認知症になる前に「家族信託」を利用して建て替えることはできますか?資産凍結を防ぐ方法を教えてください。
Q
78歳の父名義の家を建て替えようと考えています。しかし最近、物忘れが増えてきました。もし認知症になったら家を建て替えたり売却したりできなくなると聞き、「家族信託」を勧められました。家族信託とはどのような制度なのでしょうか?建て替えには有効ですか?
結論
家族信託は、認知症などで本人の判断能力が低下した後も、あらかじめ決めた家族が財産を管理・運用・処分できるようにする仕組みです。
建て替えを予定している場合は、本人に十分な判断能力があるうちに契約することが最も重要です。
認知症を発症し、契約内容を理解・判断する能力を失った後では、原則として新たに家族信託契約を結ぶことはできません。
家族信託とは?
家族信託とは、
財産を持つ人(委託者)が、
信頼できる家族(受託者)へ、
財産の管理・運用・処分を任せる契約です。
例えば、
- 父(委託者・受益者)
- 長男(受託者)
という形で契約し、
長男が父のために土地や建物を管理します。
父は引き続き利益を受けながら、
財産管理だけを子どもへ任せることができます。
なぜ認知症で問題になるの?
認知症などにより判断能力が失われると、
本人だけでは、
- 建て替え契約
- 売買契約
- 住宅ローン契約
- 抵当権設定
などの法律行為を行うことが難しくなります。
金融機関も、
本人の意思確認ができない場合は、
融資や契約に応じられないことがあります。
これを一般的に
「資産凍結」
と呼びます。
家族信託なら建て替えできる?
信託契約の内容によりますが、
受託者へ
建て替えや売却などの権限
を与えておけば、
本人が認知症になった後でも、
受託者が信託契約の範囲内で手続きを進められる場合があります。
ただし、
住宅ローンを利用する場合などは、
金融機関ごとに取り扱いが異なるため、
事前確認が必要です。
成年後見制度との違い
よく比較される制度に
成年後見制度
があります。
家族信託
- 財産管理の自由度が比較的高い
- 建て替えや資産活用にも対応しやすい
- 判断能力があるうちに契約が必要
成年後見制度
- 家庭裁判所が関与する
- 本人の財産保護が最優先
- 不動産の処分には家庭裁判所の許可が必要となる場合がある
建て替えを予定している方は、
家族信託の方が活用しやすいケースもあります。
家族信託を利用するメリット
建て替えを考えるシニア世代では、
次のようなメリットがあります。
- 認知症による資産凍結を防ぎやすい
- 建て替えや売却を進めやすい
- 賃貸経営などの管理も継続しやすい
- 家族で財産管理のルールを決められる
近年では、
相続対策として利用されるケースも増えています。
注意点
家族信託は万能ではありません。
例えば、
- 信託契約書の作成費用
- 登記費用
- 専門家への報酬
などが必要になります。
また、
契約内容によって、
できること・できないことが大きく変わります。
そのため、
司法書士や弁護士など、
家族信託に詳しい専門家へ相談することが重要です。
シニア世代が建て替え前に考えるべきこと
建て替えでは、
「まだ元気だから大丈夫」
と思っていても、
契約途中で判断能力が低下すると、
建て替え計画が止まってしまうことがあります。
特に、
70代後半以降では、
建て替えと資産管理を同時に考えることが重要です。
法律・制度の根拠
家族信託は、民法および信託法に基づく制度です。
不動産を信託する場合は、
不動産登記法に基づき信託登記を行います。
成年後見制度については、
民法および成年後見制度利用促進法などが適用されます。
デザインハウス甲府からのアドバイス
山梨県でも、
「父が元気なうちに建て替えたい」
というご相談が年々増えています。
しかし、
建て替えは建築だけではなく、
「将来、認知症になったらどうするか」
まで考えておくことが大切です。
私たちは、
- 建築計画
- 相続
- 家族信託
- 名義
- 資金計画
まで含めて検討し、必要に応じて司法書士や税理士などの専門家と連携しながら進めることをおすすめしています。
建て替えは「今の家を新しくする工事」ではありません。
ご家族の大切な資産を将来にわたって守るための準備でもあります。










