記事要約
夫56歳・妻59歳、金融資産1,600万円、退職金1,800万円の夫婦が、24坪・3LDK、総額2,900万円の建て替えを検討したモデル事例です。退職金の使い方を3案で比較した結果、建築時は自己資金800万円、住宅ローン2,100万円とし、夫60歳で退職金を受け取った際に900万円を繰上返済する案が、希望と老後資金のバランスを取りやすい結果になりました。
56歳・59歳から総額2,900万円の建て替え|退職金1,800万円を全部使わず、65歳完済を目指した事例
「退職金を建て替え費用に使って、住宅ローンを早く完済した方が安心でしょうか?」
60歳前後の建て替え相談で、非常に多いご質問です。
今回ご紹介するのは、夫56歳・妻59歳のご夫婦が、24坪・3LDK、解体などを含む総額2,900万円の建て替えを検討したモデル事例です。
結論:退職金を全部使わなくても、建て替えの可能性があります
今回のおすすめ標準案は、建築時に自己資金800万円を使い、住宅ローン2,100万円を借りる計画です。
夫が60歳で退職金1,800万円を受け取った時点で、その半分に当たる900万円だけを繰上返済します。残り900万円は老後資金として確保し、月約13.0万円の返済を続け、夫65歳での完済を目指します。
試算上の主な結果は次のとおりです。
- 建て替え総額:2,900万円
- 建築時の自己資金:800万円
- 当初住宅ローン:2,100万円
- 毎月返済額:約13.0万円
- 建築直後に残す金融資産:800万円
- 夫60歳時の繰上返済:900万円
- 繰上返済後に残る退職金:900万円
- 住宅ローン完済:夫65歳
- 90歳時点の予想資産:約3,451万円
- NISAの運用益を0%にした場合:約2,272万円
大切なのは、「借りられる金額」だけで判断しないことです。
建て替え後の現金、退職後の収入、年金、修繕費、医療・介護費まで含めて、90歳まで資産がどう動くかを確認する必要があります。
今回のご夫婦の相談条件
| 項目 | モデル条件 |
|---|---|
| 年齢 | 夫56歳・妻59歳 |
| 現在の税込年収 | 夫780万円・妻103万円 |
| 現在の金融資産 | 預金1,200万円・NISA400万円 |
| 夫の退職金 | 60歳で1,800万円 |
| 妻の退職金 | なし |
| 夫の年金 | 66歳から月17万円 |
| 妻の年金 | 65歳から月7万円 |
| 建て替え時期 | 今すぐ |
| 建物 | 24坪・3LDK |
| 建物本体価格 | 2,300万円 |
| 解体などを含む総額 | 2,900万円 |
| 守りたい性能 | 断熱性能 |
| 住宅ローン金利 | 変動1.5% |
| 当初返済期間 | 15年 |
| 現在の生活費 | 月21万円 |
| 老後の生活費 | 月18万円 |
夫は60歳で退職金を受け取り、その後64歳まで再雇用で働く想定です。「再雇用後の年収は60%減」という条件から、60~64歳の税込年収を312万円、手取りを年間260万円として暫定計算しています。
妻は68歳まで年収103万円で働き、65歳から月7万円の年金を受給する設定です。
なぜ退職金を建築時の頭金にできないのか
今回の建て替えは「今すぐ」、退職金の受取は「夫60歳」です。夫は現在56歳なので、退職金を受け取るまで約4年あります。
つまり、まだ受け取っていない退職金を、今の建築費の頭金として使うことはできません。
そこで、次の順番で資金計画を組みます。
- 現在の預金から自己資金を出す
- 不足分を住宅ローンで借りる
- 夫60歳で退職金を受け取る
- 退職金の一部を繰上返済に使う
- 残りを老後資金として確保する
この順番を整理せず、「退職金が1,800万円あるから大丈夫」と考えてしまうと、建築直後に使える現金が不足する可能性があります。
退職金の使い方を3案で比較
今回のモデル事例では、希望優先案、おすすめ標準案、安全重視案の3案を比較しました。
| 比較項目 | 希望優先案 | おすすめ標準案 | 安全重視案 |
| 建て替え総額 | 2,900万円 | 2,900万円 | 2,600万円 |
| 延床面積・間取り | 24坪・3LDK | 24坪・3LDK | 21坪・2LDK |
| 建築時の自己資金 | 1,000万円 | 800万円 | 700万円 |
| 当初住宅ローン | 1,900万円 | 2,100万円 | 1,900万円 |
| 毎月返済額 | 約11.8万円 | 約13.0万円 | 約11.8万円 |
| 建築後の金融資産 | 600万円 | 800万円 | 900万円 |
| 60歳時の繰上返済 | 約1,434万円 | 900万円 | 300万円 |
| 繰上返済後の退職金残額 | 約366万円 | 900万円 | 1,500万円 |
| 完済年齢 | 夫60歳 | 夫65歳 | 夫69歳 |
| 90歳時点の予想資産 | 約3,485万円 | 約3,451万円 | 約3,710万円 |
希望優先案:退職金で一気に完済する
希望優先案は、建て替え総額2,900万円、24坪・3LDKを維持し、建築時に自己資金1,000万円を使用します。
住宅ローンは1,900万円。月返済額は約11.8万円です。
夫60歳で退職金1,800万円を受け取った時点で、住宅ローン残高約1,434万円を全額繰上返済します。住宅ローンは60歳でなくなりますが、退職金の残額は約366万円です。
ローンがなくなる安心感は大きい一方、医療・介護、住宅修繕、家電の買い替えなどに備える現金が薄くなります。
「住宅ローンがないこと」と「老後資金に余裕があること」は、同じではありません。
おすすめ標準案:退職金を半分残して65歳完済
おすすめ標準案は、24坪・3LDKと断熱性能を守りながら、退職金の使いすぎを防ぐ案です。
建築時の自己資金を800万円に抑え、預金400万円とNISA400万円、合計800万円の金融資産を残します。
当初の住宅ローンは2,100万円で、月返済額は約13.0万円です。夫60歳で退職金を受け取った際に900万円を繰上返済し、残り900万円を老後資金として確保します。
その後も同じ月返済額を続ける期間短縮型の繰上返済を想定すると、夫65歳で完済する計算です。
この案のポイントは、夫の年金受給開始が66歳であることです。年金生活に入る前に住宅ローンを完済できるため、年金から住宅ローンを払い続ける負担を避けやすくなります。
安全重視案:建物を21坪に調整し、退職金1,500万円を残す
安全重視案では、建て替え総額を2,600万円へ300万円調整します。
断熱性能は守り、延床面積を24坪から21坪へ、間取りを3LDKから2LDKへ見直す想定です。
建築時の自己資金は700万円、住宅ローンは1,900万円。夫60歳時の繰上返済は300万円に抑え、退職金1,500万円を残します。
完済は夫69歳になりますが、90歳時点の予想資産は3案の中で最も多い約3,710万円です。
ただし、部屋数を減らしてよいか、来客や収納に対応できるかは、資金だけでなく暮らし方から判断する必要があります。
なぜ「退職金を半分残す案」を中心にしたのか
希望優先案の90歳時点の資産は約3,485万円、おすすめ標準案は約3,451万円です。その差は約34万円です。
90歳時点だけを見れば、ほぼ同じ水準に見えます。
しかし、60歳時点の退職金残額には大きな差があります。
- 希望優先案:約366万円
- おすすめ標準案:900万円
おすすめ標準案は、60歳時点で約534万円多く退職金を残せます。
老後の安心は、90歳時点の残高だけでは決まりません。60代、70代の途中で、すぐに使える資金をどれだけ確保できるかも重要です。
そのため今回は、ローンを60歳で全額返すことより、退職金900万円を残して65歳までに完済する案を中心にしました。
老後は年金だけで生活できるのか
今回の年金予定額は、夫が月17万円、妻が月7万円で、合計月24万円です。
試算では、税金や社会保険料などを考慮した手取り相当額を、夫婦合計で月約21.6万円として計算しました。
老後生活費は月18万円から開始し、毎年1.2%の物価上昇を反映しています。
また、次の支出も加えています。
- 建物修繕費:夫66歳・76歳・86歳に各100万円
- 医療・介護予備費:夫80歳時に300万円
- NISA運用益:年4%
年金額は、実際の加入記録や今後の働き方によって変わります。正式な計画では、夫婦それぞれの「ねんきん定期便」または「ねんきんネット」の見込額を確認します。
日本年金機構の「ねんきんネット」では、今後の働き方や受給開始年齢などの条件を設定して、将来の年金見込額を試算できます。
NISA年4%を前提にして大丈夫なのか
年4%は、将来の運用成果を保証する数字ではありません。
そのため、今回はNISAの運用益を0%にした場合も確認しました。
おすすめ標準案の90歳時点の予想資産は、年4%運用では約3,451万円、運用益0%では約2,272万円です。
運用益がなくても、90歳時点で資産が残る試算ですが、今後の税金、固定資産税、保険料、建築費の増減など、未確認の支出があります。
「4%で増えるから大丈夫」と判断するのではなく、「増えなくても建て替えられるか」を確認することが重要です。
この試算で、まだ確認が必要な項目
今回の結果はモデル条件による暫定計算です。正式判断の前に、次の資料を確認します。
- 夫婦の源泉徴収票または給与明細
- 夫60歳以降の再雇用条件
- 夫婦それぞれの年金見込額
- 退職金1,800万円の支給時期と手取り額
- 預金・NISAの現在残高
- 建物、解体、外構、仮住まい、往復引越しの見積書
- 固定資産税、火災保険、生命保険などの年間固定費
- 住宅ローンの事前審査結果
- 繰上返済の手数料と期間短縮条件
住宅ローンの融資承認を保証するものではありません。年齢、年収、勤続年数、健康状態、他の借入、金融機関の審査基準などによって結果は変わります。
60歳前後の建て替えで守るべき順番
60歳前後の建て替えでは、次の順番で資金を決めることが重要です。
- 建築後に残す現金を決める
- 退職金のうち老後用に残す金額を決める
- 退職後も払える月返済額を決める
- その返済額から住宅ローンを逆算する
- 建築総額との差額を、面積・設備・外構で調整する
最初に「住宅会社から提示された建築費」を置き、その不足分を預金と退職金で埋める方法では、老後資金が後回しになります。
建て替えは、住宅ローンの審査に通るかどうかだけで決めるものではありません。
「建築後にいくら残るか」「何歳で完済するか」「90歳時点でいくら残るか」まで確認して、初めて建て替え可能額が見えてきます。
よくある質問
56歳でも住宅ローンを組めますか?
56歳という年齢だけで、住宅ローンが組めないとは限りません。ただし、完済時年齢、現在の年収、勤続年数、健康状態、団体信用生命保険、退職後の返済能力などが審査されます。今回の事例も融資承認を保証するものではなく、金融機関の事前審査が必要です。
退職金は住宅ローンの完済に使った方がよいですか?
一律に全額返済が正解とはいえません。完済後に残る現金、年金収入、生活費、修繕費、医療・介護費を確認して決めます。今回のおすすめ標準案では、退職金1,800万円のうち900万円を繰上返済し、900万円を老後資金として残します。
預金があるのに、なぜ住宅ローンを2,100万円借りるのですか?
建築直後の現金を使い切らないためです。自己資金を増やせば借入額は減りますが、急な医療費、修繕費、生活費に使える資金も減ります。借入額の少なさだけでなく、手元資金とのバランスで判断します。
年金を受け取りながら住宅ローンを返済しますか?
おすすめ標準案では夫65歳で完済し、夫の年金受給は66歳からです。妻は65歳から年金を受け取りますが、夫婦の本格的な年金生活に入る前にローンを終える設計です。
NISAの運用益が出なかった場合はどうなりますか?
おすすめ標準案では、運用益0%でも90歳時点の予想資産は約2,272万円です。ただし、税金や保険料など未確認項目があるため、正式資料を確認して再計算する必要があります。
24坪・3LDKと断熱性能は守れますか?
今回のモデル条件では、おすすめ標準案で24坪・3LDK、建て替え総額2,900万円を維持しています。費用調整が必要になった場合も、断熱・耐震・気密・換気など将来変更しにくい性能を先に削るのではなく、面積、設備、造作、外構の範囲から見直します。
まとめ:退職金を使い切らず、建て替えられる方法を探す
今回の事例では、退職金1,800万円を住宅ローンの全額返済に使わなくても、24坪・3LDKと断熱性能を守りながら、総額2,900万円の建て替えを進められる可能性が見えました。
おすすめ標準案は、建築時に自己資金800万円、住宅ローン2,100万円。夫60歳で退職金900万円を繰上返済し、残り900万円を老後資金として確保する計画です。
住宅ローンが通るかどうかだけでは、老後の安心は分かりません。
デザインハウス甲府の「建て替えの窓口」では、建物本体だけでなく、解体、仮住まい、往復引越し、登記、測量、外構、住宅ローン諸費用まで含めた総額で確認します。
さらに、建築後の現金、退職金、年金、修繕費、医療・介護費まで入れ、90歳までの資産推移を3案で比較します。
「退職金をいくら使うか」ではなく、「退職金をいくら残せば安心か」から考えてみませんか。
山梨県で50代・60代からの建て替えを検討している方は、現在の預金額や年金見込額が分かる範囲で構いません。希望を否定せず、どの条件をいくら調整すれば建て替えられるのかを、一緒に確認します。
デザインハウス甲府 建て替えの窓口
電話:0120-916-822











