結論
断水したときは、まず「水がないだけなのか」「排水も使えないのか」を分けます。排水管や下水道に問題があれば、水を用意して流すことが適切とは限りません。私なら、流してよいか確認できない間に使うための携帯トイレを、家族の人数と必要日数に合わせて備えます。
トイレに水が入ることと、安全に排水されることは同じではありません。TOTOも、災害で排水管が破損している場合や逆流がある場合には、水を流さないよう案内しています。バケツの水さえあれば解決すると考えず、給水と排水の両方を確認してください。[1]
最初に地域と自宅の情報を分ける
大きな災害では、地域の下水道施設に損傷があり、使用が制限されることがあります。東京都下水道局は、使用制限がある場合は使用を控え、制限がない場合も宅内の排水設備の破損を確認するよう案内しています。地域の情報と、自宅の設備の状態は別々に確かめます。[2]
情報の確認先は、住んでいる自治体や上下水道の担当窓口です。普段の水道料金の書類などを手掛かりに、連絡先と情報発信のページを控えておきます。災害時に初めて検索するより、平常時に家族が見られる場所へまとめておく方が行動しやすくなります。
地域に使用制限がない場合でも、便器の周りや排水の異常があれば、無理に流して試し続けません。外の配管や設備を安全に確認できないなら、未確認として施工会社や設備業者へ相談します。自分で地下の管まで調べなければ使えない、という話ではありません。
浄化槽を使う家なら、公共下水道の情報だけで判断せず、管理先へ確認する内容を整理します。自宅の排水がどの方式なのか分からない場合は、引き渡し資料や設備の説明で確認してください。災害時の行動を考えるためにも、普段使っている仕組みを把握しておきたいところです。
水を流せる場合も機種の手順に従う
排水が使えると確認でき、断水への対処として水を流す場合でも、便器の機種によって方法が異なります。タンクへ水を入れてよいと勝手に判断せず、使用中の機種の取扱説明書やメーカーの案内を確認します。TOTOの案内には、タンクへ直接水を入れないよう求めるものがあります。[1]
新築の引き渡しでは、トイレの型番と非常時の説明ページを一緒に確認してください。普段の自動洗浄が便利でも、断水や停電の際に同じ操作をすればよいとは限りません。必要な設定や対応方法を、家族が読める状態で残しておきます。
バケツで水を運ぶ方法を想定するなら、誰がどこから運ぶかも考えます。大人にはできても、子どもや体力に不安がある人には難しい場合があります。水があるという条件だけで、家族全員の使い方が決まったと考えないことです。
また、流せるようになったという情報を得たときも、異常が残る自宅で無理に使用を再開しません。地域の制限が解除されたことと、自宅の故障が直ったことは別です。再開の判断も、確認した情報を家族で共有してから行います。
携帯トイレは回数で準備する
携帯トイレの備蓄は、箱の大きさより使用回数で考えます。政府広報オンラインは、トイレの備えとして、1人1日5〜6回に人数と7日分を掛けた目安を示しています。必要な回数は家族の状況に合わせて調整します。[3]
この目安で家族4人の7日分を計算すると、5回なら140回分、6回なら168回分です。これは必要数を考える計算例で、どの家庭でも必ず足りるという保証ではありません。来客や介助の条件なども考え、手元の製品が何回分かを実際に確認してください。
袋と凝固剤などがセットでも、使い方は製品によって異なります。購入したまま収納せず、家族が説明書を読み、便器への取り付け方や処理の手順を確認しておくことを勧めます。停電した夜に初めて開封するより、必要な物が分かる状態にしておきたいところです。
携帯トイレを使う準備は、トイレに行く回数を無理に減らすためではありません。水洗が使えない間も、家族が我慢せず使えるようにする備えです。誰かが使いにくいと感じるなら、座りやすさや介助の方法も含め、平常時に相談しておきましょう。
使った後の置き場まで決める
備蓄品があっても、使った後の袋をどこへ置くかが決まっていなければ、生活空間が落ち着きません。製品の説明と自治体の案内に従い、保管用の袋や容器、置き場を準備します。普段のごみの扱いと同じでよいと決めつけず、災害時の処理方法を確認してください。
仮に、トイレの中へ全備蓄を積み上げると、出入りや介助の場所を狭めることがあります。すぐ使う分と予備を分け、誰でも取り出せる場所へ置く方法を考えます。家づくりの段階なら、トイレ収納と備蓄の場所を一緒に検討できます。
暗い時間の使いやすさも確認します。照明が点かないときに、袋の取り付けや手元の作業をどうするか、家族がライトを探せるかを考えます。ライトの置き場が別の部屋で分からないという状態を避け、必要な物を一か所で確認できるようにします。
備蓄の点検は、家族の人数が変わったときや製品の使用期限を確認する機会に行います。大きな箱を置いたことを完成とせず、足りる回数、使い方、取り出しやすさが保たれているかを見ます。使う人が替わっても分かる表示を付けると、担当者一人に頼らずに済みます。
保管場所を決めたら、購入した箱を実際に置いてみることも必要です。図面上は入っても、扉を開けた状態で取り出せない、予備の袋が奥へ隠れるといった使いにくさが見つかることがあります。家族が自分で補充できる高さと奥行きかを確認します。
使用方法を共有するときは、説明を聞いた人が別の家族へ手順を伝えてみてください。途中で迷う箇所があれば、説明書の必要なページを示しておきます。備蓄の数量確認と、使う準備の確認を別々に行うと、足りない物を見つけやすくなります。
深澤の判断と次の行動
私なら、災害時のトイレは「流せる条件の確認」と「流せない間の備え」をセットにします。節水型かタンクレスかという普段の使い勝手だけで終わらせず、非常時に家族が使える方法を確認してから選びます。どんな設備でも、水と電気と排水の条件を分けて理解したいところです。
まず、今使う便器の型番、排水の方式、携帯トイレの使用可能回数を確認してください。これから建てる方は、その一覧を相談に持って行きましょう。デザインハウス甲府への相談でも、設備選びに加えて、備蓄を取り出す場所と使った後の一時保管まで、暮らしの動きとして確かめてください。
参考資料
[1] TOTO 断水 給水制限 レバーハンドルがついていないタイプ
[2] 東京都下水道局 災害時のトイレ対策について
[3] 政府広報オンライン 防災特集 災害に事前に備える










