住宅ローン相談で分かる会社の質とは?
こんなご相談をいただきました
住宅会社で住宅ローンの相談をしたところ、「年収から考えると4,500万円まで借りられます」「月々の返済も家賃並みです」と説明されました。
別の会社では、「借りられても、教育費や老後資金を考えると3,500万円程度に抑えた方がよい」と言われました。
住宅ローンへの対応で、住宅会社の質を判断できますか?
A. 判断できます。良い住宅会社は「いくら借りられるか」ではなく、「いくらなら生活を守りながら返せるか」を考えます。銀行の融資上限まで借りさせようとする会社には注意が必要です。
住宅会社にとって借入額が増えれば、建物の面積や設備を増やしやすくなります。
だからこそ、予算を上げる会社より、必要なら建物を小さくしてでも借入額を下げる会社の方が、顧客側に立っている可能性があります。
「借りられる金額」と「返せる金額」は違う
金融機関は、主に次の情報から融資可能額を審査します。
- 年齢
- 年収
- 勤続年数
- 雇用形態
- 既存の借入
- 個人信用情報
- 返済期間
- 物件の担保評価
- 団体信用生命保険への加入
審査に通ったことは、「その金額を借りても生活に余裕がある」という意味ではありません。
住宅ローン以外にも、次の支出が続きます。
- 教育費
- 車の購入・維持費
- 固定資産税
- 火災・地震保険
- 住宅修繕費
- 医療・介護費
- 老後資金
- 親への援助
- 子どもの結婚や独立支援
銀行は家族ごとの暮らし方まで決めてくれません。融資上限をそのまま住宅予算にするのは危険です。
「家賃並み」という説明に注意する
住宅営業でよく使われるのが、「現在の家賃と同じ返済額で家が持てます」という説明です。
しかし、賃貸の家賃と持ち家のローン返済額は、そのまま比較できません。
持ち家では、返済とは別に次の費用がかかります。
- 固定資産税・都市計画税
- 火災保険・地震保険
- 外壁や屋根のメンテナンス
- 給湯器やエアコンの交換
- 太陽光・蓄電池・換気設備の修理
- 庭や外構の維持
- 自治会費など
毎月の住宅ローンが家賃と同額でも、住宅関連の年間支出は増える可能性があります。
「家賃並み」ではなく、税金、保険、修繕積立まで含めた月額で比較してください。
最低金利だけで返済額を見せる会社は危険
変動金利は、借入時点の返済額を低く見せやすい住宅ローンです。
例えば、3,500万円を35年返済で借りる場合、元利均等返済の概算は次のようになります。
- 年1.0%:月約9万9,000円
- 年2.0%:月約11万6,000円
- 年3.0%:月約13万5,000円
年1.0%と年3.0%では、毎月約3万6,000円の差です。
実際の返済額変更ルールは金融機関や商品によって異なりますが、変動型や固定期間選択型では、将来の金利変動リスクを理解する必要があります。金融庁も、住宅ローン契約では金利変動の可能性を含めた適切な情報提供が必要としています。金融庁
良い会社は現在の金利だけでなく、金利が1%、2%上昇した場合も試算します。
頭金を入れ過ぎないか確認する
住宅会社から「頭金を増やせば返済が楽になります」と提案されることがあります。
確かに借入額は減ります。しかし、預貯金を使い過ぎると、入居後の急な支出へ対応できません。
特に50代・60代の建て替えでは、次の資金を別に残す必要があります。
- 生活予備費
- 医療・介護予備費
- 車の買い替え費
- 住宅修繕費
- 老後の生活費
- 予想外の建築追加費
「借入を減らすため、退職金をすべて使いましょう」という提案には注意してください。
住宅ローン残高が少なくても、手元資金がなくなれば生活は不安定になります。
建物以外の費用まで借入額に入っているか
住宅ローン相談の前提となるのは、正確な総予算です。
次の費用が抜けていないか確認します。
- 建物本体
- 付帯工事
- 地盤改良
- 外構工事
- 照明・カーテン・エアコン
- 解体工事
- 仮住まい
- 往復2回の引越し
- 登記費用
- 融資手数料
- 火災・地震保険
- 印紙税
- 消費税
本体価格2,000万円だけでローン計画を作り、後から400万円の諸費用が判明すれば、自己資金を増やすか借入額を変更しなければなりません。
資金計画が強い会社は、契約前から入居までの総額を出します。
金利だけで金融機関を選ばない
金利が低いことは重要ですが、住宅ローンにはほかにも比較項目があります。
- 事務手数料
- 保証料
- 団体信用生命保険の内容
- 繰上返済手数料
- 金利優遇の条件
- 変動金利の見直し方法
- 固定期間終了後の金利
- つなぎ融資の有無
- 土地・建物の分割融資
- 完済時年齢
- 持病がある場合の対応
表示金利が低くても、手数料や団信上乗せを含めると総負担が増える場合があります。
住宅会社が提携金融機関一社だけを強く勧める場合は、なぜその金融機関が顧客に適しているのか確認してください。
ペアローン・収入合算はリスクまで説明するか
夫婦の収入を合わせれば、借入可能額を増やせます。
しかし、借入額を増やすためだけにペアローンや収入合算を使うと、次の変化に弱くなります。
- 出産や育児による休職
- 時短勤務
- 転職や失業
- 病気や介護
- 離婚
- どちらか一方の死亡
- 団信の保障範囲の違い
良い会社は、借入可能額が増えるメリットだけでなく、一方の収入が減った場合の返済まで試算します。
「夫婦二人なら5,000万円借りられます」ではなく、「一人の収入になっても返済できるか」を確認してください。
住宅ローン相談で危険な会社の特徴
次の説明が多い会社には注意が必要です。
- 銀行が貸すのだから大丈夫
- 将来は収入が上がるはず
- 金利はそれほど上がらない
- 住宅ローン控除があるから得
- 太陽光の売電で返済できる
- 今の家賃と同じだから問題ない
- 退職金で繰り上げ返済すればよい
- とりあえず事前審査を最大額で出す
- オートローンは住宅ローン後に考えればよい
- 予算不足分は返済期間を延ばせばよい
将来の収入、売電収入、退職金、補助金を、確実に受け取れるお金として計算するのは危険です。
良い会社の住宅ローン相談
信頼できる可能性が高い会社は、次の順序で相談を進めます。
- 手取り収入と現在の生活費を確認する
- 教育費や車など将来支出を確認する
- 手元に残すべき資金を決める
- 建物以外を含めた総額を出す
- 固定・変動金利を比較する
- 金利上昇時の返済額を試算する
- 一方の収入が減った場合を試す
- 完済年齢と老後資金を確認する
- 無理があれば面積や設備を減らす
- その後に金融機関を選ぶ
予算が合わないとき、「借入を増やしましょう」ではなく、「家を小さくしましょう」と言える会社かが重要です。
デザインハウス甲府からのアドバイス
住宅ローン相談には、住宅会社の利益優先か、顧客の生活優先かが表れます。
私たちは、住宅ローンを通すことをゴールにしていません。固定資産税、光熱費、修繕費、教育費、老後資金まで含め、建築後も家計が続くかを確認します。
必要であれば、断熱・耐震性能は落とさず、面積、設備、外構、自己資金額を見直します。
契約前には、住宅会社へ次の質問をしてください。
「銀行が貸せる上限ではなく、金利が上がり、収入が減っても返せる予算を出してください」
この質問に対し、数字を下げる提案ができるかを見てください。
住宅ローン相談で良い会社は、たくさん借りさせる会社ではありません。売上を減らしてでも、建築後の生活にお金を残せる会社です。










