記事詳細

自分一人にはぴったりだった10坪の間取り。将来、どんな人が買うのかまで考えて建てるべきですか?

考えるべきです。ただし、将来の買主のために自分が毎日我慢する家を建てる必要はありません。自分に合う間取りを選びながら、別の人が使うときに大きな工事をしなくて済むかを確かめる、という考え方です。とくに10坪のような小さな家では、一つの専用設備や固定家具が用途を強く限定します。

「一人暮らしの人は増えるから売れる」というだけの説明は、判断材料として足りません。その地域で一人暮らしをする人が、持ち家を選ぶのか、どの価格帯を希望するのか、車や仕事の場所を必要とするのかまで違います。世帯の数と、この家を買う需要を混同しないことです。

次の買主を三人ほど具体的に描いてみる

まず、通勤しながら一人で住む人を考えます。その人には、車の置き場、洗濯、仕事着の収納、料理をする場所が必要かもしれません。次に、住まいを小さくしたい高齢者を考えます。その場合には段差、寝床とトイレの位置、買い物のしやすさなどが気になるでしょう。

さらに、二人で暮らす人にも使えるかを見ます。食卓や寝具を二人分置いたときに通路が残るか、違う時間に起きても生活できるかが判断点になります。三つの世帯像すべてに完全対応する必要はありませんが、どの層には合わないのかを理解しておくことが重要です。

住宅会社へ「どんな人にも売れますか」と聞いても、抽象的な答えになりがちです。「単身の勤労者が買うなら、この家の不足は何ですか」「高齢者なら何を直しますか」と問いを具体化すると、設計のうち残すべき余裕が見えてきます。

買主像を考えるときは、その人が買った後の一日も想像します。買い物の荷物をどこへ置くか、来客があればどこに座るか、雨の日に洗濯物をどう干すかを見ます。間取りの名称が同じでも、こうした動作のしやすさは違います。自分の家具を置いた写真だけで魅力を説明するより、使い方の幅を具体的に示せる設計を考えます。

専用の造作ほど次の人の費用を生みやすい

趣味のためにつくった大きな台、特殊な高さの収納、寝具に合わせて固定した造作ベッドなどは、自分には便利でも次の人が使うとは限りません。狭い室内では、それらを残したまま別の家具を置く余地が少なく、撤去や補修が購入後の費用になります。

趣味を諦める必要はありません。動かせる家具にする、下地を準備して後から取り付ける、撤去跡を直しやすい納まりにするなど、変えられる工夫を考えます。造作の見栄えだけでなく、「これを外したら普通の部屋として使えるか」を設計時に確認してください。

窓、エアコン、コンセント、扉の位置も家具配置を制約します。ベッドが一か所にしか置けず、その大きさまで限定される部屋では、買主が選べる暮らし方が狭まります。少なくとも二通りの家具配置を試し、可能なら設計図として残しておくと、将来の説明にも役立ちます。

建物より先に立地との組み合わせを見る

同じ10坪でも、駅や職場に近い家と、車が必要な場所の家では想定する買主が違います。車が必要な場所で駐車ができない家を、単に「一人用だから小さくてよい」と評価するのは不十分です。建物の面積、土地、交通、買い物の条件を一体で考えます。

国土交通省の不動産情報ライブラリには、取引価格に加え、周辺施設や都市計画などの情報があります。家の広さだけで市場を想像するのではなく、地域の条件を調べる入口として使えます。ただし表示された取引を自宅と同一視せず、実際の条件差は仲介会社に確認してください。(出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ)

ネットで売り出されている小さな家を見つけても、それは売れた価格の証明ではありません。掲載が長く続いている理由や価格変更の有無も、分かる範囲で確認します。「同じ広さがこの値段で載っている」だけで、自宅の出口価格を決めないことです。

貸せる間取りと売れる間取りも同じではない

短期間借りる人なら受け入れられる収納不足も、長く住むために買う人には気になることがあります。家賃が合えば借りることと、手元資金を出して購入することでは判断が違います。「賃貸需要がありそうだから売却も安心」という説明は、一段飛ばした推測です。

買主が投資目的なら、取得費だけでなく家賃、修繕、空室などを踏まえて価格を検討します。自宅として売る案と、貸家として投資家へ売る案の査定は、同じ数字になるとは限りません。売却の選択肢を増やすことは大切ですが、それぞれに別の確認が必要です。

もし将来は貸す可能性を強く考えるなら、入居者が替わるたびに交換しにくい特殊設備を増やしすぎないことも一案です。部品の入手や掃除、修理の手配が難しい設備は、家賃へ反映されなくても管理の手間として残ります。自分がその楽しさを十分に使うなら選べますが、将来の回収を当然の理由にして追加しないことです。

価格と変更費を合わせた購入負担を考える

仮に販売価格900万円でも、買主が寝室の変更と設備更新に200万円を要すると見れば、取得後の負担は1,100万円に購入諸費用を加えたものになります。これは相場ではなく比較例です。近くにそのまま使える家があれば、単純な売値の安さだけでは選ばれない可能性があります。

だからといって、売る前に全面改装すれば費用を回収できるとは限りません。自分が新たに選んだ内装も、次の買主の好みと違うことがあります。売却時は、清掃や不具合の説明、必要な補修と、好みに関わる改装を分け、仲介会社へ費用回収の見通しを聞いてから進めます。

新築前なら、固定設備を豪華にする前に、汎用的な収納や通路を残す価値を比べてください。将来別の人が使う際の改修が少なくて済むことは、面積が小さな家でこそ意味があります。坪数の最小化と、使い道の最小化を同時に進めないようにします。

建築費を抑えるために窓を一つ減らす場合でも、将来仕切った部屋に窓が残るかを見ます。いまは大きな一室で成立していても、次の人が二室へ分けたとたんに使いにくくなる配置があります。仕切る位置が決まっているなら、照明や換気、空調も含めて設計しておくと、単に面積を確保するだけより変更しやすくなります。

自分らしさは残しながら変更しやすくつくる

完成前には、いまの自分の家具配置と、想定する次の買主の家具配置を一枚ずつつくってみましょう。二つを比べて無理が出る場所が、造作を動かせるようにする、出入口を追加できるようにする、といった設計上の検討点になります。

売却価格を保証する間取りはありません。それでも「自分が住めれば十分」と検討を終えるより、次の人に説明できる使い方を残したほうが、選択肢は増やせます。10坪を選ぶなら、その小ささが魅力になる条件と、負担になる条件の両方を、建てる前に言葉にしておくことです。

 

 

 

デザインハウス甲府
〒400-0118 山梨県甲斐市竜王1656-17
営業時間 9:00~18:00 / 定休日 水曜日

PAGE TOP ▲
ライン
フェイスブック
ツイッター
インスタ
イベント情報
電話番号
お問い合わせ