頭金で後悔する人とは?
「借入額を減らせば安心」が、家計を苦しくすることもあります
質問
住宅ローンの負担を減らすために、貯金をできるだけ頭金へ入れようと思っています。
頭金は多いほど安心なのでしょうか?
回答
結論から言うと、頭金は多ければ多いほどよいわけではありません。
頭金を入れすぎて手元資金が少なくなると、入居後の出費に対応できず、教育ローンや自動車ローンなど、住宅ローンより金利の高い借入れが必要になることがあります。
頭金で後悔する人の共通点は、
「住宅ローンを減らすこと」だけを考え、
「家を建てた後に残すお金」を決めていないことです。
頭金を入れすぎると、なぜ危険なのか?
住宅を取得すると、建物と土地以外にもさまざまな費用が発生します。
- 登記費用・融資手数料・火災地震保険
- 引越し費用
- 家具・家電・カーテン
- 外構工事や追加工事
- 自動車の買い替え
- 子どもの進学費用
- 病気や休職による収入減少
- 入居後の修繕・メンテナンス
家づくりの直後は、人生で最も現金が必要になりやすい時期です。
ところが「借金は少ない方が安心」と考えて貯金の大半を頭金へ入れてしまうと、想定外の支出に対応できません。
住宅ローンは低金利で長期間借りられますが、一度支払った頭金は、原則として簡単には取り戻せません。
つまり、頭金を多く入れることは、借入額を減らす一方で、家計の緊急対応力を失うことでもあります。
例えば、貯金800万円を持っている場合
3,000万円の住宅を購入し、貯金800万円のうち700万円を頭金へ入れたとします。
住宅ローンは2,300万円まで減りますが、手元に残るのは100万円です。
その直後に、
- 家具・家電 80万円
- 引越し・カーテン 40万円
- 車の買い替え 200万円
- 子どもの進学費用 100万円
が重なれば、現金が足りません。
住宅ローンを減らすために700万円を使ったのに、今度は住宅ローンより金利の高い自動車ローンや教育ローンを借りることになれば、本末転倒です。
一方、頭金を300万円に抑えて500万円を残せば、住宅ローンは400万円増えますが、急な支出に対応できます。
大切なのは借入額だけではありません。
「毎月返せるか」
「建築後にいくら残るか」
「将来の支出に耐えられるか」
この3つを同時に確認する必要があります。
頭金を入れるメリットもある
もちろん、頭金そのものが悪いわけではありません。
頭金を入れることで、
- 住宅ローンの借入額を減らせる
- 毎月返済額を抑えられる
- 支払利息を減らせる
- 金融機関の審査で有利になる場合がある
- 融資率によって金利が下がる商品がある
といったメリットがあります。
例えば【フラット35】では、融資率が9割以下か9割を超えるかによって適用金利が異なります。頭金を入れる場合は、単に金額を増やすのではなく、「金利条件が変わる境目」を確認することが重要です。住宅金融支援機構「フラット35金利情報」
頭金ゼロにも注意が必要
反対に、貯金があるのに頭金をまったく入れず、借りられる上限まで借りるのも安全とは限りません。
借入額が増えるほど、
- 毎月返済額が増える
- 金利上昇の影響が大きくなる
- 総支払利息が増える
- 売却時にローンが残る可能性が高まる
- 収入減少時の家計負担が重くなる
というリスクがあります。
「頭金を入れない方が得」でも、
「頭金を多く入れた方が安心」でもありません。
その家庭に必要な現金を残し、無理なく返せる借入額に調整することが正解です。
手元にいくら残すべき?
目安として、少なくとも次の資金は頭金と分けて考えます。
1.生活防衛資金
会社員であれば生活費の6か月分程度、自営業者や収入変動の大きい人は1年分程度を一つの目安にします。
2.住宅取得後に必要な費用
引越し、家具・家電、カーテン、外構、登記、保険など、入居までに必要な費用を総額で確認します。
住宅会社の表示価格に何が含まれているのかも重要です。
3.5年以内に予定している大型支出
進学、車の買い替え、出産、介護、転職、独立など、近い将来に使う予定の資金は頭金へ入れない方が安全です。
4.予備費
追加工事や物価上昇に備え、建築総額とは別に予備費を確保します。
住宅ローン控除だけで頭金を決めない
「住宅ローン控除があるから頭金を入れない方が得」と言われることがあります。
しかし、実際に受けられる控除額は、住宅性能、借入残高、所得税・住民税の納税額、入居時期などによって変わります。
借入残高が多くても、計算上の控除額をすべて受け取れるとは限りません。
また、親や祖父母から住宅取得資金の贈与を受ける場合、住宅ローン控除の計算対象となる取得価額にも影響します。国税庁「住宅取得等資金の贈与と住宅借入金等特別控除との関係」
「控除があるから借りる」のではなく、
住宅ローンの支払利息
控除による実際の節税額
手元に残す資金
将来の支出
を合わせて比較する必要があります。
頭金で後悔する人の共通点
頭金で後悔しやすいのは、次のような人です。
- 貯金額だけを見て頭金を決める
- 建物価格だけで資金計画を立てる
- 諸費用や外構費を計算していない
- 教育費や車の買い替えを考えていない
- 住宅ローン控除を満額受けられると思っている
- 頭金を入れた後の残高を確認していない
- 借入額を減らすことだけを優先する
- 住宅会社から「頭金はいくら出せますか」と聞かれ、そのまま答えてしまう
本来、最初に決めるべきなのは頭金ではありません。
「家を建てた後、いくら残しておく必要があるか」です。
デザインハウス甲府の考え方
私たちは、頭金の多さだけで住宅計画を評価しません。
建物本体価格だけでなく、付帯工事・申請費用・消費税などを含めた総額を確認し、そのうえで、
- 入居後に残る現金
- 毎月の住宅ローン返済額
- 教育費
- 車の購入費
- 光熱費
- 将来の修繕費
- 退職時点のローン残高
- 老後資金
まで確認します。
住宅ローンを100万円減らすことより、生活を守る100万円を残す方が重要な家庭もあります。
頭金の正解は、住宅会社が一律に決めるものではありません。
そのご家庭の年齢、収入、家族構成、教育費、貯蓄、退職時期によって変わります。
まとめ
頭金で後悔しないために重要なのは、「いくら入れるか」より「入れた後にいくら残るか」です。
頭金を多く入れて住宅ローンを減らしても、手元資金が不足すれば、暮らしは不安定になります。
住宅購入は、契約できれば成功ではありません。
入居後も教育費や老後資金を守りながら、安心して返済を続けられて初めて、無理のない家づくりといえます。
頭金は余ったお金から出すものです。
生活を守るお金まで、家に入れてはいけません。










