Q. なぜ契約前と契約後で話が変わるのか?
A. 契約前の説明が見積書・仕様書・図面へ反映されず、口約束のまま契約してしまうからです
住宅会社との打ち合わせでは、契約前に、
「それは標準で入っています」
「この金額で大丈夫です」
「追加費用はほとんどありません」
「モデルハウスと同じようにできます」
と言われることがあります。
ところが契約後になると、
- それはオプションです
- その仕様は見積りに入っていません
- この土地では追加工事が必要です
- 標準品では対応できません
- 営業担当者の説明が間違っていました
と話が変わることがあります。
すべてが意図的とは限りません。
間取りや土地条件が未確定だった、施主が仕様を変更した、材料価格が変動したなど、合理的な理由もあります。
しかし、契約を取るために不確定な費用を除外し、安い価格を提示する会社もあります。
家づくりでは、「説明を受けた」だけでは不十分です。
図面、見積書、仕様書、契約書へ書かれているかを確認する必要があります。
1. 契約前は営業担当者の説明が中心になる
契約前の打ち合わせは、営業担当者が中心です。
営業担当者は、お客様の希望を聞き、資金計画や間取り、仕様について説明します。
しかし、実際の施工には、
- 設計担当
- 構造担当
- 積算担当
- インテリア担当
- 現場監督
- 協力業者
- 申請担当
など、多くの人が関わります。
営業担当者が「できます」と答えても、設計や構造上できない場合があります。
積算担当が見積りへ入れていなければ、契約後に追加になります。
契約前の説明を、設計、積算、施工の各担当者が確認しているかが重要です。
2. 口約束が書面へ残っていない
口頭で合意した内容でも、後から証明することは簡単ではありません。
営業担当者から、
「サービスで付けます」
「価格は変わりません」
と言われても、契約書や見積書に記載がなければ、引き継がれない可能性があります。
担当者が退職、異動、休職すれば、口約束を確認できなくなることもあります。
最低でも、次の方法で残してください。
- 打ち合わせ議事録
- メール
- 仕様確認書
- 見積書
- 図面
- 契約書の特記事項
打ち合わせ後には、「本日の合意内容」として双方が確認することが重要です。
3. 見積書に「一式」が多い
見積書に、
- 付帯工事一式
- 電気工事一式
- 給排水工事一式
- 外構工事一式
- 諸経費一式
とだけ書かれていると、何が含まれているか分かりません。
契約前は含まれていると思っていた工事が、後から「一式の範囲外」と説明される可能性があります。
例えば、電気工事一式でも、
- コンセントの個数
- 照明器具
- テレビ配線
- LAN配線
- 屋外コンセント
- EV充電設備
がすべて含まれるとは限りません。
一式表記がある場合は、数量、単価、対象範囲を明細にしてもらってください。
4. 「標準仕様」の定義が曖昧
住宅会社から「標準仕様です」と説明されても、何を基準にした標準なのか確認が必要です。
- すべての商品共通の標準
- 特定プランだけの標準
- キャンペーン期間中の標準
- モデルハウスの標準
- 営業担当者が想定した標準
が混同されることがあります。
標準仕様書には、
- メーカー
- 商品名
- 型番
- サイズ
- 色
- 数量
- 性能
- 施工範囲
を記載してもらってください。
「同等品」と書かれている場合は、何をもって同等とするのかも確認します。
5. モデルハウスは標準仕様とは限らない
モデルハウスには、見栄えを良くするために多くのオプションが採用されている場合があります。
- 大型キッチン
- カップボード
- 高級浴室
- 間接照明
- タイル
- 造作収納
- 無垢床
- 大きな窓
- 吹き抜け
- 高い天井
- 高性能サッシ
- 全館空調
などです。
契約前にはモデルハウスを見ながら説明を受けたため、同じ仕様が価格に含まれていると思ってしまいます。
しかし、契約後の仕様打ち合わせで、ほとんどがオプションと分かる場合があります。
モデルハウスでは、標準品とオプション品に表示があるか確認してください。
さらに、「このモデルハウスと同じ仕様の総額」を出してもらうことが重要です。
6. 契約時点で間取りが確定していない
概算間取りのまま契約すると、後から変更が増えます。
- 建物面積が増える
- 窓が増える
- 壁が減り構造補強が必要になる
- 水回りの位置が変わる
- 配管距離が長くなる
- 屋根形状が複雑になる
- 収納や棚が追加される
ことで、建築費は変わります。
契約前の間取りと、契約後に完成した間取りが違えば、金額が変わること自体は不自然ではありません。
問題は、変更による費用を説明せず進めることです。
変更するたびに、増額・減額を書面で確認してください。
7. 土地条件を確認せず契約している
土地が決まっていない、または現地調査が不十分な状態で建物契約をすると、後から追加工事が出やすくなります。
- 屋外給排水
- 水道引込
- 浄化槽
- 造成
- 擁壁
- 深基礎
- 残土処分
- 小運搬
- 交通誘導員
- 地盤改良
などです。
標準的な土地を前提にした見積りと、実際の土地で必要な工事は違います。
「土地によって別途です」という説明だけでなく、候補地を調査した見積りを出してもらう必要があります。
8. 地盤改良費が未確定
地盤改良が必要かどうかは、実際の建築位置で地盤調査をしなければ分かりません。
そのため、契約時点で正確な費用を確定できない場合があります。
しかし、不確定だから0円でよいわけではありません。
地盤改良費を計上せず、契約後に100万円以上追加されれば、資金計画は崩れます。
契約前に、
- 改良の可能性
- 想定予備費
- 必要になった場合の精算方法
- 不要だった場合の減額
- 見積りと判定根拠
を確認してください。
9. 外構工事を後回しにしている
外構工事は、建物価格を安く見せるために別途とされやすい費用です。
契約前は、
「外構は100万円程度で大丈夫です」
と言われていても、実際に計画すると、
- 駐車場3台
- 目隠しフェンス
- 門柱
- アプローチ
- 土留め
- 雨水排水
- 残土処分
が必要になり、金額が大きく増えることがあります。
外構は建物配置と同時に計画し、契約前に図面と概算見積りを作成してください。
10. 施主の希望変更で金額が増える
契約後の増額が、すべて住宅会社の責任とは限りません。
打ち合わせを進める中で、
- キッチンを変更する
- 窓を大きくする
- コンセントを増やす
- 床材を変更する
- 収納を増やす
- 太陽光容量を増やす
- 部屋を広げる
など、施主側の希望が変われば金額も変わります。
問題は、その場では金額を示さず、
「できます」
「付けておきます」
と進め、後からまとめて追加請求することです。
変更前に、増額、減額、住宅ローンへの影響を確認してください。
11. 追加変更の単価が決まっていない
契約時の本体価格が安くても、契約後の追加単価が高い場合があります。
- コンセント1か所追加
- 窓のサイズ変更
- 棚板追加
- 室内物干し
- 照明追加
- 建具変更
- クロス変更
- 水栓変更
などです。
契約後は他社へ変更しにくいため、追加単価が高くても受け入れざるを得ない状況になります。
契約前に、よくある追加変更の単価表を見せてもらってください。
12. 値引きの条件が後から変わる
契約前に大幅な値引きを提示されても、条件を確認する必要があります。
- 指定日までの契約
- 間取り変更不可
- 設備変更不可
- モニター利用
- 写真撮影
- 完成見学会
- 特定金融機関の利用
- 特定オプションとのセット
などの条件が付いている場合があります。
契約後に条件を満たせないと分かり、値引きが取り消される可能性もあります。
値引き額だけでなく、適用条件を契約書へ記載してください。
13. 補助金を確実な値引きとして扱っている
補助金には、予算、申請期間、対象条件があります。
契約前に、
「補助金が受け取れるので実質○万円安くなります」
と説明されても、必ず交付されるとは限りません。
- 予算上限へ到達する
- 申請期限に間に合わない
- 住宅性能が条件を満たさない
- 必要書類に不備がある
- 制度内容が変更される
可能性があります。
補助金は、交付が確定するまで自己資金として扱わない方が安全です。
住宅会社が申請できなかった場合の責任範囲も確認してください。
14. 契約後に担当者が変わる
契約前は営業担当者、契約後は設計担当や現場監督へ引き継がれる会社があります。
引き継ぎが不十分だと、
- 希望が伝わっていない
- サービス内容が記録されていない
- 標準仕様の理解が違う
- 追加費用の説明が違う
- 完成イメージが共有されていない
という問題が起こります。
担当者間の引き継ぎは、口頭ではなく議事録、図面、仕様書で行う必要があります。
施主も引き継ぎ打ち合わせへ参加し、契約前の合意内容を確認してください。
15. 契約後は施主が断りにくくなる
契約前は、住宅会社がお客様に選ばれる立場です。
契約後は、施主が間取りや仕様を決める立場へ変わります。
すでに契約金を支払い、土地、住宅ローン、スケジュールが進んでいると、多少の追加費用が出ても会社を変更しにくくなります。
この状況を利用し、初期価格を安く見せて、契約後のオプションで利益を確保する販売方法も考えられます。
契約前にすべてを確定するのが難しくても、追加される可能性がある項目と上限を確認することはできます。
16. 材料価格や制度が変わる場合もある
契約から着工まで長い場合、材料価格、設備価格、法令、補助制度が変わる可能性があります。
住宅会社が予測できない変化もあります。
そのため、契約書には価格改定条項などが含まれている場合があります。
確認するべきなのは、
- どの条件で価格が変わるか
- 価格を固定できる期間
- 値上げ分を誰が負担するか
- 施主が解約できる条件
- 代替品への変更条件
です。
「物価上昇の場合は協議する」という曖昧な表現だけでなく、具体的な扱いを確認してください。
話が変わりやすい項目
| 項目 | 契約前の説明 | 契約後に起こりやすいこと |
|---|---|---|
| 建物価格 | この金額で建つ | 付帯工事・申請費が追加 |
| 標準仕様 | 高性能仕様 | 一部がオプション |
| モデルハウス | 同じようにできる | 同仕様は大幅追加 |
| 地盤改良 | 必要なら別途 | 調査後に高額追加 |
| 外構 | 概算で大丈夫 | 設計後に予算超過 |
| 照明・カーテン | 住める状態 | 一部または全部別途 |
| 太陽光 | 搭載可能 | 容量変更・追加費用 |
| 補助金 | 利用できる | 予算終了・対象外 |
| サービス | 付けられる | 書面がなく対象外 |
| 工期 | ○月完成予定 | 申請・資材で延期 |
「契約前の説明」ではなく、契約書類へどう記載されているかを確認します。
契約前にそろえる書類
最低でも、次の書類を確認してください。
- 契約書
- 契約約款
- 最終見積書
- 見積明細書
- 設計図書
- 配置図
- 平面図
- 立面図
- 仕上表
- 標準仕様書
- 設備仕様書
- オプション一覧
- 付帯工事明細
- 外構計画・概算
- 資金計画書
- 工程表
- 保証内容
- 打ち合わせ議事録
書類同士で内容や金額が違う場合は、契約前に修正してください。
契約前に確認する20の質問
- この金額で住み始められますか
- 見積りに含まれない費用は何ですか
- 消費税は含まれていますか
- 屋外給排水は含まれていますか
- 建築確認・設計費は含まれていますか
- 地盤改良予備費はいくらですか
- 外構費はいくら見込んでいますか
- 照明、カーテン、エアコンは含まれていますか
- 標準仕様書に商品名と型番がありますか
- モデルハウスのオプション総額はいくらですか
- 耐震等級3は許容応力度計算ですか
- 制震装置は標準ですか
- 断熱等級、UA値、窓仕様は何ですか
- 全棟で気密測定を行いますか
- 第一種熱交換換気は標準ですか
- 太陽光発電は何kW含まれていますか
- よくある追加変更の単価表はありますか
- 変更前に必ず見積りを提示しますか
- 口頭合意を議事録へ残しますか
- これ以上増える可能性がある金額はいくらですか
最後の質問に具体的に回答できるかが重要です。
契約後に変更するときのルール
契約後に仕様変更する場合は、口頭だけで進めないでください。
変更ごとに、
- 変更前の内容
- 変更後の内容
- 増額
- 減額
- 工期への影響
- 住宅性能への影響
- 保証への影響
を記載した変更契約書や承認書を作成します。
「金額は後でまとめます」は危険です。
一つ一つは数万円でも、まとめれば100万円を超える可能性があります。
変更累計額を毎回確認する仕組みが必要です。
注意したい住宅会社の説明
次の言葉が出た場合は、具体的な書面を求めてください。
- だいたい入っています
- 普通は追加になりません
- 皆さんこのくらいです
- 契約後に決めれば大丈夫です
- サービスできると思います
- 見積書にはないけれど対応します
- 今月中に契約すれば値引きします
- 詳細は現場で決めます
- 外構は後で考えましょう
- 補助金で戻ってきます
説明が曖昧なまま契約期限だけを急がせる会社には注意が必要です。
デザインハウス甲府の考え方
デザインハウス甲府では、契約前と契約後で金額の前提が変わらないよう、付帯工事、建築確認、消費税を含めた正直な総額を提示することを基本としています。
地盤改良や一部の土地条件など、契約前に確定できない費用については、0円として隠すのではなく、可能性と予備費を説明するべきだと考えています。
また、標準仕様には、
- 2×6工法
- 許容応力度計算による耐震等級3
- 制震装置evoltz
- 断熱等級6
- UA値0.46以下
- 全棟気密測定
- C値0.7以下
- 熱回収率92%の第一種熱交換換気
- 太陽光発電8kW以上
- 長期優良住宅
- 完成保証
を含みます。
住宅性能を標準だと思って契約した後に、必要な性能をオプションとして追加する方法では、正しい価格比較はできません。
俺流結論
契約前と契約後で話が変わる最大の原因は、契約を急ぎ過ぎることです。
間取りが決まっていない。
仕様が決まっていない。
土地の調査も終わっていない。
外構も地盤改良も入っていない。
それでも「今月中なら値引きします」と言われて契約する。
これでは、契約後に金額が変わるのは当然です。
しかし、住宅会社がそれを分かっていて安く見せたなら、正直な見積りとはいえません。
私は、営業担当者を疑えと言っているのではありません。
記憶と口約束を信用し過ぎるなと言っています。
人は忘れます。
担当者は変わります。
言葉の意味も、人によって受け取り方が違います。
だから、約束は図面、仕様書、見積書、議事録へ残します。
私なら、契約前に最後の一言を聞きます。
「この総額以外に、住み始めるまで何が必要ですか」
そこで、地盤改良、外構、照明、カーテン、エアコン、登記、融資費用まで説明できる会社なら、判断できます。
「契約後に決めましょう」という項目が多い会社では、最終総額は分かりません。
家づくりで守るべきなのは、契約前の安い見積書ではありません。
契約後も変わらない、説明可能な総額と約束です。
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