結論
玄関タイルは、乾いた見本を手で触った印象だけで選ばないでください。私なら、屋外から雨でぬれた靴のまま入り、荷物を持って方向を変える場面を想定し、採用場所に合う製品かを確認します。色や模様が気に入ることに加え、水、靴、床の形、手入れを合わせて使いやすさを判断します。
例えば、外出時は気持ちよく歩けても、雨の日に買い物袋を持って帰宅し、傘を閉じながら玄関ドアを開く場面では動きが違います。足元に目を向けにくい状態で体の向きを変える場所だからこそ、タイル単体の見た目より、玄関全体の動作を先に確かめておきたいのです。
手触りと足元の条件は同じではない
LIXILのタイルに関する解説は、すべりにくさに関係する条件として、表面の状態、付着する汚れ、履物などを挙げています。また、水ぬれを想定した試験でも、土足と素足では扱う指標が異なります。見本がざらざらしているという感想だけで、雨の日の玄関へ適していると断定しないでください。[1]
候補の品番を示し、屋外の玄関ポーチ、屋内の土間、段差部分など、どこに使える商品なのかを担当者へ聞きます。色が同じシリーズにも用途の異なる製品があるなら、どれを採用する計画かを明確にします。見本帳の写真と、図面に指定された製品が一致しているかも確認します。
試験の数値を示されたときは、その試験がどのような条件を想定しているかを聞いてください。一つの数字があれば、どんな靴でも、どんなぬれ方でも転ばないという意味にはなりません。数値は材料選びの確認資料として使い、実際の玄関の形や水の入り方まで検討する必要があります。
家族が履く靴と動きを並べる
玄関を使う家族の靴を思い出してみます。通勤用の靴、子どもの運動靴、長靴、サンダルなど、いつも同じではありません。靴を脱ぐ位置と扉を操作する位置、傘を置く位置も図面に入れます。足元の条件だけでなく、その場所でどんな姿勢になるかまで含めて考えます。
例えば、抱っこした子どもを片手で支えながら鍵を扱う人と、大きな荷物を抱えて入る人では、空けておきたい場所が変わります。玄関に物を置いた後も立つ場所が残るか、急いで体をひねらずに扉を閉められるか。タイルを選ぶ前の動作確認で、床材だけでは解決できない問題に気づけます。
雨にぬれた傘をどこで閉じ、どこに置くかも重要です。家族が集まる場所へ水が持ち込まれる使い方をしていないか、現在の家の帰宅時を思い出します。雨除けや傘立ての位置を一緒に考えると、材料の性能にだけ頼る計画を避けられます。使うたび水を避けて歩く玄関にはしたくありません。
将来、歩き方や体の動かし方が変わることも含め、段差や向きを変える場所を設計者に伝えます。滑りにくい商品を選ぶことと、無理なく歩ける配置にすることは両方必要です。特定の家族だけが慎重に歩くことで成り立つ計画なら、形や出入りの順序も見直します。
見学では安全に確認できる範囲を試す
展示場やショールームでは、候補のタイルを歩いて確認できる場所があるか尋ねます。普段の靴で乾いた床を歩き、方向を変えたときの感覚を確かめることは、見本を手で触るだけの確認を補えます。ただし、自宅と同じ水ぬれ条件の評価になるとは考えず、確認できた範囲を区別します。
すべるかどうかを試すために、自分で水をまいて歩いたり、わざと足を滑らせたりすることはしないでください。ぬれた状態の説明が必要なら、メーカーの試験資料や、施設側が用意した安全な確認方法について聞きます。家族の安全を確かめるための見学で、危険な実験を行う必要はありません。
見本を見るときは、目地も含めた施工された面の印象を確認します。タイル一枚の色は気に入っていても、並べ方や目地が加わると見え方が変わります。玄関の明るさの中で境目や段差を把握しやすいかも相談し、平らな材料の好みだけで完成形を判断しないことです。
水の行き先と掃除までをセットにする
玄関ポーチでは、水がどこへ流れる計画なのかを設計者に説明してもらいます。タイル表面の性質に加え、床の形や排水先が使い方と合っているかを確認します。雨の後にどこへ水が残りそうかを施主の想像だけで決めず、完成後の姿が分かる図や説明で把握してください。
表面の凹凸が強いほど自分にとって扱いやすいとも限りません。LIXILは、すべりにくさだけを追求すると、清掃道具が引っ掛かるなど手入れの面で問題が生じる場合も説明しています。採用場所に適した性能と、日常に行える清掃方法を合わせて確認することが必要です。[1]
例えば、泥の付いた靴で帰る子どもがいるなら、どこで泥を落とし、土間をどの道具で掃除するかを考えます。候補品の説明に従って使える道具を確認し、その道具の保管場所も決めます。清掃しやすいと言われた商品でも、自宅に合う手順かどうかは別に確かめたいところです。
玄関マットを使う場合も、後から敷けば解決と考えず、置く位置、扉の開閉、ずれや段差への配慮を含めて相談します。タイルの選択とマットの使用を別々に決めると、毎日の動作で干渉するかもしれません。何も置かない状態と、入居後に物が置かれた状態の両方を図面で確認します。
候補は同じ条件で比較する
複数のタイルで迷ったら、色、用途、ぬれた条件の説明、手入れ方法、施工された面の見え方を同じ順番で確認します。好きな商品だけ見た目で評価し、別の商品だけ安全面を厳しく見ることを避けます。情報が足りない項目を明らかにすると、次に何を聞けばよいかが分かります。
家族の意見が分かれる場合は、好みの色と歩くときの不安を切り離して話します。「この色は嫌だ」ではなく、「雨の日にこの場所で向きを変えるのが心配」と伝えれば、床材やポーチ形状を調整する話になります。見た目を諦める前に、条件のそろう別の候補がないかを探します。
深澤の判断と次の行動
私なら、玄関タイルは雨の日の帰宅を基準に選びます。乾いた見本の好みだけで決めず、家族の靴、荷物、傘、扉の操作、水の行き先まで重ねて確認します。材料の性能を理解し、家の形と日常の使い方がそれを生かせる計画にすることが大切です。
次の打合せには、候補タイルの品番と、雨の日に玄関へ持ち込む物の一覧を用意してください。デザインハウス甲府へ相談する際は、ポーチから靴を脱ぐまでの動作を図面でたどり、材料の用途と清掃方法の説明を合わせて確認しましょう。見本の印象を、家族が日々使える玄関へ結び付ける確認になります。
参考資料
[1] LIXIL 床タイルの施工で考慮したい「すべり」とは:主な原因と耐滑り性試験について










