記事詳細

「自社施工だから安心」は本当? 現場の責任者と確認の体制をどう見極める?

「自社施工」という言葉だけで、工事の品質までは分かりません。社員が施工する範囲、協力会社へ依頼する範囲、現場を管理する担当者、図面との整合を確認する担当者を聞く必要があります。自社という表現が何を指しているのかを明らかにしてから、その会社の体制を評価しましょう。

下請けや協力会社が入ること自体も、品質が悪い証拠ではありません。設備、電気、屋根など、専門分野の工事を分担することには意味があります。施主にとって重要なのは、分担が増えても責任の所在が曖昧にならず、契約した内容が実現されることです。人数や所属より、現場で何を確かめるかを見ます。

自社施工という言葉の中身を具体化する

担当者には「社員が直接施工する工事はどこですか。協力会社に依頼する工事はどこですか」と聞いてください。現場監督が社員であることを指す場合と、特定の職種を社員で抱えている場合では意味が変わります。言葉の定義が会社ごとに違う可能性を考え、実際の体制図で説明してもらいます。

協力会社を使う場合は、誰が発注し、施工条件を伝え、納まりや工程を調整するかを確認します。「長年の付き合いだから大丈夫」という関係性だけでは、今回の図面や変更内容が伝わったかは分かりません。継続的な関係の良さと、情報を確実に共有する方法を両方確かめたいところです。

また、担当者が休んだり交代したりした場合の連絡先も必要です。一人の経験と記憶だけに頼ると、良い職人や監督がいても引継ぎが難しくなります。図面、仕様、変更履歴、確認記録を会社として保管する仕組みがあるかを聞きます。自社に人がいることに加え、仕事が引き継げることも重要です。

現場の管理と工事監理を区別する

工事の進み具合や職種の調整を行う現場管理と、工事が設計図書に沿っているかを確かめる工事監理は、確認したい役割が異なります。国土交通省の工事監理ガイドラインでも、工事と設計図書の照合・確認、その内容や方法を工事に即して決めることが示されています。担当者の肩書きだけで済ませないことです。[53]

「監督が見ています」と言われたら、具体的な確認時期と内容を尋ねます。基礎、構造、防水、断熱などについて、何を誰が確認し、結果をどこに残すかが分かれば、体制の実態を判断できます。毎日現場にいることと、必要な工程で適切な確認を行うことは同じ意味ではありません。

第三者の検査がある場合も、検査回数だけで比べず、対象範囲、実施時期、指摘への対応を聞いてください。確認した箇所と確認していない箇所があるなら、その違いを理解します。どの制度や検査も家のすべてを常時見続けるものだと期待せず、複数の確認がどう補い合うかを説明してもらいます。

隠れる部分の記録と修正方法を見る

完成後に見えなくなる部分は、工事中の確認が大切です。写真を撮るだけで終わらず、撮影した場所と時期、図面との対応が分かるかを確認します。大量の写真があっても、どの部分なのか分からなければ、施主が施工の状況を振り返る資料として使いにくくなります。

さらに、指摘が出た後の流れを聞きます。誰が修正方法を決め、いつ直し、誰が再確認するのか。ここが決まっていれば、問題が見つかることを過度に恐れず、完成前に是正できます。「うちは一度も問題がない」という言葉より、問題を見つけて直す仕組みが説明される方が判断材料になります。

仮定例として、防水の確認予定日が月曜日なのに、仕上げ工程を前週へ変更するなら、確認の順番も調整する必要があります。日付は説明のための例です。工程を早めること自体を否定するのではなく、見えなくなる前の確認をどう確保するかを聞きます。工程変更と検査計画を別々に扱わないことです。

不具合の窓口を職人任せにしない

契約前には、工事の不具合や仕様の相違を誰へ伝えるかを決めます。住宅会社へ頼んだ工事について、「その職人と直接話してください」と担当をたらい回しにされる状態は避けたいものです。契約の相手方、工事範囲、修補の協議手順を確認し、窓口を会社として明確にしてもらいます。専門業者へ技術的な確認を任せる場合でも、施主への回答と対応予定を取りまとめる人まで曖昧にしないことです。

国土交通省は、建設工事の契約で当事者の権利と義務を明確にするための標準約款を公表しています。実際の契約にどの約款が使われ、変更や不具合の扱いがどう定められているかを読むことが大切です。自社施工という広告の言葉が、そのまま契約上の補償範囲を示すわけではありません。[2]

施主から職人へ直接追加を頼む場合にも注意します。「棚を一つ増やすだけ」のつもりでも、費用、材料、図面、保証の扱いが変わることがあります。現場で希望を伝えた後は、契約窓口へ戻して金額と工期を確認します。会社側と施主側の両方が、変更の経路を揃えておくことが必要です。

所属による安心を、確認できる品質へ変える

自社の職人を育てる体制には、技術や仕事の進め方を共有しやすい利点が考えられます。協力会社を活用する体制には、専門性を取り入れやすい面があります。どちらにも運用が必要なので、仕組みの名称だけで優劣を決めず、今回の家に携わる人と確認方法を比較してください。

費用についても、「外注だから中間マージンが二重」「自社だから必ず安い」とは判断できません。管理、手配、教育などに誰がどの仕事をするかが関わります。施主は想像で原価を割り出すより、同じ工事範囲と品質確認を含む総額を比べます。必要な管理費まで無駄として削ることは勧めません。

現場見学では、整理整頓だけで結論を出さず、図面の版、材料の保管、工程の説明、質問への回答にも目を向けます。立入りは担当者と調整し、安全な範囲で行ってください。施主が職人を監視し続ける計画より、専門家が責任を持って確認し、その記録を共有する計画の方が暮らしと両立しやすくなります。

住宅会社には「社員と協力会社の担当範囲、工事監理者、確認する工程、記録、修正後の再確認を教えてください」と伝えましょう。自社施工の価値は、その言葉を具体的な仕事に置き換えて初めて分かります。誰が働いているかに加え、誰が確かめ、最後まで責任を持つかで判断することが大切です。

 

 

デザインハウス甲府
〒400-0118 山梨県甲斐市竜王1656-17
営業時間 9:00~18:00 / 定休日 水曜日

PAGE TOP ▲
ライン
フェイスブック
ツイッター
インスタ
イベント情報
電話番号
お問い合わせ