例外を曖昧にしたまま契約することが問題です。金額が動く条件と、事前承認の手順を確認しましょう。
住宅金融支援機構も、資金計画や将来の家計収支、諸費用を含む返済プランの比較を用意しています。建築費の総額を確かめたら、その後の返済と生活費を合わせて見ます。建てられる金額を確定するだけでなく、建てた後に何を残せるかを確認するところまでが、予算の判断です。[60]
デザインハウス甲府が重視したい「最初から総額」とは、未確認の工事を無理にゼロと言い切ることではありません。分かる費用を早く集め、分からない費用は理由と確認時期を示して、家計が判断できる状態をつくることです。住宅会社には、価格の安さと同じくらい、説明の透明さを求めてください。
見積もりを受け取ったら「この金額以外に、入居までに誰へ何を支払いますか。未確定項目は、いつ、どう確定しますか」と質問しましょう。本体価格を比べる段階から、支払い先と時期を含む総額を比べる段階へ進むことで、後から家計を圧迫する追加費用を見つけやすくなります。










