なぜ私は家庭(家)を売るのか
第35話 山梨県で「断熱等級6」だけを信じてはいけない――同じ等級でも、同じ家ではありません
こんにちは。
デザインハウス甲府の深澤敏仁です。
前回は、甲府盆地の暑い夏を快適に暮らすためには、高断熱だけではなく、窓、日射遮蔽、気密、冷房計画まで考える必要があるというお話をしました。
今回は、もう一歩踏み込みます。
最近、住宅広告や住宅会社のホームページで、
「断熱等級6」
という言葉を見る機会が増えました。
住宅性能に関心を持つ方が増えたこと自体は、とても良いことだと思っています。
しかし私は、
「断熱等級6だから暖かいですよ」
「断熱等級6だから高性能住宅です」
この一言だけで住宅を判断してほしくありません。
なぜなら、
同じ断熱等級6でも、実際の家は同じではないからです。
【結論】断熱等級6は重要。でも、それだけでは家の快適性は決まりません
山梨県で高断熱住宅を検討するなら、断熱等級だけでなく、少なくともUA値、C値、窓性能、日射取得・遮蔽、換気、施工精度、冷暖房計画まで確認してほしいと思います。
断熱等級6は大切な基準です。
しかし、
「等級6=必ず暖かい家」ではありません。
まして、
「等級6なら、どの住宅会社で建てても同じ」
ではありません。
家族が実際に暮らすのは、
「等級」という言葉の中ではなく、
現場で完成した一棟の家だからです。
住宅性能が「キャッチコピー」になっていないか
私は最近、少し気になっていることがあります。
以前の住宅広告は、
「月々○万円」
「坪単価○万円」
「豪華設備標準」
といった価格や設備の訴求が中心でした。
しかし住宅性能への関心が高まるにつれ、
今度は、
「ZEH」
「高性能住宅」
「断熱等級6」
といった言葉そのものが広告コピーとして使われるようになりました。
もちろん悪いことではありません。
問題は、
その言葉の意味をきちんと説明しているか
です。
「断熱等級6です」
と言われたら、
そこで安心してしまうのではなく、
もう一歩聞いてほしいのです。
「UA値はいくつですか?」
「その数字は一棟ごとに計算していますか?」
「C値はいくつですか?」
「気密測定は実際の建物で行いますか?」
ここまで聞くと、
その住宅会社がどこまで性能を考えているのかが少しずつ見えてきます。
UA値が同じでも、暮らし方まで同じにはならない
UA値は住宅の断熱性能を考える上で重要な指標です。
私も重視しています。
しかし、
UA値だけですべてが決まるわけではありません。
例えば同じようなUA値の住宅でも、
窓の配置が違う。
窓の大きさが違う。
日当たりが違う。
周囲の建物が違う。
間取りが違う。
換気設備が違う。
気密性能が違う。
冷暖房計画が違う。
当然、実際の暮らし方にも違いが出ます。
山梨県内でも同じです。
甲府市と北杜市。
甲斐市と富士吉田市。
同じ山梨県というだけで、
すべて同じ条件として考えることはできません。
さらに甲府市内であっても、
南側が大きく開けている土地と、
隣家が近い土地では、
冬の日射取得は違います。
だから住宅性能とは、
一つの数字だけを見るのではなく、
その土地に建つ家全体で考えるもの
だと思っています。
C値を測らなければ、実際の隙間は分からない
ここで私は、もう一度C値についてお話ししたいと思います。
C値は住宅の気密性能を示す指標です。
簡単に言えば、
家にどれくらい隙間があるのかを見る数字です。
ここで重要なのは、
C値は実際に建てた住宅で測定するということです。
設計図を見て、
「この仕様ならC値はこれくらいでしょう」
ではありません。
実際の建物で測ります。
私はここに大きな意味があると思っています。
住宅は工場で完全に完成して運ばれてくる商品ではありません。
現場で多くの職人さんがつくります。
どれだけ良い断熱材を使っても、
施工が悪ければ期待した性能を発揮できない可能性があります。
だから、
設計上の性能だけではなく、
実際に建った家を確認する。
私はそれが大切だと思っています。
デザインハウス甲府で全棟気密測定を行う理由もそこにあります。
「高気密住宅です」
と言うだけではなく、
測る。
そして数字で確認する。
それがお客様に対する責任だと思うからです。
断熱材の厚さだけでも決まらない
住宅会社によっては、
「断熱材を○mm入れています」
という説明をすることがあります。
これも重要な情報です。
しかし、
断熱材が厚ければ、それだけで良い家になるわけではありません。
どんな断熱材を、
どこに、
どのように施工するのか。
熱橋をどう考えるのか。
窓はどうするのか。
気密はどうするのか。
換気はどうするのか。
住宅は全部つながっています。
私は家づくりを、
カタログスペックの足し算だとは思っていません。
断熱材。
窓。
換気。
エアコン。
太陽光。
それぞれ高性能な商品を選べば、
自動的に良い家が完成するわけではありません。
家全体として機能して初めて意味があります。
なぜ私は「数字」を公開したいのか
私は住宅性能について、
できるだけ数字でお伝えするようにしています。
理由があります。
「暖かいですよ」
「高性能ですよ」
「快適ですよ」
これらは全部、住宅会社の感想だからです。
私は、
お客様に住宅会社の言葉だけを信じて家を買ってほしくありません。
確認できるものは確認する。
比較できるものは比較する。
そして最後は、
お客様自身が納得して判断する。
それで良いと思っています。
数千万円の買い物です。
住宅会社に遠慮する必要はありません。
分からなければ聞けばいい。
数字を見せてもらえばいい。
それでも分からなければ、
「分かるように説明してください」
と言えばいいのです。
それに答えることが住宅会社の仕事です。
ただし「数字競争」にも私は賛成しません
ここまで数字の話をしておいて、
少し矛盾して聞こえるかもしれません。
私は、
住宅性能の数字だけを競うことにも賛成していません。
C値が0.4だから勝ち。
0.5だから負け。
UA値が少し低いから優秀。
そんな単純な話ではないと思っています。
住宅性能には、
必要な水準があります。
しかし最終目的は、
住宅性能選手権で優勝することではありません。
家族が幸せに暮らすことです。
性能を極端に上げるために、
予算を何百万円も追加する。
その結果、
住宅ローンが苦しくなる。
子どもの教育費を削る。
老後資金が減る。
それでは私は本末転倒だと思います。
性能も大切。
お金も大切。
家族との時間も大切。
そのバランスを取ることこそ、
本当の住宅設計ではないでしょうか。
山梨県だからこそ「冬と夏」の両方を見る
山梨県の住宅では、
冬だけ考えれば良いわけではありません。
夏だけでもありません。
冬の寒さ。
夏の暑さ。
両方があります。
冬の日射は取り込みたい。
しかし夏の日射は遮りたい。
冬は熱を逃がしたくない。
夏は余計な熱を入れたくない。
そのためには、
断熱等級という一つのラベルだけではなく、
家全体を見る必要があります。
私は、
山梨県で家を建てるなら、
地域の気候を理解している住宅会社かどうか
も確認してほしいと思っています。
全国共通の商品説明だけではなく、
「この土地ならどう考えるのか」
を説明してくれる会社です。
私が断熱等級6にこだわる本当の理由
デザインハウス甲府でも、
断熱等級6を一つの基準として考えています。
しかし、
「等級6という肩書き」が欲しいわけではありません。
私が欲しいのは、
その先にある暮らしです。
冬の朝、
子どもが寒さを我慢しなくていい。
夏の夜、
暑くて眠れないということを減らしたい。
家族が快適に暮らせる。
そして冷暖房費の負担もできるだけ抑える。
私はそのために断熱性能が必要だと思っています。
性能の主役は住宅会社ではありません。
その家で暮らす家族です。
そこを忘れてはいけないと思っています。
【この記事の答え】断熱等級6なら安心ですか?
私の答えは、
「断熱等級6は重要です。しかし、それだけでは判断しません」
です。
住宅会社に確認してほしいことがあります。
断熱等級はいくつなのか。
UA値はいくつなのか。
C値は測るのか。
窓はどう考えているのか。
冬の日射取得はどうするのか。
夏の日射遮蔽はどうするのか。
換気はどうするのか。
冷暖房はどう計画するのか。
そして、
その性能にいくらかかるのか。
ここまで聞いてください。
住宅性能と住宅価格を切り離して考えてはいけません。
家を建てる目的は、
最高スペックの家を所有することではありません。
その家で、
家族が安心して暮らすことです。
だから私は、
断熱等級6を売りたいのではありません。
UA値を売りたいのでもありません。
C値を売りたいのでもありません。
その性能によって守られる、
家庭(家)を売りたい。
私はそう思っています。
おわりに
家づくりとは、
建物をつくることではありません。
家族の未来をつくることです。
だから私は、
今日も家ではなく、
家庭(家)を売っています。
デザインハウス甲府
深澤敏仁










