記事詳細

床面積を半分にすれば、建築費も半分になりますか? キッチン・風呂・トイレが必要なら、思ったほど安くならないのではありませんか?

床面積を半分にしても、建築費が半分になるとは限りません。家の価格には、面積とともに減りやすい部分と、小さくしても残る部分があるためです。小さく建てる判断自体は合理的でも、「面積を減らした割合だけ安くなる」と考えると、得られる節約と失う使い勝手を見誤ります。

見るべき数字は、平均の坪単価よりも「この面積を減らすと、実際に総額がいくら下がるか」です。キッチンを通れなくなるほど削って、減額は期待したほど出なかった。それでは、建築費の調整を日々の我慢で支払うことになります。

小さくしても一式必要な工事がある

例えば、延床30坪を15坪にしても、キッチン、浴室、便器、給湯器を半分ずつ設置するわけにはいきません。人数や使い方によって設備のサイズを変えられる場合はありますが、家に一組必要な機能は残ります。設備代に加え、配管接続、電気工事、試運転なども確認する必要があります。

敷地への給排水の引込みや、施工のための準備にも同じことがいえます。道路から建物までの距離や道路を掘る条件は、居室を一つ減らしただけでは変わりません。設計、申請、現場管理も業務の範囲に応じて発生するため、必ず面積に比例して減額されるものではありません。

反対に、仕上げる床や壁、使う建材など、数量が減る部分はあります。ただし、それぞれがどの程度減るかは構造、屋根形状、建物の階数、施工条件次第です。「固定費があるから小さくしても安くならない」という説明も極端です。減る工事と残る工事を分けて確かめます。

単純な模型でも半額にならない理由が分かる

仕組みを示す仮定として、面積によらず残る費用が800万円、30坪に応じて変わる費用が1,400万円の家を考えます。合計は2,200万円です。後者だけが面積に比例すると仮定すれば、15坪では800万円と700万円の計1,500万円になります。実際の相場や見積額を示す数字ではありません。

この模型では、面積は50%減っても、金額は700万円、約32%の減少です。30坪では約73万円だった坪当たりの金額が、15坪では100万円になります。総額は下がっているのに坪単価は上がるため、坪単価だけで割高、割安と決めると、判断が逆になることがあります。

実際の建物では、これほど単純には分かれません。それでも、営業担当に「何坪削れますか」だけを聞くより、「どの数量がどれだけ減り、その結果いくら下がりますか」と尋ねるほうが有効です。面積を減らす目的は数字の小さな家をつくることではなく、暮らしを維持して支出を抑えることです。

見積もりに書かれた平均の坪単価を、一坪削る際の減額単価として使わないことも大切です。全体に含まれる設備や準備費を平均した数字と、最後の一坪を減らして不要になる工事費は異なります。減額の根拠が示されないまま、間取りだけを先に縮めないようにしてください。

形と階数を変えると比較条件も変わる

同じ延床面積でも、平屋と2階建てでは基礎や屋根、階段などの構成が変わります。30坪の2階建てと15坪の平屋を並べ、面積半分だから半額と計算することはできません。吹抜けやロフト、玄関ポーチなどの扱いも揃え、見積書の数量と図面を一緒に見てください。

小さな敷地に建てるために、運搬や作業場所の確保へ特別な対応が必要な場合もあります。これは家が小さいこと自体の費用ではなく、敷地や工事条件の費用です。原因を混ぜると、面積を戻せばどの費用が増えるのか、何を変えれば安くなるのかが分からなくなります。

既存のプランを単純に縮小すると、規格の部材や設備が納まらず、かえって特別な対応が必要になる場合もあります。小さい家ほど、初めからその面積に合う寸法と構成で設計することが重要です。削った寸法と追加になった工事を両方確認すれば、減額が小さい理由を把握できます。

生活のための買い足しまで計算する

建物を小さくした結果、収納家具や折り畳み家具、壁面収納を増やすなら、その金額を加えて比較します。床面積を削った効果を、造作工事が食いつぶすこともあります。最初から家具を含めて成立する間取りならよいのですが、入居後の工夫へ丸投げした安さには注意が必要です。

また、小さな家の利点も具体的に評価しましょう。使わない客間をなくす、掃除する範囲を抑える、家族の動線を短くすることは、その世帯にとって価値があります。一方、毎日使う調理台や着替える場所まで削ると、効率化のはずが家事の手間を増やす場合があります。

「何をなくしたか」を部屋名だけで記録せず、行為で書くと違いが見えます。来客用の寝室は不要でも、体調不良時に別々に寝る場所は必要かもしれません。一つの部屋を複数用途に使えるかを確かめ、使わない面積と、普段は空いていても役割のある面積を見分けます。

総額の範囲と必要な性能は揃える

比較する見積書は、建物、付帯工事、外構、申請、登記、融資関係費用、消費税まで、何を含むかを揃えます。家具や引越しの扱いも統一してください。片方だけに給排水工事や照明が入っていなければ、面積差による減額を正しく比べたことにはなりません。

性能を落として金額を合わせる比較にも注意が必要です。2025年4月以降に着工する新築住宅は、原則として省エネ基準への適合が義務化されています。その適合確認に加え、自分たちが必要とする断熱、気密、耐震の条件を同じにして面積の差を検討します。(出典:国土交通省 省エネ基準適合の義務化)

減らす前に二つの見積もりを取り寄せる

最初に「この広さでないと予算に入りません」と決めず、同じ敷地、同じ性能、同程度の設備で、希望面積と一段小さい面積の両案を出してもらってください。その差額を、失う収納、個室、家事スペースの一覧と並べます。金額の減少に納得できるなら、小さくする根拠になります。

もし減額が小さく、不便だけが大きいなら、建物形状や設備の仕様、使わない装飾を先に見直す余地があります。予算には上限がありますから、広さを守るために無理な借入れをする必要もありません。判断を急ぐ前に、削り方を変えた第三案まで求めることが大切です。

住宅会社への依頼は「総額を下げたいので、面積を減らす案と、同じ面積で仕様を整理する案の両方をください」で十分です。坪数だけを小さくする提案と、生活を保ちながら費用を下げる提案は、出てくる図面も見積もりの説明も違います。その違いで会社を比較してください。

 

デザインハウス甲府
〒400-0118 山梨県甲斐市竜王1656-17
営業時間 9:00~18:00 / 定休日 水曜日

PAGE TOP ▲
ライン
フェイスブック
ツイッター
インスタ
イベント情報
電話番号
お問い合わせ