Q. なぜ他人と比較すると苦しくなるのか?
A. 家ではなく、収入や暮らし、人生そのものを比べてしまうからです
家づくりを始めると、友人の家やSNSに投稿された家が気になります。
「あの人の家は広い」
「もっと豪華なキッチンにすればよかった」
「自分たちの家は普通すぎる」
そう感じることがあります。
しかし、見えているのは完成した家だけです。
その人の収入、親からの援助、土地代、住宅ローン、毎月の返済額、貯金、教育費までは見えません。
条件が違うのに、完成した家だけを比べれば、自分たちの家が劣っているように感じてしまいます。
他人の家は見えても、他人の住宅ローンは見えません。
比較して苦しくなるのは、家の優劣ではなく、自分の人生まで否定されたように感じるからです。
SNSに映るのは暮らしの一部分だけ
InstagramやYouTubeには、おしゃれな住宅が数多く投稿されています。
しかし、SNSに映るのは、その家で最もきれいな場所、最も明るい時間、最も整えられた瞬間です。
映りにくいのは、次のような部分です。
- 毎月の住宅ローン返済額
- ボーナス払い
- 親から受けた資金援助
- 建築後に残った預金
- 固定資産税
- 冷暖房費
- 住宅のメンテナンス費
- 教育費との両立
- 夫婦のお金に対する不安
- 実際の室温や住み心地
3,000万円の家を見ても、土地を相続しているのか、土地代から支払っているのかで負担はまったく違います。
同じように見える家でも、世帯年収600万円の家庭と1,000万円の家庭では、安全に返済できる金額も違います。
見えている結果だけを比べても、本当の比較にはなりません。
比較には終わりがない
3,000万円の家を建てれば、4,000万円の家が気になります。
4,000万円の家を建てても、次は5,000万円の家が目に入ります。
家の広さも同じです。
30坪の家を建てれば35坪が広く見え、35坪を建てれば40坪の家が気になります。
設備も、キッチンも、外壁も、家具も、上を見れば終わりがありません。
比較を基準に家を建てると、どこまでお金を使っても満足できなくなります。
家づくりの目的が「家族が幸せに暮らすこと」から、「誰かに負けない家を建てること」へ変わってしまうからです。
他人との比較が予算オーバーを起こす
他人の家を見て、次のような変更をしたくなることがあります。
- LDKを2坪広げる
- キッチンを上位商品へ変更する
- 大きな吹き抜けをつくる
- タイル外壁を採用する
- 造作洗面台を追加する
- 大型の窓を増やす
- 間接照明や下がり天井を追加する
- 使う予定のない和室をつくる
一つひとつは魅力的でも、積み重なれば数百万円の増額になります。
例えば500万円を住宅ローンへ追加した場合、金利1.5%、35年返済、ボーナス払いなしなら、毎月の返済は約1万5,300円増えます。
総返済額は約643万円です。
友人の家に近づくための500万円が、将来の家計から約643万円を奪うことになります。
年間では約18万円です。
10年間なら約184万円です。
そのお金があれば、家族旅行、子どもの教育、車の買い替え、老後資金など、別の選択肢を残せます。
SNSで数秒見た設備のために、35年間の返済を増やす必要があるのか。
契約前に一度、冷静に考えるべきです。
広い家が幸せとは限らない
広い家には開放感があります。
一方で、広くするほど次の負担が増える可能性があります。
- 建築費
- 固定資産税
- 冷暖房費
- 掃除の負担
- 外壁や屋根の修繕費
- 将来使わなくなる部屋
- 土地や外構に必要な費用
子ども部屋を必要以上に広くしても、子どもが独立すれば使わなくなるかもしれません。
来客用の和室をつくっても、年に数回しか使わない可能性があります。
家の価値は、坪数や部屋数では決まりません。
必要な場所へ必要な広さを配分し、使わない面積を減らした家の方が、建築後の負担を抑えられます。
「小さい家」ではなく、「無駄を削った家」と考えるべきです。
豪華な設備が暮らしを豊かにするとは限らない
高級キッチン、タイル、造作家具、間接照明などは、見た目の満足感を高めてくれます。
しかし、毎日の暮らしで本当に重要なのは、見た目だけではありません。
- 冬の朝も寒くない
- 夏の夜も眠りやすい
- 部屋ごとの温度差が小さい
- 結露やカビが発生しにくい
- 地震に強い
- 光熱費を抑えられる
- 住宅ローンに追われない
SNSでは、断熱材や構造計算、気密施工は映えません。
完成すれば壁の中へ隠れてしまうからです。
しかし、家族の安全、健康、光熱費に影響するのは、見えない部分です。
予算が限られているなら、他人から褒められる設備より、家族を守る基本性能を優先してください。
デザインハウス甲府では、耐震等級3を許容応力度計算で確認し、断熱等級6、UA値0.46以下、全棟気密測定、C値0.7以下を基準としています。
見た目だけでは比較できない性能を、数値と検査で確認することが重要です。
「参考にすること」と「比較すること」は違う
他人の家を見ること自体が悪いわけではありません。
使いやすい収納、家事動線、窓の位置などを参考にすることは、失敗を防ぐために役立ちます。
ただし、参考と比較は分けて考えてください。
参考にする見方
- この動線は自分たちにも必要か
- この収納は毎日使いやすいか
- 掃除やメンテナンスは簡単か
- 自分たちの予算内で採用できるか
- 10年後も必要だと思えるか
苦しくなる比較
- 友人より大きな家にしたい
- SNSより豪華にしたい
- 普通の家だと思われたくない
- 安い家を建てたと思われたくない
- 来客に褒められる家にしたい
参考の目的は、暮らしを改善することです。
比較の目的は、他人からの評価を得ることです。
この違いを意識するだけでも、不要なオプションや予算オーバーを減らせます。
自分たちの家づくりの基準を決める
他人の家に振り回されないためには、最初に家族の基準を決めてください。
おすすめは、次の5項目です。
1. 安全な総予算
銀行が貸してくれる金額ではなく、教育費や老後資金を守りながら返済できる総額を決めます。
土地、建物、付帯工事、外構、諸費用まで含めて考えます。
2. 建築後に残す現金
頭金やオプションに預金を使い切ってはいけません。
病気、収入減、車の買い替え、家電の故障などに備える現金を残します。
3. 必要な広さ
「何坪欲しいか」ではなく、誰が、どの部屋を、何年使うのかを考えます。
使わない廊下や来客室を減らせば、家はコンパクトでも暮らしやすくできます。
4. 削ってはいけない性能
耐震、断熱、気密、換気、防水など、完成後に簡単に直せない部分を優先します。
内装や設備は将来交換できますが、壁の中の性能を後から変えるには多額の費用がかかります。
5. 家を建てた後にしたいこと
- 家族旅行へ行きたい
- 子どもの進学を応援したい
- 趣味を続けたい
- 車を買い替えたい
- 老後資金を準備したい
家を建てる目的は、家のために生活を犠牲にすることではありません。
建てた後の人生を豊かにすることです。
迷ったときの5つの質問
SNSや友人の家を見て設備を追加したくなったら、次の質問をしてください。
- これは家族が本当に必要としているか
- 誰が、いつ、何年使うのか
- 採用すると総額はいくら増えるか
- 住宅ローンの総返済額はいくら増えるか
- 採用しなかった場合、本当に暮らしに困るか
「他人の家にあったから」という理由しか残らなければ、その設備は一度外した方がよいでしょう。
必要な設備は、SNSを見なくても必要です。
見た瞬間だけ欲しくなった設備は、暮らしではなく感情が求めている可能性があります。
家づくりの成功を数字だけで決めない
建築費4,000万円、延床40坪だから成功とは限りません。
反対に、2,000万円台、24坪の平屋だから失敗ということもありません。
家づくりの成功は、次のような暮らしで判断するべきです。
- 家族が安心して眠れる
- 冬も暖かく過ごせる
- 家事の負担が減った
- 住宅ローンを無理なく返済できる
- 教育費を確保できる
- 家族旅行や趣味を続けられる
- 建てた後も預金が残っている
- 10年後もこの家で良かったと思える
他人から「すごい家ですね」と言われることより、家族が「この家は暮らしやすい」と感じることの方が重要です。
俺流結論
他人と比較すると苦しくなるのは、比べているのが家だけではないからです。
広さ、設備、価格を通して、収入や生活、人生まで比較してしまいます。
しかし、他人の家は見えても、他人の住宅ローン、預金、親からの援助、教育費、将来への不安は見えません。
見えている一部分だけで、自分たちの暮らしを否定する必要はありません。
家づくりは競争ではありません。
友人より広い家を建てることでも、SNSで注目されることでもありません。
昨日までの暮らしより、暖かく、安全で、家事がしやすくなり、住宅ローンに追われず家族が笑って暮らせる。
それが家づくりの成功です。
他人の家より良いかではなく、自分たちの人生に合っているかで決めてください。










