結論
20畳という数字だけで、広いLDKとは判断できません。私なら、使う家具を実寸で置き、家族が同時に動けるかを確かめてから広さを決めます。何も置いていない床の面積と、食事をして、くつろいで、人が通れる余裕は別です。契約前に欲しいのは、広く見える完成予想図より、生活が入った図面です。
例えば同じ20畳という表示でも、細長い部屋と正方形に近い部屋では、ソファと食卓の並べ方が変わります。キッチンが占める部分や階段への通り道が違えば、家具に使える場所も変わります。ここで示す寸法や家族像は比較のための仮定です。20畳なら何人まで快適、という全国共通の線引きはしません。
家具は小さな記号のままにしない
まず、持ち込む物と買い替える物を分けます。ソファ、食卓、テレビ台だけでなく、子どもの椅子、サイドテーブル、ピアノ、ペット用品も書き出してください。図面の家具が実物より小さければ、その配置を見て広いと感じても、自分たちの暮らしの確認にはなりません。家具の外形寸法を一つずつ入れ直します。
例えば幅180センチのソファと幅150センチの食卓を使うなら、その数字を仮定ではなく購入候補の製品寸法に置き換えます。ソファは幅だけでなく奥行きも必要です。食卓には椅子が付いています。椅子を収納した状態の長方形だけを描くと、食事中に必要な場所を小さく見積もってしまいます。
家具を増やす予定も確認します。今は乳児用の椅子が一脚でも、将来は子ども二人がそれぞれ机を使うかもしれません。何でもLDKに集める計画なら、その分の余白が必要です。逆に、宿題や仕事を別室で行うなら、その用途までリビングに背負わせる必要はありません。広さの判断には、物と役割の整理が先です。
人が動くところまで描く
次に家具のまわりへ、人の動きを重ねます。椅子に座る、後ろへ引く、ソファから立つ、収納の扉を開ける。こうした動作を図面上で一つずつ確認します。私なら家具に触れない細い線を一本引いて、通れますねとは言いません。人が座ったままでも通れるのか、立ってもらう必要があるのかまで分けます。
例えば家族四人が食卓を使っているとき、一人が冷蔵庫へ行く場面を考えます。椅子の後ろを通るたびに誰かが席を詰めるなら、日々の小さな待ち時間が生まれます。その一方、来客が年に数回増えるときだけ詰めるなら、普段の暮らしを優先する判断もできます。いつでも最大人数が動ける家だけが正解ではありません。
よく使う移動の線がテレビの前を横切るかも見ます。玄関からキッチン、階段から洗面所、庭から室内への経路が、くつろぐ場所を通り抜けていないでしょうか。人が動くたびに視界が切れることを気にする家族なら、通路の位置を変える価値があります。面積を足す前に、通る場所と座る場所を分けてみます。
図面の余白を実際の感覚に直す
図面だけでは分かりにくい場合は、今の家で試してください。床に傷が付かない方法で、候補のソファや食卓の大きさを示し、椅子を引いて歩いてみます。細かな寸法を覚えるためではなく、自分の体格と動きに合う余裕を確かめるためです。通れるという感想と、毎日気持ちよく使えるという感想は分けて記録します。
確認する場面を三つに絞ると、家族の意見をまとめやすくなります。私なら朝食、平日の夕食、休日のくつろぎを選びます。朝は誰が先に動くか、夕食は配膳の途中に誰が通るか、休日は何人が床で遊ぶか。同じ部屋でも時間帯で混み方は違うので、写真映えする一場面だけで決めないことです。
モデルハウスでは、置いてある家具の寸法も尋ねましょう。見学時のソファが小さいから悪いのではありません。ただ、自分が使う大型ソファへ替えた後も同じ余裕があるとは限りません。営業担当には、この家具のサイズで、椅子を使っている状態の図を見せてください、と依頼すると、比較の条件が揃います。
家族で意見が割れたときは、広い、狭いという感想をそのまま戦わせないことです。例えば、椅子に座る人は落ち着くと感じても、後ろを通る人は窮屈かもしれません。どの位置にいた人が、何をしようとして困ったかを書けば、食卓を数センチ動かすだけで解決する場合もあります。調整後は同じ場面をもう一度試し、別の通路を塞いでいないかまで見ます。家族全員に同じ場所で座った役と通った役を交代してもらうと、意見の違いを共有できます。
畳数を増やす前に試せること
窮屈に感じたら、最初から増築するように面積を足すのではなく、配置を二案作ります。例えば食卓の向きを変える、ソファを壁から離す、テレビ台の奥行きを見直す、といった変更です。家具の置き方で通路が整理されるなら、その方が暮らしの原因に合った対策になります。気に入った家具を無理に小さくする必要もありません。
一方で、大きなソファに家族全員で並ぶことが暮らしの中心なら、ソファを優先して部屋を考えて構いません。食卓を仕事にも使う家庭なら、机を大きく残す選択もあります。どちらも大事と言うだけでは設計者は順位を付けられません。譲れない行動を一つ決め、それ以外に調整の余地があるかを話してください。
私が避けたいのは、広い部屋に見せるために必要な物を図面から消してしまうことです。ごみ箱や子どもの荷物を別の場所へ移すなら、その移動先も描きます。置き場所のない物は、入居してから空いている床へ戻ってきます。LDKだけを美しく整えた図より、周辺の収納まで役割がつながった図を選びます。
深澤の判断と次の行動
私なら、20畳という表示を合格印にせず、自分たちの家具で日常の三場面を再現できる案を選びます。広さは他の家に勝つための数字ではありません。誰かが立つたびに椅子を引き、通るたびに物を動かす暮らしを避けるために、自分たちに必要な余裕を確かめるものです。
打ち合わせには、持ち込む家具の幅・奥行き・高さのメモと、普段のLDKの写真を用意してください。片づけた特別な日の写真より、夕食後など普段の状態が役に立ちます。そのうえで、家具を実寸で入れた平面図に椅子の使用範囲と主な通路を描いてもらい、家族全員で確認しましょう。
デザインハウス甲府に間取りを相談する場合も、希望の畳数と一緒に、ここでは家族で何をしたいのかを伝えてください。大きな食卓で一緒に過ごしたいのか、床で遊べる場所が欲しいのか。その答えが決まると、同じ20畳でも、どの形があなたの暮らしに合うかを具体的に比べられます。










