Q. キッチンやトイレも60年保証される?
A. いいえ。建物が60年保証でも、キッチンやトイレまで60年間保証されるわけではありません。住宅設備には、建物とは別の保証期間と保証条件が設定されています。
住宅会社の広告に「60年保証」と大きく書かれていると、キッチン、トイレ、ユニットバス、給湯器なども含め、家全体が長期間保証されるように感じます。
しかし、多くの長期保証で対象となるのは、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分です。
住宅設備は、60年保証とは別に確認しなければなりません。
建物保証と住宅設備保証は別
住宅保証は、大きく次のように分かれます。
- 構造・防水などの建物保証
- キッチン・トイレなどの住宅設備保証
- 設備メーカー独自の製品保証
- 有料または住宅会社独自の延長保証
建物の構造と防水が最長60年保証でも、住宅設備はメーカー保証1年や2年、住宅会社の延長保証が付いて10年など、期間が大きく異なる場合があります。
「住宅が60年保証」と「住宅設備も60年保証」は同じ意味ではありません。
キッチンは一つの製品ではない
システムキッチンは一つの商品に見えますが、実際には複数の部材と機器からできています。
例えば、
- キャビネット
- 扉や引き出し
- ワークトップ
- シンク
- 水栓
- 食器洗い乾燥機
- IHクッキングヒーター
- ガスコンロ
- レンジフード
- 浄水器
などです。
キッチン本体の保証期間と、食洗機やIHなどの組み込み機器の保証期間が同じとは限りません。
キッチンメーカーの商品に組み込まれていても、機器部分は別メーカーの保証条件が適用されることがあります。
「キッチン10年保証」と書かれていたら、どの部材と機器が10年間保証されるのかを確認する必要があります。
トイレも便器と電気製品で違う
トイレも一つの製品ではありません。
- 陶器製の便器
- タンク
- 給排水部品
- 温水洗浄便座
- リモコン
- 自動開閉機能
- 自動洗浄機能
- 脱臭装置
などで構成されています。
陶器製の便器本体と、電子部品やモーターを使用する温水洗浄便座では、故障の原因も保証条件も異なります。
トイレ本体が保証されていても、便座、リモコン、パッキン、フィルターなどが同じ期間保証されるとは限りません。
メーカー保証と住宅会社の10年保証
住宅設備には、設備メーカーによる製品保証があります。
一方、住宅会社によっては、メーカー保証終了後も含めて、主要な住宅設備を引き渡しから10年間保証する独自制度を用意しています。
例えば、
- システムキッチン
- システムバス
- 洗面化粧台
- 便器・便座
- エアコン
- インターホン
- 給湯器
などを対象とする制度があります。
ただし、住宅設備10年保証が付いていても、すべての故障が無料修理になるわけではありません。
10年保証でも対象外になる故障
設備保証では、一般的に自然故障が対象とされます。
次のようなケースは、保証対象外となる可能性があります。
- 経年劣化
- パッキンやフィルターなど消耗品の交換
- 清掃や手入れ不足
- 使用方法の誤り
- 落下や衝撃による破損
- 地震・水害・落雷などによる故障
- 凍結による破損
- 指定外の部品を使用した修理
- 他社が分解・修理した後の不具合
- 説明書に反した使い方
保証期間中であっても、不具合の原因によっては有償修理になります。
「設計上の標準使用期間10年」は10年保証ではない
住宅設備には、「設計上の標準使用期間10年」などと表示されている場合があります。
これは、標準的な条件で使用した場合に、安全上支障なく使用できる期間の目安です。
10年間無料で修理してもらえる保証期間を意味するものではありません。
「標準使用期間」「耐用年数」「部品保有期間」「無料保証期間」は、すべて別のものです。
数字だけを見て混同しないようにしてください。
修理できなければ新品へ無料交換される?
保証期間中に修理できない場合でも、必ず最新設備へ無料交換されるとは限りません。
保証制度によって、
- 代替部品で修理する
- 同等品へ交換する
- 修理費の上限まで負担する
- 新しい設備との差額を所有者が負担する
- 部品がなく保証対象外になる
など、対応が異なります。
また、設備本体が保証されても、取り外し、取付工事、配管変更、内装補修などの費用が別途必要になる場合があります。
故障したときの連絡先にも注意
住宅会社独自の設備保証を利用する場合、最初に住宅会社の受付窓口へ連絡することが条件になっている場合があります。
所有者が住宅会社へ連絡せず、直接メーカーや修理業者へ依頼すると、保証対象外になる可能性があります。
故障した場合は、次の順番を確認しておきましょう。
- 住宅会社へ連絡する
- 保証対象か確認する
- 指定された修理業者へ依頼する
- 修理内容と費用負担を書面で確認する
緊急時の連絡先も、引き渡し時に確認しておく必要があります。
契約前に設備ごとの一覧を確認する
住宅会社へ、次の質問をしてください。
- キッチン本体は何年保証ですか
- 水栓、食洗機、IH、レンジフードも同じ期間ですか
- トイレの便器と温水洗浄便座は何年保証ですか
- メーカー保証終了後は誰が保証しますか
- 自然故障以外で対象外になるものは何ですか
- 消耗品はどこまで保証されますか
- 修理回数や金額に上限はありますか
- 修理できない場合は新品交換ですか
- 交換工事費や配管工事費も対象ですか
- 故障時はどこへ連絡すればよいですか
「住宅設備10年保証」という一行だけでは、実際の内容は分かりません。
設備名、対象部品、保証期間、免責事項を一覧表で確認してください。
建物の60年保証は、住宅設備の60年保証ではありません。
キッチンやトイレは毎日使い、建物の構造より早く故障や交換時期を迎える可能性が高い部分です。
家の保証を比較するときは、構造・防水の保証だけでなく、住宅設備が何年間、どの条件で保証されるかまで確認してください。
大きな「60年」より、毎日使う設備の「何年保証か」を確認することが、実際の修理費を抑えることにつながります。
デザインハウス甲府
代表 深澤敏仁
※大和ハウスは、指定する住宅設備7品目の自然故障について、引き渡しから10年間の保証制度を公表しています。大和ハウス「住宅設備10年保証制度」
※ヘーベルハウスは、構造・防水の最長60年保証とは別に、キッチンやトイレなど主要住宅設備の10年保証を公表しています。ヘーベルハウス「長期保証とサービス」
※TOTOは、設計上の標準使用期間と無料修理の保証期間は異なると説明しています。TOTO「設計上の標準使用期間10年は10年保証か」










