記事要約
夫55歳・妻49歳、預金800万円、退職金なしの夫婦が、20坪・2LDK、総額2,600万円の建て替えを検討したモデル事例です。希望どおり月返済を約8万円に抑えることはできますが、完済は夫80歳。生活費を月22万円のまま続けると、90歳までに約1,706万円の追加調整が必要になります。建築総額を2,150万円へ調整し、生活費を現役月20万円・老後月18万円へ再設計することで、夫75歳完済、90歳時点約263万円を目指します。
55歳・退職金なしで月8万円以内の建て替え|総額を450万円調整し、75歳完済を目指した事例
「退職金はありません。預金も800万円です。それでも、住宅ローンを月8万円以内に抑えれば建て替えられますか?」
50代・60代の建て替えでは、住宅ローンの毎月返済額だけに目が向きがちです。
しかし、月返済額が低ければ、必ず老後も安心できるとは限りません。返済期間を長くすれば月返済額は下がりますが、退職後も住宅ローンが続く可能性があるからです。
今回ご紹介するのは、夫55歳・妻49歳、預金800万円、夫婦ともに退職金なしのモデル事例です。
結論:条件を3つ整えれば、建て替えの可能性があります
希望する建て替え総額2,600万円をそのまま採用し、預金から600万円を使って住宅ローンを2,000万円にすると、変動金利1.5%・25年返済で月返済額は約8.0万円です。
「希望どおり月8万円以内だから大丈夫」と思えますが、完済は夫80歳です。
さらに、現在も老後も生活費を月22万円とし、物価上昇、車の買い替え、修繕費、医療・介護費を加えると、80歳頃から金融資産が不足し、90歳までに約1,706万円の追加調整が必要になる試算です。
そこで、おすすめ標準案では次の3点を整えます。
- 建て替え総額を2,600万円から2,150万円へ450万円調整
- 現在の生活費を月22万円から月20万円へ調整
- 老後の生活費を月22万円から月18万円へ調整
その結果、次の計画になります。
- 建て替え総額:2,150万円
- 延床面積・間取り:18坪・2LDK
- 建築時の自己資金:500万円
- 住宅ローン:1,650万円
- 金利・返済期間:変動1.5%・20年
- 毎月返済額:約8.0万円
- 建築後に残す現金:300万円
- 完済年齢:夫75歳
- 90歳時点の予想残高:約263万円
退職金がないから建て替えられないのではありません。
「月いくら払えるか」だけではなく、「何歳で完済し、老後の生活費をいくらにするか」まで同時に設計する必要があります。
今回のご夫婦の相談条件
| 項目 | モデル条件 |
|---|---|
| 年齢 | 夫55歳・妻49歳 |
| 現在の税込年収 | 夫450万円・妻103万円 |
| 夫の65歳以降の税込年収 | 400万円 |
| 夫の就労予定 | 75歳まで |
| 妻の就労予定 | 65歳まで |
| 現在の預金 | 800万円 |
| NISA・株・投資信託 | なし |
| 現在の住宅ローン | なし |
| 夫婦の退職金 | ともになし |
| 夫の年金 | 65歳から月7万円 |
| 妻の年金 | 65歳から月7万円 |
| 希望する建物 | 20坪・2LDK |
| 建物本体価格 | 2,000万円 |
| 解体などの費用 | 600万円として暫定計算 |
| 建て替え総額 | 2,600万円 |
| 希望月返済額 | 8万円以内 |
| 現在・老後の生活費 | 月22万円 |
| 車の買い替え | 夫59歳時に150万円 |
入力欄の「解体などを含む総額600万円」は、建物本体2,000万円とは別に、解体、仮住まい、往復引越し、外構、登記などが600万円かかるものと解釈し、建て替え総額を2,600万円として暫定計算しています。
月8万円に抑えられても、なぜ安心できないのか
住宅ローン2,000万円を変動金利1.5%で借りる場合、25年返済なら月返済額は約8.0万円です。
月8万円という希望は守れます。
しかし、夫55歳から25年返済すると、完済は80歳です。夫は75歳で仕事を辞める予定なので、75歳から80歳までの5年間は、年金から住宅ローンを返すことになります。
夫婦の年金予定額は、それぞれ月7万円、合計月14万円です。試算では税金や社会保険料などを考慮し、夫婦合計の手取り相当額を月約12.6万円としました。
一方、希望する老後生活費は月22万円です。
住宅ローンがなくても、年金と生活費には毎月約9.4万円の差があります。さらに物価上昇、修繕費、医療・介護費も加わります。
本当の問題は、住宅ローンの月額だけではありません。
75歳以降の年金収入と生活費の差を、何で埋めるかが最大の課題です。
3つの建て替え案を比較
| 比較項目 | 希望優先案 | おすすめ標準案 | 安全重視案 |
| 建て替え総額 | 2,600万円 | 2,150万円 | 2,000万円 |
| 延床面積・間取り | 20坪・2LDK | 18坪・2LDK | 17坪・1LDK |
| 自己資金 | 600万円 | 500万円 | 500万円 |
| 住宅ローン | 2,000万円・25年 | 1,650万円・20年 | 1,500万円・20年 |
| 毎月返済額 | 約8.0万円 | 約8.0万円 | 約7.2万円 |
| 建築後の現金 | 200万円 | 300万円 | 300万円 |
| 現役生活費 | 月22万円 | 月20万円 | 月20万円 |
| 老後生活費 | 月22万円 | 月18万円 | 月18万円 |
| 完済年齢 | 夫80歳 | 夫75歳 | 夫75歳 |
| 90歳時点 | 約1,706万円の追加調整 | 約263万円 | 約437万円 |
希望優先案:20坪・2LDKと月8万円を守る
希望優先案は、総額2,600万円、20坪・2LDKをそのまま採用する案です。
預金800万円から600万円を自己資金として使い、住宅ローンは2,000万円。月返済額を8万円以内にするため、返済期間を25年にします。
建築後に残る現金は200万円です。
希望する建物と月返済額は守れますが、完済は夫80歳。生活費月22万円を維持すると、80歳頃から資金不足が始まり、90歳までに約1,706万円の追加調整が必要になります。
希望を否定するのではなく、次のいずれかを組み合わせて再設計します。
- 建築総額を下げる
- 現在の生活費を見直す
- 老後生活費を見直す
- 75歳以降の収入を確保する
- 正式な年金見込額を確認する
おすすめ標準案:450万円調整し、75歳完済を目指す
おすすめ標準案では、建て替え総額を2,600万円から2,150万円へ450万円調整します。
延床面積は20坪から18坪へ見直しますが、夫婦で暮らす2LDKは維持します。耐震、断熱、気密、換気など、完成後に変更しにくい性能は原則として削りません。
自己資金は500万円に抑え、建築後に現金300万円を残します。
住宅ローンは1,650万円、変動1.5%、20年返済。月返済額は約8.0万円で、夫が仕事を辞める75歳に完済します。
さらに、現役生活費を月20万円、老後生活費を月18万円へ調整すると、車の買い替え150万円、10年ごとの修繕費、医療・介護予備費300万円を含めても、90歳時点で約263万円を残す暫定計算です。
安全重視案:総額2,000万円、月返済約7.2万円
安全重視案では、建て替え総額を2,000万円まで抑えます。
延床面積は17坪、間取りは1LDKを想定。自己資金500万円、住宅ローン1,500万円、20年返済で、月返済額は約7.2万円です。
夫75歳で完済し、90歳時点の予想残高は約437万円です。
老後資金は厚くなりますが、2LDKを1LDKへ変更してよいかは、来客、収納、介護、夫婦それぞれの居場所を考えて判断する必要があります。
建築総額450万円は、どこで調整するのか
おすすめ標準案では、耐震性能や断熱性能を先に削るのではなく、次の順番で調整します。
| 調整項目 | モデル調整額 |
| 延床面積を20坪から18坪へ | 150万円 |
| 設備グレードとオプション | 100万円 |
| 外構工事の範囲・施工時期 | 70万円 |
| 解体・仮住まい・引越しの相見積もり | 80万円 |
| 造作家具・装飾・複雑な設計 | 50万円 |
| 合計 | 450万円 |
これは実際の見積額ではなく、調整方法を示すモデル例です。
土地条件、既存建物、アスベスト、地盤、外構範囲などによって金額は変わります。正式な建築総額は、建物本体だけでなく、解体、仮住まい、往復引越し、登記、測量、外構、住宅ローン諸費用まで確認して決めます。
生活費を月22万円から調整する理由
建築総額を下げるだけでは、老後の資金不足をすべて解消できません。
夫75歳以降の年金は、夫婦合計で月14万円です。手取り相当額を月約12.6万円とすると、生活費月22万円との差は約9.4万円あります。
そこで中心案では、生活費を次のように段階調整します。
- 現在から夫74歳まで:月22万円から月20万円
- 夫75歳以降:月22万円から月18万円
現役中は月2万円、年間24万円の調整です。老後は月4万円、年間48万円の調整になります。
ただし、生活費を無理に削ることが目的ではありません。
通信費、保険料、車の維持費、使っていない定額サービス、住宅ローン完済後に不要になる支出などを確認し、実際に月18万円で暮らせるかを家計明細から判断します。
月18万円が難しい場合は、建築総額をさらに調整する、65歳以降の年金額を再確認する、75歳以降の収入を確保するなど、別の方法と組み合わせます。
65歳以降も働く場合、年金は受け取れるのか
今回のモデルでは、夫は65歳から月7万円の年金を受け取りながら、74歳まで税込年収400万円で働く想定です。
2026年4月から、在職老齢年金で年金が減額になる基準額は、賃金と老齢厚生年金の合計で月65万円へ引き上げられました。
今回の入力額だけを単純に月額換算すると、給与約33.3万円と年金7万円の合計は約40.3万円です。そのため現行制度の基準額より低い計算ですが、賞与、老齢厚生年金の内訳、将来の制度変更などによって結果は変わります。
夫が実際に65歳になる時点の制度と、勤務先の社会保険加入条件を確認する必要があります。
年金月7万円は、必ず正式確認する
今回の試算で最も影響が大きいのは、夫婦それぞれの年金月7万円です。
夫は75歳まで働く予定なので、65歳以降の厚生年金加入や働き方によって、将来の年金額が変わる可能性があります。
日本年金機構の「ねんきんネット」では、今後の働き方や年金の受給開始年齢など、条件を変えて将来の年金見込額を試算できます。
年金が夫婦それぞれ月1万円増えるだけでも、老後の年間収入は合計24万円変わります。15年間では大きな差になります。
「だいたい月7万円」ではなく、夫婦それぞれの正式な年金見込額を確認してから最終判断します。
この試算で入れた将来支出
建て替え費用だけでなく、次の支出も計算に含めています。
- 車の買い替え:夫59歳時に150万円
- 建物修繕費:夫65歳・75歳・85歳時に各100万円
- 医療・介護予備費:夫80歳時に300万円
- 物価上昇率:年1.2%
- 投資運用益:0%
金利上昇リスクは、今回の希望条件に従い計算へ入れていません。
変動金利1.5%が20年間変わらないことを保証するものではありません。正式相談では、金利が上昇した場合の返済額も別に確認することをおすすめします。
次回までに確認する資料
- 夫婦の源泉徴収票または給与明細
- 夫65歳以降の雇用条件と給与
- 夫婦それぞれの年金見込額
- 預金800万円の残高
- 建物本体2,000万円の見積書
- 解体、仮住まい、往復引越し、外構など600万円の内訳
- 固定資産税、火災保険、生命保険などの年間固定費
- 住宅ローンの事前審査結果
- 金融機関の完済時年齢と団体信用生命保険の条件
今回の試算は金融機関の融資承認を保証するものではありません。
よくある質問
55歳で2,000万円の住宅ローンは組めますか?
55歳という年齢だけで借りられないとは限りません。ただし、完済時年齢、年収、勤続年数、健康状態、団体信用生命保険、65歳以降の収入などが審査されます。今回の希望優先案では完済が80歳になるため、金融機関の完済時年齢条件を確認する必要があります。
退職金がなくても建て替えられますか?
退職金がないことだけで建て替え不可能とは判断できません。現在の預金、働ける年齢、毎月返済額、年金、生活費、建築総額を組み合わせて確認します。今回の中心案では、総額を2,150万円へ調整することで建て替えの可能性が見えました。
月8万円以内なら安心ではないのですか?
返済期間によります。月8万円でも80歳まで続く場合と、75歳で終わる場合では、老後の負担が異なります。月返済額と完済年齢を必ずセットで確認します。
預金800万円は、いくら建築費に使いますか?
おすすめ標準案では自己資金500万円を使い、建築後に現金300万円を残します。預金をすべて使って住宅ローンを減らすと、車、修繕、医療・介護などの支出に対応できなくなるためです。
20坪・2LDKは守れませんか?
希望優先案では20坪・2LDKを維持しています。ただし、90歳までの資金不足を解消するには、建築費または生活費などの追加調整が必要です。中心案は18坪・2LDKとし、部屋数を守りながら面積を調整します。
何を削らずに残すべきですか?
耐震性能、構造安全性、断熱、気密、換気、建築後の現金、将来の修繕費、医療・介護への備えは原則として守ります。面積、設備グレード、造作家具、装飾、外構の範囲から先に調整します。
まとめ:月返済額ではなく、完済年齢と老後収支まで確認する
今回の事例では、総額2,600万円の建て替えでも、月返済額を約8万円に抑えることはできました。
しかし、返済期間は25年、完済は夫80歳です。生活費を現在も老後も月22万円とすると、90歳までに約1,706万円の追加調整が必要になります。
おすすめ標準案では、建て替え総額を2,150万円へ450万円調整し、自己資金500万円、住宅ローン1,650万円とします。
月返済額は約8万円以内。夫75歳で完済し、建築後の現金300万円を確保します。現役生活費を月20万円、老後生活費を月18万円へ調整することで、90歳時点で約263万円を残す暫定計算です。
退職金がないから、建て替えを諦めるのではありません。
希望する建物、月返済額、完済年齢、老後生活費を並べ、何をいくら調整すれば建て替えられるのかを確認します。
デザインハウス甲府の「建て替えの窓口」では、住宅ローンが借りられるかどうかだけで判断しません。
解体、仮住まい、往復引越し、登記、外構まで含めた建て替え総額と、90歳までの資産推移を3案で比較します。
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デザインハウス甲府 建て替えの窓口
電話:0120-916-822











