住宅会社が見るのは「住宅ローンを借りられるか」。しかし、家族が本当に確認すべきなのは「子どもの教育費と生活防衛資金を残したまま、最後まで返し続けられるか」です。
今回のモデルは、夫35歳・妻33歳・子ども7歳と4歳の4人家族。世帯年収は税込900万円、新築総額は土地・建物・付帯工事・外構・諸費用を含めて3,600万円です。頭金700万円を入れ、2,900万円を30年で借りた場合、金利が1.5%から2.0%、さらに2.5%へ上昇しても、夫65歳で完済できるのかを検証しました。
結論は「A:現計画で進行可能」です。ただし、これは大学・短大・専門学校の費用を0円としている範囲での判定です。借りられるからAなのではありません。建築後に預金900万円を残し、既存借入がなく、繰上返済をしなくても65歳で住宅ローンが終わること。この3点がA判定の根拠です。
1.広告価格ではなく「住み始めるまでの総額」で判定
土地代900万円、土地・造成・地盤関係費200万円、建物本体2,100万円、付帯工事・外構・登記・諸費用400万円。合計は3,600万円です。頭金700万円を差し引いた住宅ローン借入額は2,900万円で、入力値に不一致はありません。
住宅広告の「建物価格」だけで判断すると、土地関係費や付帯工事、外構、登記、融資諸費用が後から加わります。このシミュレーションでは最初から総額で判定するため、「契約後に予算が膨らむ」問題を避けられます。
2.頭金を払った後に、現金はいくら残るのか
預金1,600万円から頭金700万円を支払うと、建築後に残る預金は900万円です。最低限残したい現金700万円を200万円上回ります。投資資産300万円は売却せず、頭金にも生活防衛資金にも自動的に充当していません。建築後の金融資産は、預金900万円と投資資産300万円を合わせて1,200万円です。
ただし、医療予備費250万円が「最低現金700万円に含まれるのか」「700万円とは別に確保するのか」は契約前に確認が必要です。別枠で確保するなら必要な現金は950万円となり、現在の計画では50万円不足します。その場合は頭金を700万円から650万円へ下げるなど、手元資金を守る調整が必要です。
3.金利が上がっても、夫65歳で完済
住宅ローンは元利均等返済、ボーナス返済なし。最初の5年間は年1.5%で月10万85円、6年目から年2.0%で月10万6,070円、11年目以降は年2.5%で月11万1,107円です。金利変更時には、その時点の残高と残存期間から返済額を再計算しています。
30年間の総返済額は約3,903万5,000円、総利息は約1,003万5,000円。繰上返済を一度もしなくても夫65歳で完済し、70歳時点の残高は0円です。そのため、70歳完済のために必要な追加返済額、月額積立額、一時繰上返済額、建築総額の減額はいずれも0円です。
現在の家賃9万円は新築後に終了するため、住宅ローン返済と二重に計上していません。当初の住宅ローン返済は家賃より月1万85円高く、11年目以降は月2万1,107円高くなります。ここに固定資産税、火災・地震保険、将来の修繕積立を加えて、手取り収入で最終確認する必要があります。
4.教育費のピークは夫43歳から45歳
教育費は、文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」の2026年1月16日訂正版を使用しています。公立の年間学習費総額は、幼稚園18万4,646円、小学校36万6,599円、中学校54万2,450円、高校59万6,954円です。
子どもの現在学年が未確認のため、年齢帯による簡易モデルで計算しました。教育費のピークは夫43歳から45歳、妻41歳から43歳。第一子が高校相当、第二子が中学校相当となる期間で、物価上昇率0.8%を加味すると、年間約121万4,000円から123万4,000円です。
現在から第二子の高校卒業までの教育費は、物価調整後で約1,186万4,000円です。文科省の学習費総額には学習塾や習い事などの学校外活動費が含まれるため、入力された年間40万円をさらに加算していません。
そして最も重要なのは、大学・短大・専門学校の費用を一切計上していないことです。今回のA判定は「公立高校卒業まで」の範囲に限られます。
5.光熱費削減分を全額返済すれば、約4年7か月短縮
現在の光熱費は年間38万円、新築後の予測は年間18万円。年間20万円の削減分を専用口座に積み立て、50万円に達するたびに期間短縮型の繰上返済を行うと、繰上返済は9回、累計450万円になります。
この場合、完済は夫60歳5か月、総利息は約804万6,000円。通常返済と比べて約4年7か月早く終わり、利息は約198万9,000円減ります。
ただし、光熱費削減額は保証値ではありません。また、教育費のピーク中に現金を住宅ローンへ戻してしまうと、大学進学や急な支出に対応できなくなる恐れがあります。利息約199万円を減らすために、教育資金の安全性を下げる必要はありません。
6.おすすめは「今は繰上返済を約束しない」
この家族は通常返済だけで65歳に完済できます。したがって、教育費ピーク中は年間20万円の光熱費削減分を現金で積み立て、大学進学方針と必要額が確定した後、余った資金だけで繰上返済を再計算するのが安全です。
早く返すことが正解なのではありません。教育費、生活防衛資金、老後資金を守ったうえで返し切ることが正解です。
文部科学省「結果の概要-令和5年度子供の学習費調査」2026年1月16日訂正版
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/mext_00002.html






















