データを出さない会社は危険?
こんなご相談をいただきました
住宅会社から「高断熱・高気密で、地震にも強い家です」と説明されました。
しかし、UA値、C値、構造計算について質問しても、「当社の住宅は十分な性能があります」「細かい資料は契約後に出します」と言われます。
性能データを契約前に出さない会社は、避けた方がよいのでしょうか?
A. 契約判断に必要なデータを、理由も説明せず出さない会社には注意が必要です。「高性能」「地震に強い」「追加費用はほとんどない」という言葉は、計算書・測定結果・見積書がなければ比較できません。
ただし、他の施主の個人情報や設計図をそのまま開示できないのは当然です。重要なのは、個人情報を伏せた実績資料や、自分の住宅で作成する書類を具体的に説明できるかです。
「高性能です」はデータではない
住宅営業では、次のような言葉が使われます。
- 冬暖かく、夏涼しい家
- 魔法瓶のような高断熱住宅
- 地震に強い構造
- 結露しにくい家
- 光熱費を抑えられる家
- 60年間安心して住める家
これらは説明としては分かりやすいものの、性能を証明するデータではありません。
住宅会社を比較するには、少なくとも次のような数値や書類が必要です。
- UA値と外皮計算書
- C値と気密測定報告書
- 断熱等級
- 耐震等級と構造計算書
- 一次エネルギー消費量
- 地盤調査報告書
- 工事中の検査記録
- 建物・付帯工事を含む総額見積書
- 保証内容とメンテナンス条件
言葉は会社ごとに自由に使えますが、数値は同じ基準で比較できます。
UA値は「標準仕様」ではなく自分の家で確認する
住宅会社のホームページに「UA値0.46」と書かれていても、自分の住宅が0.46になるとは限りません。
UA値は、次の条件によって変わります。
- 建物の大きさと形
- 窓の数と大きさ
- 窓や玄関ドアの性能
- 断熱材の種類と厚さ
- 天井・床・基礎の断熱方法
- 浴室や玄関まわりの断熱範囲
モデルハウスの数値や過去の最高値ではなく、契約する住宅の図面で外皮計算を行うか確認してください。
「標準仕様なら、おそらく0.46以下です」という回答は、計算結果ではありません。
C値は実測しなければ分からない
C値は、住宅全体の隙間量を表す数値です。
断熱材や気密テープを図面に指定しただけでは、実際のC値は確定しません。完成する住宅で気密測定を行って、初めて分かります。
次の説明には注意が必要です。
- 当社の工法なら高気密です
- 過去にC値0.3が出ています
- 平均C値は1.0以下です
- 最近の住宅は測らなくても問題ありません
- 気密測定は希望者だけのオプションです
確認したいのは、会社の最高記録ではなく、自分の家を測定するかどうかです。
さらに、目標値を超えた場合に補修するのか、測定報告書を受け取れるのかまで確認してください。
「耐震等級3相当」は計算書がなければ確認できない
地震に強い家を希望するなら、「耐震等級3」と「耐震等級3相当」を同じものとして扱わないことが重要です。
特に確認したいのは、次の点です。
- 耐震等級はいくつか
- どの計算方法を使うか
- 許容応力度計算を行うか
- 第三者機関の評価を取得するか
- 構造計算書を施主へ渡すか
- 太陽光パネルなどの重量を反映するか
「壁を多くしているので等級3相当です」という説明だけでは、基礎、梁、柱、接合部まで安全性を確認したのか分かりません。
構造計算を行う会社なら、その計算方法と成果物を説明できるはずです。
価格も重要なデータ
住宅会社が出すべきデータは、性能数値だけではありません。
価格についても、次の区分が必要です。
- 建物本体価格
- 付帯工事
- 設計・申請費
- 地盤改良
- 屋外給排水
- 照明・カーテン・エアコン
- 外構工事
- 登記・ローン・保険などの諸費用
- 消費税
- 契約後に増える可能性がある費用
「坪単価60万円」だけでは、最終的な支払額は分かりません。
面積30坪なら1,800万円に見えても、付帯工事、申請、外構、設備などを加えて2,400万円になることがあります。
価格データを出さない会社も、性能データを出さない会社と同じように比較できません。
光熱費シミュレーションは前提条件を見る
「以前の家より年間20万円の光熱費を削減できます」という説明も、そのまま信用してはいけません。
次の条件によって結果は大きく変わります。
- 家族の人数
- 設定室温
- 冷暖房する範囲と時間
- エアコンの性能
- 電気料金単価
- 太陽光発電の容量
- 売電価格
- 在宅時間
- 給湯使用量
シミュレーションを見るときは、結果だけでなく計算条件を確認してください。
同じ住宅でも、「冬は18℃設定」と「家全体を22℃設定」では、消費電力が変わります。
データを出せない正当な理由もある
すべての資料を初回相談で渡せないからといって、直ちに危険な会社とは限りません。
例えば、次の資料は設計や調査が進まなければ作成できません。
- 個別プランのUA値
- 構造計算書
- 地盤調査報告書
- 正確な地盤改良費
- 敷地条件を反映した外構費
- 完成後のC値
問題は「今は出せないこと」ではありません。
次の三点を説明できるかです。
- いつ作成するのか
- 誰が計算・測定するのか
- 結果を施主へ渡すのか
「契約後でなければ一切説明できません」では、契約前に比較する材料がありません。
過去の実績資料を個人情報だけ伏せて見せてもらう方法もあります。
平均値と最高値に注意する
住宅会社からデータを提示されても、その意味を確認する必要があります。
例えば「平均C値0.5」と表示されていたら、次の点を質問します。
- 何棟を対象にした平均か
- いつからいつまでの実績か
- 全棟測定か、希望者だけか
- 最も悪かった数値はいくつか
- 測定前に補修したか
- 完成時か工事途中の測定か
100棟中、性能の良かった10棟だけを選んだ平均なら、全体の施工品質は分かりません。
最高値より、全棟実施率と最低水準を見る方が現実的です。
契約前に確認するデータ一覧
住宅会社へ、次の資料をいつ受け取れるか確認してください。
性能関係
- 外皮計算書
- 断熱材・窓・玄関ドアの仕様書
- 気密測定報告書
- 構造計算書
- 換気計画書
- 省エネルギー計算書
土地・工事関係
- 敷地調査書
- 地盤調査報告書
- 工程表
- 検査記録
- 工事写真
- 竣工検査報告書
お金・保証関係
- 総額見積書
- 標準仕様とオプション一覧
- 追加変更工事の単価
- 保証書
- 定期点検計画
- 有償メンテナンスの条件
すべての資料が必要になる時期は異なります。契約前に「提出予定書類一覧」を作ってもらうと、言った・言わないを防げます。
デザインハウス甲府からのアドバイス
デザインハウス甲府では、高性能を言葉だけで説明するのではなく、断熱等級6、UA値0.46以下、全棟気密測定によるC値0.7以下を目標とし、耐震等級3は許容応力度計算で確認することを重視しています。
さらに、住宅価格も本体価格だけではなく、付帯工事、建築確認申請、消費税などを含めた総額で説明します。
もちろん、地盤改良や特殊な造成など、調査前に確定できない費用はあります。その場合は、確定していない理由、発生条件、想定金額を分けて示すべきです。
住宅会社には、次のように質問してください。
「その数値はモデルハウスの実績ですか。それとも私の家で計算・測定し、報告書として受け取れますか」
具体的な回答と過去の資料を出せるなら、信頼性を判断できます。
データを出す会社が必ず良い会社とは限りません。しかし、高性能・高耐震・適正価格を主張しながら、その根拠を出せない会社を信用する必要もありません。家づくりは、言葉ではなく記録に残る数字で比較してください。










