建て替え資金では、借りる総額だけでなく、いつ借りて、いつ払うかを確認してください。完成前の支払いをつなぐ融資や、手数料などを借りる方法には、それぞれ利息と条件があります。「月々は払える」と思っても、工事途中の現金が足りなければ計画は止まります。
特に退職金を生活資金として残したい家庭では、先に現金を使い切り、後で予定どおり融資を受けられない事態を避けたいところです。住宅会社の支払工程と金融機関の資金交付日を一枚に並べ、入居までに必要な現金と借入費用を確かめます。
建物代の融資と完成までの資金を分ける
つなぎ融資は、住宅ローンの資金を受け取る前に必要となる土地代や着工金、中間金などに対応するための融資です。借りた期間に応じた利息や諸費用が発生します。どの商品でも同じ費用になるわけではなく、利用できる本体の住宅ローンとの組合せも確認します。[23]
諸費用ローンは、何に使えるか、別契約なのか、住宅ローンに含められるのかを確認する必要があります。名前だけでは仕組みを判断できません。事務手数料、登記費用、保険料などのうち、対象になる項目と対象外の項目を金融機関から書面で示してもらいましょう。
建て替えでは、解体費、仮住まいの初期費用、引越し代が建物完成前に発生します。これらをすべて住宅ローンで後払いできると考えないことです。借入対象の費用でも、支払日に資金が間に合うかは別の確認事項になります。
つなぎ利息は回数ごとに日数を掛ける
金利が同じでも、借りた日と完済日が違えば利息は変わります。SBIアルヒのつなぎ融資の案内には、融資金額、年率、経過日数を用いる日割り計算が示されています。自分の契約で初日と最終日をどう数えるか、延長時の精算方法も確認します。[24]
仮定例として、600万円を年3%で120日、追加の600万円を同じ年率で60日借り、1年365日として計算します。利息はそれぞれ約5万9,178円と約2万9,589円、合計約8万8,767円です。全額を最初から120日借りた計算とは違います。
ここに手数料を仮に税込5万5,000円と置くと、合計は約14万3,767円です。登記や印紙などが別なら、さらに加算します。この例は特定金融機関の現行金利や料金を示していません。実際の支払日、交付額、見積もりを入れて計算し直してください。
低金利でも手数料を含めて比較する
短期間の融資では、金利差だけより手数料の差が大きくなる場合があります。手数料が定額か、借入額に比例するか、交付のたびにかかるかを確認します。利息を最初に差し引く方式なら、借入額と実際に使える入金額が同じとは限りません。
仮に借入額1,000万円に対する手数料が2.2%なら22万円です。別の商品で定額5万5,000円なら、その項目だけの差は16万5,000円になります。ただし、ほかの金利や保証、利用条件が違えば総額は逆転し得ます。手数料だけで有利と断定せず、同じ期間と資金交付で比べます。
銀行へ直接払う費用と、住宅会社へ払う融資手続の代行費用も分けます。代行費用があることだけで不適切とは言えませんが、何を代行し、誰へいくら払うかは説明を求められます。「ローン諸費用一式」という一行のまま、契約額に埋め込まないようにします。
支払日と資金交付日を先に合わせる
工程表には、解体、契約金、着工金、中間金、完成金、仮住まい、引越しの支払予定を書き込みます。その横に、自己資金を出す日、つなぎ融資の交付日、住宅ローンの実行日を置きます。最終的に足りるだけでなく、途中で口座残高が不足しないことを確認します。
住宅会社に支払いの時期を相談する余地があっても、契約済みの支払日を施主だけの判断で変更してはいけません。金融機関と施工者の双方が対応できる工程に整え、変更があれば書面へ反映します。資金の段取りを後回しにして、解体だけ先に始めないことが大切です。
預貯金で一時的に立て替える場合は、その後の融資で精算できる条件を事前に聞きます。対象費用、領収書、契約書、支払時期によって扱いが変わる可能性があります。「後で借りれば現金は戻るだろう」という見込みで、生活資金を先に支出するのは避けます。
工期が延びた場合の二重の負担を見る
工事が延びると、つなぎ利息だけでなく、仮住まいの家賃や荷物の保管料も増える場合があります。仮に1,200万円を年3%で30日余分に借りれば、単純日割りの追加利息は約2万9,589円です。仮住まいの追加家賃が7万円なら、それだけで約10万円の増加になります。
この家賃も期間も仮定です。実際には月単位の契約更新、短期解約、延長手数料などが関係します。工期が予定どおりの場合と、一〜二か月延びた場合の資金を用意すると、急な変更が起きたときに何を調整すべきかが見えます。
延長費用を誰が負担するかは、遅れた原因や契約内容によって判断が必要です。すべて施工者が払うとも、すべて施主負担とも決めつけません。連絡する時期、延長手続、仮住まいの対応、費用の確認方法を、問題が起きる前に話しておきましょう。
諸費用まで借りた後の家計も確認する
現金を残すために諸費用も借りることには意味がありますが、借りた分は返済へ加わります。別ローンなら住宅ローンより短い期間で返す場合もあり、当初の月額が重なることがあります。住宅ローンだけの返済額を広告どおりに見て、別返済を見落とさないでください。
比較する案は、必要な現金を残して一部を借りる案と、総額を調整して借入れを抑える案です。生活予備費をすべて使う現金払いと、何でも借りる案だけの二択にしません。家の大きさや設備を見直し、融資費用そのものを小さくできる場合もあります。
最終見積もりには、利息、手数料、保証料、登記、印紙、代行費用を載せ、未確定額には計算条件を添えてもらいます。入居直前に精算額が変わる項目も、その理由が分かれば備えられます。見えない費用をなくす第一歩は、支払先と支払時期を具体的にすることです。
契約前に「工事の支払日と融資の入金日を並べ、予定どおりの場合と工期が延びた場合の融資費用を示してください」と依頼しましょう。建物が予算内でも、資金の受取り方で負担は変わります。入居までに必要な現金と、入居後の返済を一続きで確認することが、退職金を守るために必要です。










