記事詳細

変動金利か固定金利か 退職前後の家計で避けるべき選び方は何ですか?

退職前後の住宅ローンで避けたいのは、当初の月額だけを見て借入額を決めることです。「シニアなら変動は絶対に駄目」「固定なら無条件に安心」という決め方では、家計の違いを見落とします。収入が下がった後も、必要な生活費と手元資金を残して払えるかを基準に選びます。

私は、金利の予想が当たることを前提に家を勧めたくありません。変動を選ぶなら上昇時の負担に備え、固定を選ぶなら当初からの返済額が重過ぎないかを確かめます。どちらでも生活が苦しいなら、金利タイプを工夫する前に、住宅へ使う総額を調整する段階です。

固定という言葉の範囲を確かめる

全期間固定金利は、借入れから完済まで適用金利が決まる仕組みです。固定金利期間選択型は、当初の一定期間だけを固定します。例えば「10年固定」で15年間借りるなら、残り5年間の金利まで今の条件で確定するとは限りません。商品名だけで返済の安定性を判断しないでください。[21]

退職の時期と固定期間が終わる時期を、同じ年表に書きます。収入が落ちる年に返済額も見直される計画なら、二つの変化をまとめて受ける可能性があります。「最初の10年は安い」という説明の後に、11年目の残高と、選び直す条件まで聞くことが必要です。

全期間固定でも、税金、保険料、修繕費、生活費まで一定になるわけではありません。住宅ローンの返済額が決まる利点はありますが、家計全体に余裕を残す作業は別に必要です。金利の安心を買ったために生活予備費がなくなる計画では、安心の範囲が狭過ぎます。

金利差を年金生活の金額へ置き換える

比較例として、借入1,000万円、15年、元利均等返済、ボーナス返済なしを考えます。全期間同じ金利と仮定すると、年1.5%で月約6万2,074円、年2.5%で約6万6,679円、年3.5%で約7万1,488円です。手数料や保険料などは含めていません。

1.5%と3.5%の差は月約9,414円、年約11万3,000円になります。これは、途中で金利が上がった場合の実際の返済額を再現した計算ではありません。同じ借入額と期間でも、金利の違いで家計の負担がどう変わるかを見るための比較です。実際の変更時は残高や残り期間で計算します。

年約11万円の差を「その程度」と感じるかどうかは家庭によります。月々の余裕が2万円なら、その半分近くに当たります。年間の旅行費、車の整備費、通院の交通費など、自分たちが残したい支出と並べると、金利リスクを生活の言葉で判断できます。

返済額を据え置くルールは金利上昇を消さない

変動金利の説明に出てくる5年ルールや125%ルールは、すべての商品にあるわけではありません。ソニー銀行の公式説明では、これらのルールを採用していないことが明記されています。自分が申し込む銀行の商品説明書で、金利と返済額がいつ変わるかを確認してください。[22]

据置きや上限の仕組みがある場合でも、金利上昇によって増えた利息がなくなるわけではありません。月額がすぐ変わらなくても、元金の減り方や後の負担へ影響します。「急には増えないから安心」と聞いたら、残高がどう推移するかを返済予定表で見せてもらいましょう。[21]

老後の計画では、現在の引落額だけでなく、70歳、75歳などの時点で何円残っているかも重要です。返済額の調整を受けられることと、希望する年齢までに無理なく完済できることは同じではありません。借りた後も、通知に記載された金利、利息、元金残高を定期的に確認します。

現金がある人と収入の余裕がある人を分ける

預貯金が多くても、その全額を金利上昇への備えとして数えてはいけません。医療・介護、住宅修繕、車の買い替え、年金収支の不足分にも使う予定なら、同じ現金を何度も当てにしていることになります。目的別に引き当てた後、どれだけ返済へ回せるかを見ます。

一方、退職後も安定した収入があり、借入額が小さく、返済が増えても生活費と予備費を守れる家庭なら、変動を選ぶ余地はあります。ただし、借入れを増やして余裕を使い切れば、その理由は失われます。余裕があるから選ぶのか、予算を大きくするために選ぶのかを区別してください。

将来は借換えればよい、という説明にも注意します。その時点の年齢、収入、健康状態、物件条件、手数料によって、希望どおり借り換えられるとは限りません。借換えは選択肢として検討しても、必ずできる救済策として現在の返済計画へ組み込まない方が堅実です。

三つの家計表で選び最後に借入額を決める

比べる家計表は、予定どおりの収入、再雇用収入が短くなる場合、金利と生活費が上がる場合の三つです。それぞれで、年間収支と年末の現金残高を出します。前提を厳しくしても残したい資金を守れるかを見るのであって、悲観的な未来を言い当てる作業ではありません。

夫婦のどちらか一方で暮らす場合も別に確認します。世帯収入が変わっても、住居費や税金が同じ割合で減るとは限りません。団信がどの債務を保障するか、保障がない場合に残債をどう扱うかを含め、残る家族の生活費と返済を重ねて計算します。

金利タイプの比較表には、事務手数料、保証料、団信の上乗せ、繰上返済の条件も入れます。低い金利だけを切り出した広告と、諸費用込みの別商品を比べても判断できません。借入額、返済期間、保障内容を揃え、何に対して費用を払っているかを確認しましょう。

金利が確定する時点も聞いてください。申込時に見た金利が、契約や融資実行までそのまま適用されるとは限りません。建て替えは相談から完成まで時間があるため、見積もり時点の返済額だけで予算を使い切らないことです。適用金利が変わった場合の月額と必要な自己資金を、契約前と融資実行前の両方で確認すれば、最後の資金不足を防ぎやすくなります。

固定にすると予算が足りないから変動で借りる、という順序には一度立ち止まります。面積や設備を調整し、必要な構造や断熱を守った別案を作れないかを先に検討します。建てた後の生活を守るには、金利選びより借入額の調整の方が効く場合があります。

金融機関には「退職後の手取り収入で、金利が上がる場合と全期間固定の場合の返済額・残高を比べたい」と伝えてください。家族には、どちらを選んでも残したい毎月の余裕と現金を共有します。予想が外れたときにも暮らしを続けられる条件で、金利と借入額を一緒に決めましょう。

 

 

デザインハウス甲府
〒400-0118 山梨県甲斐市竜王1656-17
営業時間 9:00~18:00 / 定休日 水曜日

PAGE TOP ▲
ライン
フェイスブック
ツイッター
インスタ
イベント情報
電話番号
お問い合わせ