諸費用が一式200万円と書かれていても、その数字だけでは高いか安いか判断できません。税金や登記、融資手数料、保険、申請費など、何を含めた呼び名なのかが会社によって違うためです。同じ項目名を比べる前に、最終的に家計から出るお金をそろえる必要があります。
見積もりで確認したいのは、項目、支払先、算定根拠、支払時期、確定か概算かの五つです。「皆さんこれくらいです」という説明では、自分の計画に必要な費用か分かりません。住宅会社の見積もりに入っていなくても、後で自分が払うお金なら総額へ加えてください。
「一式」の中に、性質の違うお金がある
諸費用には、公的な税金や手数料、司法書士等への報酬、金融機関の手数料、保険料、住宅会社が行う手続きの費用などが入り得ます。それぞれ料金の決まり方も、見直せる余地も違います。全部を同じように値引きできるお金として扱わないことです。
例えば、登記費用とだけ書いてある場合には、登録免許税などの実費と、専門家の報酬、書類取得費等の内訳を確認します。建物の表題登記、保存登記、抵当権設定など、対象手続きも異なります。既存建物の滅失や相続登記が別に必要なら、それも計画に入れます。
東京都の購入計画の案内でも、登記、保険、ローン関係費用、税金、引越し、照明や家具など、取得価格以外の支出への注意を挙げています。すべてを必ず住宅会社へ払うわけではありませんが、自己資金から出る支出として見る必要があります。[31]
会社の事務代行費が含まれる場合は、何の申請や調整を行う対価かを聞きます。専門家や金融機関への支払いを立て替える分と、会社の業務に対する料金を分けてもらえば、同じ手続きを二重に払っていないかも確認しやすくなります。
含まれる範囲をそろえると、安さが逆転することもある
仮にA社の諸費用が150万円、B社が200万円だったとします。A社には融資手数料60万円と火災保険料20万円が入っておらず、B社には含まれているなら、同じ範囲へそろえたA社は230万円です。これは説明用の仮定ですが、見出しの差50万円だけでは判断できません。
比較表には、会社へ払うか自分で払うかにかかわらず、必要な項目を一度ずつ載せます。「施主負担」と書かれている項目は、無料という意味ではありません。金額が未確認ならゼロにせず、誰に見積もりを取り、いつまでに確定するかを記入します。比較する一覧では、住宅会社に支払うお金と、納付先へ直接払うお金を色分けしてもよいでしょう。ただし、片方を総額の欄から落とさないことです。契約金に含めた費用を、自分で払う項目にも再度載せると二重計上になるので、領収や精算の経路まで確認します。
税込と税別が混在していないかも確認します。税金そのものと課税される報酬を、まとめて同じ消費税率で計算しないようにします。見積もりの表示を統一してもらい、総額に二重加算や加算漏れがないかを見ます。
住宅ローンの費用は、銀行の資料で照合する
住宅会社が融資費用を見込んでいても、実際の条件は金融機関の商品と審査によります。銀行の公式な商品概要や費用見積もりを取り、融資手数料、保証料、契約関係費用、抵当権設定費などを照合します。提携先というだけで、手数料が一律になるわけではありません。
例えばフラット35では、保証料は不要でも、融資手数料や物件検査手数料は必要で、取扱金融機関や検査機関によって異なります。「保証料ゼロ」を、借入れの諸費用が全部ゼロと受け取らないでください。商品の特徴は費用全体で確認します。[35]
借入額に比例する手数料なら、最終の借入額が増えれば費用も変わる可能性があります。団信の保障を変更したときの金利、つなぎ融資の利息、実行までの期間も確認します。最初の概算を、契約直前まで更新しないまま使わないことです。
いつ払うかまで見ないと、資金が足りなくなる
総額として借入れに含められる費用でも、支払う時点では融資金を受け取っていないことがあります。契約時、着工時、引渡し時、その後の納付というように、支払いを時系列に並べてください。借りられることと、その日に現金があることは別です。
仮に自己資金が300万円あり、契約金200万円を払った後、融資実行前に設計・申請・保険等で120万円必要なら、一時的に20万円不足します。これは仮定例ですが、全体予算が合っていても、入出金の順序で困ることを示しています。つなぎ融資を使うなら、その費用も追加します。
建て替えでは、仮住まいや引越しの支払いも同時期に重なります。住宅会社へ渡す金額だけを資金繰り表に載せると、家計側の支出が抜けます。生活費や医療費の口座まで使い切らないよう、建築に使う現金の上限を分けておきます。
概算分の精算と、書類の受け取り方を決める
概算で預ける実費がある場合は、実額との差額をどう精算するかを確認します。最終的な納付書、領収書、専門家の請求書など、確認に使う書類も聞きます。固定の業務料金と、実費精算する項目を区別しておくと、後で不要な行き違いを減らせます。
担当者への質問は「一式を全部値引きしてください」より、「項目ごとの支払先と計算根拠、別途になる費用を示してください」のほうが具体的です。内容が分かった後なら、自分で手配できるもの、保障内容を見直すもの、変更すべきでない手続きを判断できます。
最後に、最終資金計画書と各請求書を照合します。金額が増えた項目には理由を、減った項目には反映先を確認します。新居で生活を始めてから届く納付や請求があるかも聞いておけば、引渡しの日にすべてのお金の支払いが終わると思い込まずに済みます。
税金の軽減や補助金を見込む場合も、適用条件、申請主体、時期を調べます。後で還付や交付を受けるものなら、支払日にそのお金を使えるとは限りません。決定していない給付を諸費用から差し引くのではなく、いったん必要な支払いを計上し、受取見込みを別に管理します。
諸費用の安さは、一式の数字ではなく、必要な手続きを含めた総額で判断します。項目、支払先、根拠、時期が見えれば、正当に必要なお金と見直せるお金を分けられます。説明のつかない部分を残さず、入居後の現金まで含めて資金計画を完成させてください。










