結論
フルフラットのキッチンは、片づいた状態だけでなく、料理中の道具や食後の皿が見えている状態も含めて選んでください。私なら、毎回すぐに何もない天板へ戻せることを採用条件にはしません。作業の途中が見えても気にならないか、見せたくない物を無理なく置ける場所があるかを確かめます。
例えば、夕食を作りながら子どもの宿題を見ていると、まな板、調味料、ボウル、洗う前の皿が同時に出てきます。その景色が家族の暮らしとして自然に感じられるなら、開放的なキッチンは楽しめます。一方、目に入るたび片づけたくなる人には、手元が見える範囲を調整する方が合うかもしれません。
何も置いていない展示と調理中を分ける
ショールームのキッチンは、形や素材を見やすい状態で展示されています。そこへ自分の料理の手順を重ねてみてください。食材を取り出す、切る、加熱する、盛り付ける、洗うという各場面で何が天板に置かれるかを書き出すと、完成写真にはない途中の姿が想像できます。
普段よく作る一品を例にするのが分かりやすい方法です。例えば、家族分の炒め物を作るとき、切った野菜、使う調味料、盛り付け皿をどこへ置くでしょうか。調理中の物を全て引き出しへ戻すことはできません。必要な物が出ている状態で、作業と見た目が両立するかを考えます。
食後も同じです。家族の食事時間が違う場合、洗い終わった器と、これから使う皿が一緒に置かれることがあります。食洗機へ入れない物や、少し置いてから片づけたい物もあります。全員が同時に食べ終わる家庭の写真を、自分の家の普段の状態として想定しないことです。
リビングから見える場所を確かめる
図面には、ダイニングの椅子とソファ、玄関から入る経路を入れます。どこからキッチンが見えるかは、立った目線と座った目線で異なります。キッチンの前に立って天板を見下ろすだけでなく、家族や来客が普段いる場所から、何が視界に入るかを確認してください。
例えば、ソファからシンクの中はほとんど見えなくても、背面に置いた家電や食品の袋がよく見える場合があります。反対に、背面を整えても天板の手前に置いた物が気になることもあります。「キッチンが丸見え」という言葉を、どの場所の何が見えるのかへ分けると、調整する箇所が分かります。
見せたくないのが洗い物なのか、調味料の容器なのか、作業する自分の手元なのかも整理します。希望によっては、フルフラットをやめなくても配置を変えることで対応できる場合があります。一方、手元全体を隠したいなら、別の形式を並べて比較した方が判断が早くなります。
パナソニックは、対面キッチンでも本体前面を高くして手元を隠すタイプがあると案内しています。対面式にしたいことと、天板を全面同じ高さにしたいことは分けて考えられます。特定の形式を選ぶ前に、開放感と見える範囲をどのように組み合わせたいかを確認してください。[1]
片づけるための場所を使う場所の近くに
調味料や調理道具を隠したいなら、使う位置から無理なく戻せる場所が必要です。収納が多くても、戻すために毎回キッチンの反対側へ回るなら、作業中は出したままになるかもしれません。収納量だけでなく、料理の途中と終わった後の動作を分けて確認します。
例えば、洗って乾かす途中の水筒や、毎日使うまな板をどこへ置くかを決めます。見せないために濡れた物を無理に収納するのではなく、その道具に合う扱い方を前提に場所を考えます。生活に必要な途中の状態を受け止める場所があると、見た目のための作業を増やさずに済みます。
配膳するときに天板へ皿を並べたいなら、物を置かない空間も必要です。いつも置く家電や花などと、料理中だけ使う場所が重なっていないかを確認します。広い天板があるというだけで安心せず、普段から使える面積を、実物の大きさで見積もることが大切です。
背面収納を扉で隠す案も、開けたまま料理する時間を想像します。扉を閉めればすっきりしていても、調理中に開く範囲が通路や他の人の作業と重ならないかを見ます。完成時の一枚の写真ではなく、使っている途中の形までを比較してください。
家族の参加を妨げない使い方にする
フルフラットに惹かれる理由が、家族と一緒に料理したいからであれば、参加した人が物を置く場所も必要です。子どもが混ぜるボウル、家族が並べる皿などを図面に入れます。何も出ていない美しさを守るため、参加する人へ常に片づけを求める暮らしにならないかを考えます。
また、手元が近くから見えることと、安全に参加できることは別です。加熱機器や刃物を使う位置、子どもが立つ場所は設計者と確認します。油はね対策などの部材を選ぶ場合も、採用する機器やキッチンに適合するものかを確かめ、見た目だけで部材を省略しないことです。
来客時に気になる場合は、どんな来客をどの程度想定しているかを話します。友人と料理を楽しむのか、料理中は見せずに迎えたいのかで、希望が違います。年に数回の見え方のために日々の使いやすさを変えたいのかも含め、普段の暮らしと来客時の優先順位を整理します。
家族で許せる散らかり方が違うなら、実際の夕食後の写真を見ながら話す方法があります。片づける人を責めるためではなく、どの程度見えていても落ち着けるかを共有するためです。新居のデザインに合わせて家族全員の性格が変わることを期待しない方が、納得した選択になります。
完成写真より途中の一場面で決める
候補を比較するときは、いつも使う道具と皿の数を決めて、同じ条件でフルフラットと手元を隠す案を見ます。片方だけを何もない状態で見せられると、公平に比べられません。物を置いた状態の図や、展示で説明を受ける方法など、確認できる手段を担当者へ相談してください。
全面を見せることが負担なら、手元の一部を隠す案や、シンクと加熱機器の位置を分ける案を比べます。開放感をどこで得たいかを決めると、選択肢を絞れます。
深澤の判断と次の行動
私なら、料理の途中が見えることに納得でき、戻す場所が無理なく使える家庭へフルフラットを勧めます。手元を隠した方が落ち着くなら、その希望も同じように大切にします。開放感への憧れと、毎日片づけを担当する人の負担を、別々の話にしないことが重要です。
次のキッチン打合せには、普段の調理中と食後の写真、よく使う道具の寸法を用意してください。デザインハウス甲府へ相談するなら、ソファと食卓からの視線を図面に重ね、「この状態までは見えていてよい」という家族の基準から形式を比べてみましょう。
参考資料
[1] パナソニック 対面キッチンで手元を隠すことはできる?










