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60代の建て替えで、預金が4,500万円あっても全額を現金で使わない理由は?

A  預金4500万円があっても、年金で不足する生活費や将来の支払いに使う分は、住宅予算から先に除く必要があります。全額を使わないという判断は、利息より現金の確保を重く見る条件で生まれます。

借入れを増やせば安心という意味でもありません。利息と毎月返済の負担を含め、建物の規模を抑えて現金を残す案、借入れを併用する案を比較します。

数字で確かめます。以下は実際のお客様の診断ではなく、仕組みを説明する想定事例です。本人63歳の建て替え世帯を想定し、月の手取りを27万円、現在の住居費を除く生活費を24万円とします。生活費には現在の食費、光熱費、日用品、通勤、現在の教育費などを含めます。これとは別に、新居の税・保険更新・修繕に備える住居費積立を月2万円、今後の教育・車・老後などのための目的別積立を月1万円と設定します。いずれも平均額や推奨額ではなく、説明用に置いた条件です。実際の相談では、本人の明細と見積りに入れ替える必要があります。

住宅総額を3,000万円、住宅へ入れる自己資金を3,000万円、取得前に使途を決めていない現金を4,500万円とすると、支払い直後の使途未定の現金は1,500万円です。この総額には、この事例で必要な建物・敷地工事・手続・入居準備を含むと仮定しています。実際の販売価格や工事見積りを示す数字ではありません。すでに教育や納税、事業運転のために取り分けたお金は、最初の現金に重ねて数えていません。ここで自己資金を増やすなら、毎月の返済が減る効果と同時に、この残額が減ることを必ず確認します。

頭金を増やせば借入元金と利息を抑えられますが、同じ額だけ手元の流動性が減ります。頭金0円、一定額の投入、できるだけ多く投入する案を、同じ住宅総額で比べると違いが分かります。その際、頭金以外に現金払いが必要な費用を先に引いておきましょう。土地の手付金や着工時の支払いが融資実行より早ければ、引渡し時点の残高だけを見ても資金不足を発見できません。借入割合で適用金利が変わる商品もあるため、手元に残す方が必ず有利とも言い切れません。利息負担と残す現金を両方出し、予定外の支出に耐えられる組み合わせを探します。将来の相続、昇給、補助金など未確定の入金を頭金の穴埋めとして先取りせず、確認できた金額から計画を組むことが必要です。

この案は現金一括なので、借入利息とローンの毎月返済はありません。ただし税・保険・修繕の積立と生活費は続きます。現金を住宅へ置き換えた後は、急な支払いのために建物の一部分だけをすぐ現金へ戻すことはできません。将来の売却を考える場合にも、売れる価格、費用、入金までの期間が必要です。ローンがないという利点と、使える現金が減るという条件を別々に評価する必要があります。借入れを併用する案も比較できますが、年齢や健康、収入によって利用条件は異なり、希望額で借りられることを先に決めてはいけません。

この条件では、手取りから生活費、2種類の積立、ローン返済を引くと、月約0円が残ります。年換算では約0万円の差です。これは積立先へ移す金額を引いた後の、自由に使える資金の増減です。積立口座に移したお金が消えるという意味ではなく、家計全体の預金残高とは区別します。この差額を教育資金へも繰上返済へも使えるとして二重に割り当てることはできません。赤字になる場合は、生活費を削るという一言で終わらせず、どの支出をいくら変えられるか、あるいは借入額をいくら減らすかを具体的に検討します。

年金の試算は、夫婦合計の額面を12で割るだけで終わらせません。本人と配偶者の見込額、受給開始時期、税や保険料を差し引いた生活に使える金額を確認します。受給開始までの空白期間があれば、その生活費は別に必要です。受給を遅らせる案を比較する場合も、増える将来収入と、受給前に取り崩す現金を同時に示しましょう。また、夫婦2人が存命の家計だけでは、長い老後を十分に点検できません。どちらかが先に亡くなった後の年金と支出を、別の家計として作ります。生活費が単純に半分になるとは限らず、住宅の維持費は残ります。年金見込額は本人の加入記録と就業条件によって違うため、他人の平均額をそのまま自分の収入にしないことが必要です。

比較のため、住宅へ入れる自己資金を300万円減らし、その分を借入れへ置き換える案を考えます。利用できると仮定した計算では、手元現金は1,800万円となり、年1.5%・15年の月返済は約18,622円です。元の案との返済差は約18,622円ですが、利息や手続費用の増加も確認する必要があります。現金を残すこと自体が必ず得という意味ではなく、その費用でどの支出へ対応できるようになるかを評価します。もともと自己資金が少ない場合は、この方法で増やせる現金にも限界があります。審査や借入割合で条件が変わることがあるため、正式な見積りで再比較することが必要です。

医療費の備えでは、公的制度や加入保険で補える部分と、実際に現金が必要になる部分を分けます。自己負担の上限がある制度でも、すべての支出が対象になるとは限らず、利用条件と精算時期の確認が必要です。入院中の家族の交通費や、仕事を休むことによる減収も、住宅ローンの返済に影響します。保障が支払われるまでの立替資金を確保しておけば、請求から受取りまでの時間差にも対応しやすくなります。持病の有無や働き方によって備え方は変わるため、他人と同じ予備費を置くだけでは十分とはいえません。将来の治療内容を決めつける必要はありませんが、半年程度収入が減った場合など、期間を区切った家計の試算はできます。健康時に決めた返済額が、療養時にも重すぎないかを見ることが目的です。

複数の案を比較するときは、変える条件を絞ります。借入期間を比べるなら住宅総額と頭金をそろえ、住宅総額を比べるなら必要な性能と費用範囲をそろえましょう。条件が全部違う案では、何が負担を増やしたのか分かりません。月々の返済、支払利息、建築直後の現金、退職時の残債、預金が最低になる年を同じ表に並べると、メリットと代償を確認できます。最も月々が安い案が、家計全体でも最も余裕があるとは限りません。長い借入期間で支払いを後へ送っていることもあるからです。基本案、希望を多く入れた案、負担を下げた案を作り、家族が守りたい条件と照合します。一度の試算で正解を当てようとせず、条件変更の効果を確かめながら、生活に合う範囲へ絞ることが必要です。

預金4500万円から3000万円を使うなら、残りは1500万円です。ここで毎月不足する生活費、医療や介護、住宅修繕にいくら確保するかを分けます。1500万円が多いか少ないかは、その家計の不足額と期間次第です。借入れを併用する案は現金を増やせますが、返済も生じます。借りれば得、現金なら得と決めず、生活のために持つ現金と、そのために払う費用を比較しましょう。

一括後の生活費準備額を明示し、住宅へ使う上限を決めましょう。使わない現金の目的を決めておくと、追加工事で予算が膨らむことも防ぎやすくなります。

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