気密測定をせずに、『高気密です』という説明を信じる?
判定 NG
NGです。「高気密」という言葉や他の家の測定実績だけで、自分の家の気密性能を確かめたことにはなりません。私は自邸での測定を勧めます。契約前に、測る時期、測定条件、目標、目標に届かなかった場合の対応まで確認しておきます。
会社の実績と自分の家を分ける
「当社はいつもよい数値です」という説明を聞いたら、過去の実績として受け止めます。同じ会社でも、一棟ごとに形、窓、設備の貫通部、工事の状況は異なります。他の家の報告書が優秀だからといって、まだ建っていない自分の家の結果まで決まるわけではありません。私は、実績を見た後に「この家も測りますか」と確認します。
平均値だけの説明なら、集計した期間、対象棟数、測定していない家の扱いを尋ねてもよいでしょう。ただし、平均の見せ方だけから会社の不正や施工不良を決めつける必要はありません。自分の契約で何を実施し、何を受け取るかを具体化することが先です。パンフレットの数字を、自邸についての合意へ置き換えていきます。
C値は何を測った数字か
C値は、測定から求めた総相当隙間面積を、算定方法に沿った実質延べ床面積で割った、気密性能の指標です。小さいほど建物全体として隙間が少ない方向を示します。壁の穴を一つずつ物差しで測って足した数字ではありません。送風機を用いる試験にはJIS A 2201があり、IBECsもこの試験方法を扱う技能者養成事業を行っています。
一方、C値だけでは、どの部屋にどれだけ換気の空気が届くか、断熱材が計画どおり入っているか、雨を防げるかまでは分かりません。私は測定を重視しますが、万能な検査としては説明しません。断熱、換気、防水などは、それぞれの確認方法を持ちます。違う性能まで一つの数値へ背負わせないことが、測定を正しく役立てる条件です。
直せる時期に測る意味
気密の施工に気になる部分が見つかったとき、手を入れやすい段階で測ることには意味があります。壁や天井を仕上げた後では、確認や補修のために外す範囲が増える可能性があるからです。私は、気密を確保する層ができた段階での確認と、その後の工事で状態が変わらないための管理を、工程表で説明してもらいます。
中間段階で測った後に、配管や配線の工事、追加の穴開けがあるなら、その部分を誰が管理するかも決めます。中間の良好な値が、以後の工事のすべてを保証するわけではありません。完成時にも測るのか、変更した部分を別に確認するのか、費用を含めて相談します。私は測定回数の多さだけでなく、測る目的と後工程とのつながりを見ます。
報告書には測定条件も残す
結果の一行だけを写真で見せてもらうより、住宅名、測定日、測定段階、床面積、測定方法、開口部の扱いが分かる報告書を受け取ることを勧めます。換気口などを試験のためにどのように扱ったかも確認します。条件が分からなければ、別の測定結果と比べるときに、同じものを比較しているか判断しにくくなります。
試験の際に所定の開口を処理することと、生活中も給気口をふさいで使うことは別です。測定結果をよくするために、日常必要な換気まで止めればよいという説明は受け入れません。分からない処置があれば「試験上の処理ですか。引き渡し時はどう戻しますか」と質問します。専門用語を全部覚えるより、通常の使用状態との違いを説明してもらう方が役立ちます。
報告書で使った床面積の範囲も、測定方法に沿って説明してもらいます。建築の面積表の数字を、そのまま無条件に当てはめたものと考えないことです。吹き抜けや床下などの扱いが分からなければ、算定の資料を示してもらいます。小数点の数字だけを比べるより、分母の条件までそろえる方が意味があります。
目標未達の後を先に決める
目標値だけを書いても、届かなかったときの扱いが空白では困ります。原因の確認、手直しの検討、再測定、結果の説明を、誰がどの時点で行うかを契約前に相談します。費用負担や工程への影響も合わせて確認してください。私は全国一律の数値をここで約束するのでなく、その家の目標と実施内容を双方が理解して合意することを重視します。
測定後に目標へ届いていないと分かっても、その場で家全体が使えないと断定したり、代金を一方的に止めたりすることは勧めません。まず報告書と契約内容を照合し、原因と対応案の説明を受けます。手直しが難しいと言われた場合は、どの箇所がどう難しいのかを記録してもらいます。説明が進まなければ、資料をそろえて専門家へ相談する順序です。
よい数値を受け取った後にすること
目標に達していれば、その成果を確認したうえで、報告書を図面や仕様書と一緒に保存します。後からエアコンを追加したり、配管を通したりする場合に、気密を確保する層を傷めない工事方法を相談するためです。新築時の結果があると、家のつくり方を次の工事担当者へ伝えやすくなります。測定を引き渡し時だけの話題で終わらせないことです。
また、数値がよければ寒さやにおいへの訴えを聞かなくてよい、ということにはなりません。窓、日射、空調、換気など別の原因を順に確認します。「C値がよいので問題ありません」と説明が止まるなら、私は測定結果の使い方を見直します。指標は暮らしの問題を整理する資料です。住む人の実感を否定するための数字にはしません。
深澤の判断と次の行動
私の勧めは、測定するという約束を、自分の家の工程と書類へ落とし込むことです。次の打ち合わせでは「いつ、どの条件で測り、届かなければどう対応し、何を渡してもらえますか」と聞いてください。その答えを記録して合意できれば、宣伝文句への期待を、確かめられる品質管理へ変えられます。
参考資料 確認日 2026年10月25日
株式会社マツナガ「気密測定における実質延べ床面積の計算方法」
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