Q. 住宅会社選びは何から始めるべき?
A. 最初に住宅展示場へ行くのではなく、「建てた後も無理なく暮らせる総予算」と「家族が絶対に守りたい条件」を決めることから始めます。
住宅会社選びというと、住宅展示場へ行く、資料を請求する、SNSで施工事例を見るところから始める人が多いでしょう。
しかし、予算や優先順位が決まっていない状態で住宅会社へ行くと、営業担当者から提案された家が、自分たちの基準になってしまいます。
- せっかく建てるなら、もう少し広く
- 月々1万円増えるだけ
- 今月なら特別値引き
- この設備は皆さん付けています
- 50年ローンなら予算内です
このような提案を受けるたび、当初の予算と家の大きさが少しずつ上がります。
最初に決めるべきなのは住宅会社ではありません。
住宅会社から何を提案されても動かさない、自分たちの判断基準です。
最初に展示場へ行ってはいけない理由
住宅展示場には、住宅会社の魅力を最大限に伝えるモデルハウスが並んでいます。
一般的な住宅より大きく、吹抜け、大開口、高級キッチン、間接照明、造作家具など、多数のオプションが採用されていることがあります。
基準を持たずに見ると、「これくらいの家が普通」と感じやすくなります。
しかし、展示場の住宅と実際に建てられる住宅は、次の条件が違う場合があります。
- 建物面積
- 設備のグレード
- オプション金額
- 天井高
- 窓の大きさ
- 外壁や内装
- 家具・インテリア
- 外構
- 建築総額
展示場へ行く前に、「総額はいくらまで」「必要な広さは何坪程度」「何を標準に求めるか」を決めておかなければ、魅力的な提案に予算を引っ張られます。
第1段階は「借りられる金額」ではなく安全予算
住宅会社選びの出発点は、住宅ローンの借入可能額ではありません。
建築後も、教育費、車、老後資金、修繕費を守れる安全予算です。
銀行が4,000万円まで融資できると判断しても、その世帯が4,000万円を無理なく返せるとは限りません。
住宅ローン以外にも次の支出があります。
- 固定資産税
- 火災・地震保険
- 外壁・屋根の修繕
- 給湯器やエアコンの交換
- 車の購入・維持費
- 子どもの教育費
- 親の介護
- 老後生活費
- 金利上昇への備え
住宅金融普及協会も、ライフプランと住宅資金計画、借入可能額、返済期間、教育資金などを分けて考える情報を公開しています。住宅ローンの基礎情報も参考になります。
安全予算を出すときは、最低でも次の数字を整理します。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 現在の手取り収入 | ボーナスを除いた月収も確認 |
| 現在の生活費 | 住宅費以外の支出 |
| 教育費 | 進学時期と積立額 |
| 車関連費 | 買い替え時期と台数 |
| 老後資金 | 退職年齢と年金見込み |
| 手元資金 | 建築後に残す現金 |
| 住宅維持費 | 税金、保険、修繕、設備交換 |
| 金利リスク | 金利上昇時の返済額 |
「月々払える」だけでなく、何歳で完済し、その時点でいくら資産が残るかまで考えます。
第2段階は家族の希望を3つに分ける
安全予算を決めたら、家族の希望を書き出します。
ただし、希望をすべて同じ優先順位にすると、予算オーバーします。
次の3分類に分けてください。
絶対に守る条件
- 安全予算
- 必要な部屋数
- 耐震性能
- 断熱・気密性能
- 通勤や通学条件
- 老後も暮らせる動線
- 必要な駐車台数
できれば欲しい条件
- 回遊動線
- ファミリークローゼット
- 広い洗面室
- 造作洗面
- パントリー
- ウッドデッキ
- 大きな窓
予算を超えたら見直す条件
- 必要以上の床面積
- 複雑な外観
- 高級キッチン
- 過剰な収納
- 来客専用の部屋
- 流行だけで採用する設備
- 後から追加できるもの
夫婦で別々に書き、その後に共通点と相違点を確認する方法も有効です。
最初から意見を一つにまとめようとすると、本音が出ないことがあります。
第3段階は「暮らし」を整理する
間取りを考える前に、現在の暮らしを整理します。
家族がどのように生活しているかが分からなければ、自分たちに合う間取りも決められません。
- 何時に起きるか
- 朝の洗面が重なるか
- 洗濯物をどこで干すか
- 帰宅後に荷物をどこへ置くか
- 料理をする人は誰か
- 食品をどれくらい保管するか
- 在宅勤務があるか
- 来客は年に何回あるか
- 将来、子どもが独立した後に部屋をどう使うか
- 老後に階段を使い続けられるか
例えば「広い収納が欲しい」という要望も、持ち物を減らさなければ、収納を増やしても足りなくなる可能性があります。
「ランドリールームが欲しい」ではなく、「洗う、干す、畳む、収納する動線を短くしたい」と目的を整理すると、別の間取りでも解決できます。
設備名や流行の間取りではなく、暮らしの問題から考えることが重要です。
第4段階は最低限の住宅性能を決める
住宅会社を探す前に、自分たちが最低限求める性能を決めます。
住宅会社ごとに「高性能」の意味が違うためです。
確認する基本項目は次のとおりです。
| 性能項目 | 事前に決める・確認する内容 |
|---|---|
| 耐震 | 耐震等級、計算方法 |
| 制震 | 装置の有無と役割 |
| 断熱 | 断熱等級、目標UA値 |
| 気密 | 目標C値、全棟測定 |
| 窓 | フレーム、ガラス、日射対策 |
| 換気 | 第一種・第三種、熱交換 |
| 省エネ | 冷暖房計画、太陽光発電 |
| 保証 | 瑕疵保険、完成保証、点検 |
| 維持管理 | 将来の交換費、清掃性 |
「断熱等級6だから必ず暖かい」「耐震等級3だから全部同じ」とは限りません。
等級や数値に加え、どのように計算し、どのように施工し、完成後に何を測定するのかを比較します。
特にC値は設計図で決まる数値ではなく、実際の住宅で測定する数値です。モデルハウスだけでなく、全棟で測定するか確認してください。
第5段階は土地と建物を同時に考える
土地から探す場合、土地を先に買ってから住宅会社を決めるのは危険です。
土地に予算を使いすぎると、建物の面積や性能を削ることになります。
また、安い土地でも次の費用が発生する可能性があります。
- 地盤改良
- 造成
- 擁壁
- 上下水道の引き込み
- 残土処分
- 解体
- 境界確定
- 高低差への対応
- 外構
- 浸水・土砂災害対策
土地1,000万円、建物2,000万円だから総額3,000万円、とは限りません。
土地購入前に、希望する建物が配置できるか、法規制、造成、給排水、外構まで住宅会社と確認してください。
国民生活センターも、土地が決まっていないまま建物の請負契約を先に結ぶと、敷地の安全性や制約を予測できず、設計変更や追加工事につながる場合があると注意を促しています。
土地と建物は、どちらかを先に決めるのではなく、総額の中で同時に考えます。
第6段階で住宅会社を5~8社調べる
ここまで整理してから、住宅会社探しを始めます。
最初は訪問せず、ホームページ、ブログ、YouTube、資料などから5~8社程度を調べます。
確認する項目は次のとおりです。
- 希望地域が施工エリアか
- 希望する価格帯に合うか
- 本体価格か総額表示か
- 標準仕様を公開しているか
- 耐震・断熱・気密を数値で説明しているか
- 実際の気密測定結果があるか
- 現場検査の方法が分かるか
- 完成保証があるか
- 代表者の考え方が分かるか
- 平屋、2階建て、建て替えなど希望に合う実績があるか
写真が好みという理由だけで候補に入れるのではなく、予算と性能の条件を満たす会社から選びます。
第7段階で相談先を3~5社に絞る
事前調査をした5~8社から、実際に相談する会社を3~5社へ絞ります。
初回相談で確認するのは、豪華な提案ではありません。
- 安全予算の範囲で何坪建てられるか
- 総額に何が含まれるか
- 標準仕様とオプションの違い
- 契約後に増えやすい費用
- 土地と建物を同時に考えられるか
- 住宅ローンを借入上限だけで提案しないか
- 性能を資料で説明できるか
- 工事中の検査方法
- 完成保証の対象
- 契約までの手順
いきなり間取りを描いてもらうより、会社の判断基準を確認してください。
予算を伝えたのに、「月々数千円増えるだけ」と高い家を勧める会社には注意が必要です。
第8段階で3社程度を同じ条件で比較する
詳細な提案を比較する会社は3社程度が目安です。
ただし、本体価格や坪単価だけを並べても比較にはなりません。
| 比較項目 | A社 | B社 | C社 |
|---|---|---|---|
| 入居までの総額 | |||
| 延床面積 | |||
| 標準付帯工事 | |||
| 外構予算 | |||
| 未確定費用 | |||
| 耐震等級・計算方法 | |||
| UA値・窓仕様 | |||
| C値・測定方法 | |||
| 換気設備 | |||
| 太陽光発電 | |||
| 施工検査 | |||
| 完成保証 |
同じ面積、性能、設備、工事範囲に近づけて比較します。
最安値を選ぶのではなく、安い理由、高い理由を説明できる会社を選びましょう。
住宅会社へ最初に伝える内容
初回相談では、次の内容を一枚にまとめて持参すると、提案のずれを減らせます。
家族情報
- 家族構成と年齢
- 将来の同居予定
- 子どもの進学予定
- 車の台数
- 定年・退職予定
資金情報
- 土地を含めた総予算
- 自己資金
- 建築後に残したい現金
- 希望する完済年齢
- 無理なく払える月額
建物情報
- 平屋か2階建てか
- 必要な部屋数
- 希望面積
- 絶対に守る性能
- 優先順位
- 予算超過時に削れるもの
「いくら借りられますか」ではなく、「この総額の中で何ができますか」と相談してください。
山梨県では何から確認するべき?
山梨県では、土地、建物、外構、気候対策を同時に考えることが重要です。
甲府盆地では夏の暑さと冬の冷え込みがあり、地域によって標高や積雪条件も変わります。
住宅会社には次の内容を確認してください。
- 夏の日射遮蔽
- 冬の日射取得
- 方角に応じた窓計画
- 断熱と気密
- 換気と冷暖房
- 太陽光発電の容量
- 土地の高低差
- 造成・擁壁
- 上下水道
- 地盤改良
- 複数台分の駐車場
- 外構を含めた総額
南道路、角地、安い造成地など、分かりやすい特徴だけで土地を決めないことです。
昼だけでなく、平日、休日、朝、夜、雨の日など、時間を変えて周辺環境も確認してください。
デザインハウス甲府の考え方
デザインハウス甲府では、住宅会社選びの前に、建てた後の生活を守れる予算を確認することが重要だと考えています。
住宅ローンが通る上限まで家を大きくするのではなく、教育費、車、修繕費、老後資金を残せる範囲で建物を計画します。
価格についても、本体価格だけを大きく見せるのではなく、できる限り総額で判断できる表示を重視しています。
- 24坪・平屋3LDK:総額2,050万円
- 30坪・2階建て3LDK:総額2,200万円
いずれも税込みで、標準的な付帯工事と建築確認申請費を含みます。
ただし、地盤改良、造成、特殊な給排水工事、土地条件や要望によって変わる外構工事などは、調査後に金額が決まります。
標準仕様は、2×6工法、許容応力度計算による耐震等級3、制震装置evoltz、断熱等級6・UA値0.46以下、全棟気密測定・C値0.7以下、熱回収率92%の第一種熱交換換気、太陽光発電8kW以上、長期優良住宅、全棟完成保証を基本としています。
予算を抑えるときに、構造、断熱、気密、換気、保証を先に削りません。
先に見直すのは、必要以上の床面積、複雑な建物形状、過剰な装飾、使用頻度の低い設備です。
住宅会社が売りたい家から始めるのではなく、お客様が建築後も安心して暮らせる条件から始める。それが正しい家づくりの順番だと考えています。
よくある質問
Q. まず住宅ローンの事前審査を受けるべきですか?
借入可能性を確認する意味では有効です。ただし、審査に通った金額をそのまま予算にしないでください。安全予算を決めたうえで、その範囲の借入が可能か確認します。
Q. 土地と住宅会社はどちらを先に決めますか?
完全にどちらかを先に決めるのではなく、同時に検討します。土地購入前に、希望する建物、法規制、造成、給排水、外構を確認してください。
Q. SNSで好みの会社を探すことから始めてもよいですか?
入口として利用できます。ただし、写真やフォロワー数だけで候補を決めず、価格、性能、施工、保証を確認しましょう。
Q. 最初から間取りを作ってもらうべきですか?
先に予算、暮らし、必要な面積、性能を整理することをおすすめします。条件が曖昧なまま作った間取りは、大きく高額になりやすいからです。
Q. 何社くらい相談すればよいですか?
最初に5~8社を調べ、相談先を3~5社、詳細比較を3社程度に絞る方法が現実的です。社数より、同じ条件で比較できているかが重要です。
俺流結論
住宅会社選びは、住宅会社を探すことから始めてはいけません。
最初に決めるのは、次の4点です。
- 建てた後も生活を守れる安全予算
- 家族が絶対に守りたい条件
- 必要な広さと暮らし方
- 最低限求める住宅性能
これが決まっていなければ、展示場へ行くたびに欲しいものが増え、営業担当者の提案によって予算が変わります。
住宅会社を選ぶ基準を、住宅会社に作らせてはいけません。
自分たちの基準を作り、その基準に合う会社を探す。
そして、本体価格ではなく入居までの総額、言葉ではなく性能の数値、担当者の印象だけでなく施工と保証まで確認する。
住宅会社から家づくりを始めるのではなく、家族の人生設計から始める。
これが、予算オーバーと会社選びの失敗を防ぐ最初の一歩です。
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